首相指名与野党過半数得られず2024年11月01日

議席数
次の首相指名選挙では、自民・公明の両党が過半数に届かないものの、現首相である自民党総裁の石破茂氏が再任される可能性が高い。国民民主党の玉木雄一郎代表が立憲民主党の野田佳彦代表を支持しない姿勢を示し、首相に有利な情勢が生まれているためである。今回の衆院選では、自民・公明は215議席にとどまり、過半数には12議席不足している。一方、立憲民主は共産党や社民党と協力しても過半数には届かない見込みだ。維新と国民民主もそれぞれの党首に投票する予定であり、どちらの候補も初回投票では過半数を得られない可能性が高い。そのため、決選投票が行われる見通しで、これは1994年以来30年ぶりのケースとなる。最終的には国民民主や維新の協力がなくとも、石破首相が続投する公算が大きいとみられている。自公の215議席を超えるには野党全体が連合を組む必要があるが、国民・維新の66議員が立民・共産を嫌う限り連合は不可能ということだろう。今回新たに国政政党になった保守党を含め10政党もあれば十人十色なのは仕方がないのかもしれないが、米英のように二大政党の方が潔くて分かりやすくはある。

結局、この政党間の駆け引きと政局ばかりに議員が奔走して、政策は官僚に任せきりになることが日本の政治の弱点でもある。推古天皇時代に聖徳太子(厩戸皇子)が作ったとされる17条憲法の「和(やわらぎ)を以て貴しと為し」から始まる精神は1400年のうちに実現した例はない。[現代語訳:おたがいの心が和らいで協力することが貴いのであって、むやみに反抗することのないようにせよ。それが根本的態度でなければならぬ。ところが人にはそれぞれ党派心があり、大局をみとおしているものは少ない。だから主君や父に従わず、あるいは近隣の人びとと争いを起こすようになる。しかしながら、人びとが上も下も和らぎ睦まじく話し合いができるならば、ことがらは道理にかない、何ごとも成しとげられないことはない]。古今東西為政者の悩み事は同じなのだろう。

スーパーカブ50生産終了2024年11月02日

カブ50
1958年に販売開始され、原付きバイク普及のきっかけとなった排気量50cc以下の「スーパーカブ」の生産が、来年5月をめどに終了することになった。排ガス規制強化に伴い、新たな投資でも採算が取れないと判断したためだ。配達や通勤・通学に利用され、生産台数は1億台を超えている。来年11月の排ガス規制強化を受け、ホンダは新エンジンの開発が難しく、市場の縮小もあり、原付きバイクの生産を来年10月までに終了する予定。スズキも同様に原付きバイクの生産終了を検討しており、電動バイクの販売を強化する方針という。カブの燃費はリッター100㎞超えで、普段使いでも50㎞は優に超える。タンクは4リットルなので自家用車並みの給油サイクルで済ませられた。満タンにしても700円程度で生活の足にしていた人は多い。何しろ故障も少ないしバッテリーが上がってもキックで始動できるので困ることがない。自分の年齢と同じ時代を通り抜けてきたカブが、狂気じみた排ガス規制の前に消えていくのは憤りすら感じる。

現在のカブ50は2016年度の規制をクリアするためにエンジン回りを調整した。一酸化炭素はこのままでも新基準をクリアできるが、窒素酸化物などの低減はエンジンを新開発しないと見通しがないらしい。カブを乗り回したのは学生時代に朝夕新聞配達した1年間だけだが、今でも排気ガスの匂いと貧乏学生が見た湿っぽい風景が蘇ってくる。日本では消えてしまう運命だが、頑丈なスーパーカブはアジアでは当分走り回っているはずだ。

年収の壁を178万円に2024年11月03日

非課税額178万円の場合
加藤財務相は、国民民主党が主張する所得税控除額の引き上げについて「国と地方で減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響が高い」と課題を指摘した。国民民主党は年収の壁を178万円に引き上げる政策を掲げている。加藤氏は控除額引き上げで7兆~8兆円の税収減になると試算し、政府として検討を進める意向を示した。税金の徴収は累進課税なので所得が高いものほど高い税金を支払う仕組みだ。減税すれば所得の高いものほど減税額が多いのは当たり前なのに不公平と財務省は言う。しかも割合で言えば年収200万の減税率は約4%で年収1000万では2%ととなり年収が低い方が減税率は高くなる。減税するのだから税収減は当たり前だが、1995年に103万円の壁を設定して30年経過したが、その間パート賃金の基準となる最低賃金は2倍近くになっている。これと同じように控除額を引き上げれば178万が妥当となる。にもかかわらず政府は30年以上控除額を据え置いてきたほうが異常だ。控除額がかわらないまま時給が上がれば、わずかな給与増では家庭の手取りが減るので働く時間を減らして非課税の壁を超えないよう調整をしているパートが多い。その結果が労働力不足の一因ともなっている。

財務省は目先の収入減を言うが、現在税収は好景気で予算超過しておりその超過分を回せば7兆円など問題にもならないし、可処分所得が増えれば景気はさらに上向く。政府は税金を集めては補助金をばらまく政策に使いたいようだ。ばらまきは利権の温床になり天下りの温床にもなる。こんな仕組は政治家や官僚の暮らしは良くなるだろうが国民の暮らしは良くならない。税額で金持ちと分断しようとしたり、超過税収をいわずに関連税収だけであたかも金がないように見せかけたりと財務省のやることには信用が置けない。さらにこの国の不幸は、財務省に洗脳された立民がこの減税案を応援しないことだ。インフレを0%に抑えて大幅賃上げをすると言う経済の仕組みもわからぬ低能野党や政策を言わずに政治をかき回すだけの党派がいくら増えても意味がない。

泥と罵声浴びるスペイン国王2024年11月04日

スペイン国王
スペインのフェリペ国王夫妻が3日、バレンシア州の洪水被災地を訪問した際、支援の遅れに怒る住民たちが泥を投げつけ、「人殺し」「帰れ」と罵声を浴びせる騒ぎとなった。特に被害が深刻なパイポルタでは、国王が徒歩で視察中、住民が警備隊ともみ合いながら国王に詰め寄り、「なぜもっと早く来なかったのか」と非難した。国王は対話を試み、レティシア王妃は泥を浴びた顔のまま被災者を抱きしめた。一方、サンチェス首相も視察中に住民に囲まれ、車列の窓が割られるなど緊張が高まった。夫妻と首相は別の被災地訪問も予定していたが中止され、洪水の死者は217人に上った。日本では考えられない光景だ。災害の四日後なので慰問が早すぎるが、政府の災害救助の遅れへの批判を鎮める策だとすれば、スペイン政府は国王を政治的に使っているともいえる。

スペインの国王の政治的位置づけは、日本の天皇と似ている。どちらも立憲君主制の下で、象徴的な国家元首の役割を果たす。儀礼的な活動や国民の統合の象徴としての役割を持ち、実際の行政権は政府や首相にある。国際的な場での外交活動や国民的行事への参加も含まれるが、政治的な決定には直接関与しない。だが、政府の国王の扱いも国民の受け止めも全く違うと感じさせる。建国500年余りのスペインと2600年を経た我が国とでは元首の格が違うと言えばそれまでだが、天皇を知る日本人にとってスペイン人の行動は奇異にしか映らない。そういえば天皇制が男女平等ではないと国連女性差別撤廃委員会で勧告したのはスペイン人のアナ・ペラエス委員長だった。なるほど、元首の捉え方がまるで違うのだろう。

北朝鮮ミサイル発射2024年11月05日

米国本土まで届く固体燃料ロケット
北朝鮮が朝、日本海に向けて複数の短距離弾道ミサイルを発射した。ミサイルは北朝鮮南西部の沙里院付近から発射され、日本政府によると、既に落下している模様。北朝鮮は10月31日にも最新のICBMを発射しており、今回が相次ぐ発射である。発射直前、金正恩氏の妹・金与正氏は日米韓の合同訓練を非難し、核戦力強化の正当性を主張している。今回の発射は日米韓への牽制とみられ、米国の大統領選挙を前に、北朝鮮が核・ミサイル増強の姿勢を示す意図があると考えられるという。今回の短距離ミサイルはいつものものだが、前回のICBMは固体燃料で最高高度が約7687キロ、飛行時間が約1時間26分と発表され、理論上はアメリカ本土まで届く。発射場所を選ばない固体燃料ロケットとしては世界の脅威となる。

時を同じくして、日本の大型ロケット「H3」4号機が種子島宇宙センターから打ち上げられた。ロケットは防衛省の通信衛星「きらめき3号」を搭載し、予定軌道に投入後、正常に分離に成功した。「きらめき3号」は静止軌道上で運用され、大容量データを安定して送受信する機能を持ち、自衛隊間の迅速な情報共有に利用される。露北中と3か国が軍事力を誇示した独裁国家に囲まれた我が国が防衛力を強化するのは大事なことだが、抑止力にまでなっているかというと心許無い。外交交渉で解決するにも軍事力が弱ければならず者には話にもならない。英国のように核搭載潜水艦をもって報復の可能性を示すというのが最も理にかなっているように思う。

トランプ返り咲き2024年11月06日

トランプ返り咲き
5日に投開票が行われた米大統領選で、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領(78)が勝利を宣言した。6日未明、フロリダ州ウエストパームビーチで多くの支持者を前に演説し、「米国民にとって素晴らしい勝利である。米国を再び偉大にする」と述べた。FOXニュースなど米メディアも、トランプ氏が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領(60)に勝利し、当選を確実にしたと報じている。これにより、2016年以来2度目の当選となり、4年ぶりに共和党への政権交代が実現する。米国史上大統領として返り咲いたのは、グロバー・クリーブランドで、1885年から1889年まで第22代大統領を務め、その後1893年から1897年まで第24代大統領として再び就任した。トランプは132年ぶりの二人目の返り咲き大統領となる。ちなみに日本の首相で返り咲いたのは伊藤博文から安倍晋三までの7名らしい。アメリカ大統領は1951年の憲法修正後では通算8年間が限度となりオバマを最後に5名いるが、日本の首相で8年以上在任したのは安倍晋三だけだ。

今回の米国大統領選についての日米メディアの民主党びいきも酷かった。バイデンの老害ぶりではさすがにどのメディアもトランプ優位に報道されてきたが、ハリスに交代してからはリベラル側の論調が猛烈に強くなり、共和党側があたかも民主主義を否定する差別者集団であるかのような書きぶりが多かった。確かにトランプの物言いには幻滅することが多かったが、政策的に現実路線を主張しているのは共和党側で、民主党の主張には具体性がなく夢物語のような幻想をばらまいているように見えた。日本の大手メディアも米国の左寄りの主張ばかりが喧伝されて正しい状況が提供されない。ネットの様々な配信を見ずテレビだけで情報を取る人は民主党優位に思う人が多かったはずだ。夕刻の現在でも米国大手メディアではFOXしかトランプ勝利を報道せず、日本は産経新聞だけがそれを報じ他のメディアは未だにトランプ優位とは書くが、はっきりとは報じていない。民主主義の危機と社会の分断を大手メディアは報じるが、大手メディアの公正に欠く報道姿勢こそ分断に手を貸す一因ではないか。

高等部卒業生の高校入学2024年11月07日

大阪府教育庁は令和7年度から、特別支援学校高等部を卒業した人を夜間定時制高校に編入学という形で受け入れる方針を決定した。これにより、これまで独自規定で受験資格を認められていなかった人々にも高校で学ぶ機会が開かれることになる。背景には文部科学省が4月に出した通知があり、高校を卒業したことがある場合も入学資格があると明確に示された。この方針転換により、大阪府内で昨年度に受験を断念せざるを得なかったケースもあったことから、今後は学び直しの場を提供することが重要と判断された。特別支援学校高等部は高校と勘違いされている方が多いが、教育課程が全く違うので高校卒業とはならない。ただ、高卒資格を必要とする大学受験は可能だ。また、特別支援学校高等部卒業者は、一般的には高校受験資格は異なる教育課程なので法的には受験可能だが、公立高校受験資格は各都道府県が決定するので各自治体が独自の規定を設けてよいことになっている。

大阪府では、12年間の課程を修了した人などを「公立高校の受験対象外」としてきた。この規定は大阪府独自のもので、他の都道府県には同様の制限は一般的には存在しない。大阪府のこの規定は、初めて受験する中学生の進路保障を優先するために導入されたものだったという。ただ、気になるのは、発達障害や難病の生徒に特別支援学校高等部を進路先として積極的に指導してきた中学校の進路指導指導だ。これは、「個人につく支援」ではなく「場につく支援」が未だに続いている結果でもある。さらに義務教育で学校が障害に応じた支援が不十分だった結果、高校進学の学力がつけられなかった場合も少なくない。特に「読む書く」ことだけに障害のある発達性ディスレクシアの生徒がそれにあたる。読み書き障害に学校の支援が行き届かなかった結果低学力になり特別支援学校で知的障害扱いされている生徒も少なくない。大阪の規定が全国並みになったことは良いことだが、義務制学校や高校で読み書き障害に対する支援が当たり前に提供されることこそが大事だ。

日産自動車業績悪化2024年11月08日

日産業績悪化
日産自動車は、業績悪化を受け、世界で9,000人の人員削減や生産能力の20%縮小といった合理化策を発表した。2024年9月中間期の純利益は前年同期比93.5%減の192億円となり、北米や中国での販売不振が業績に響いている。さらに、三菱自動車の保有株34.07%のうち最大10.02%を三菱自動車に売却する方針も明らかにした。経営責任を明確にするため、内田誠社長は報酬の50%を返上し、他の経営幹部もこれに倣う予定である。2025年3月期の営業利益予想も5,000億円から1,500億円に引き下げ、柔軟かつ強靱な事業構造への再構築を目指すという。トヨタも減収しているとはいえ純利益は10%なのに対し、日産はわずか0.3%だ。これは経営陣の方向選択の間違いによって引き起こされたと考えるべきだろう。トヨタは電気自動車ブームをよそにハイブリッドエンジンの生産を続けてきた。ところが日産は電気自動車モードに大きく舵を切ってしまった。とはいうものの完全な電気自動車を生産しているかというと、普通車のリーフと軽のさくら以外は、エンジンで発電してモーターで駆動するe-パワーという「なんちゃって」ハイブリッド車の生産がほとんどのはずだ。

著しい減収の原因は、米国においては価格競争における値引き率が高すぎて収益がほとんどなかったことがあげられている。日産のハイブリッドの車種はかなり絞り込まれバリエーションがないので値引きしかユーザーを引き付ける方法がなかったという。日米は好景気で湧いているというのに、日産だけが一人負けしている。かつて日産は倒産の危機にあってカルロス・ゴーンをルノー社から呼び寄せ人を切り捨てて復活した。ゴーンの不正を理由に追い出しわずか5年でこの有様だ。時代をかぎ分ける嗅覚のない経営陣を一掃しない限り日産の未来はないのかもしれない。

ヴェノム:ザ・ラストダンス2024年11月09日

ヴェノム
今月もあまり見たい映画がないので、最新のVFXを観ようとヴェノムを選んだ。トム・ハーディ主演で、スパイダーマンの宿敵のマーベルコミックのダークヒーロー、ヴェノムの活躍を描いた人気シリーズの第3作。ヴェノムや前作で戦ったカーネイジら「シンビオート」と呼ばれる地球外生命体の創造主である最強の敵・邪神ヌルが登場し、エディとヴェノムが壮絶な戦いを繰り広げる。話の筋は悪を倒すために最後は「アルマゲドン」パターンの共倒れのあるあるラストで筋としては大したことはない。しかし、CGは洗練されておりいつも米映画を見ると「ここまできたか」と唸らされるのは間違いない。CGキャラクターであるヴェノムの動きや位置が、すべて主演のトム・ハーディの演技に委ねられ、撮影中に演者が視線を向けるマーカーを使わずに行われた。監督のケリー・マーセルは、旧知の仲であるハーディを信頼し、エディとヴェノムのやり取りが自然に表現されるよう進めたという。ハーディの卓越した演技力は、ヴェノムの位置を的確に表現し、VFXスーパーバイザーのジョン・モファットもハーディの協力がVFX効果の向上に貢献したという。

最新技術であっても役者がCGの出来上がりを想定して良い演技をしないと話にならないということだ。最近のアクションものにはCGの仕上がりで良しあしがきまるという。ただ、もう少し良いシナリオはないものか。一つ当たれば、連作にする気持ちは分かるがヴェノムを1作目から見ている観客には訴えるものが少なかったような気もする。この作品が最後だといわれているが、エンドロールの後のゴキブリ登場の映像は何を意味しているのか興味のあるところだ。

サークル同窓会2024年11月10日

大学時代のサークル同窓会に行った。親同士の会議で子供の保育をするボランティアサークル活動は学生の自主的な活動として各地で展開されている。今では障害児保育など公的に親の時間が保障されることも多くはなってきたが、親も働いているので休日の会議となり、公的な子供の休日保育は多くはない。障害児の保育を将来の職業として志す学生はボランティアサークルに所属して実践ができるので福祉系の学生が参加している。自分は教師を目指していたが障害児教育を専攻していたのでこのサークルに所属した。とはいうものの大学には様々な活動があり、目移りしやすい自分はこのサークルにはあまり積極的には参加をしていなかった。案の定、紹介される写真ライブラリーには自分の姿は一つもなかった。知った顔は数人しかおらず、居心地は悪かったが同窓生の話を聞いているうちになんとなく温かい気持ちになった。

障害を持つ子供やその家族の問題に触れることによって将来の方向性を選択したという意見が多かった。まっすぐな感想を聞くたびに中途半端にしか参加していなかった自分が恥ずかしくなった。それでも、先輩と慕ってくれた後輩が何人かはいたが、先輩という言葉に余計にこそばゆくなっていた。大学のサークルなどに入る動機などは、人それぞれだし、そこに所属していた学生がどんな道を歩むかも色々だ。それでも、同窓を懐かしんで集う爺さん婆さんたちの意図は、若かりし頃の記憶を蘇らせ今はしょぼくれていても自分にも熱い日々があったことを確認するためなのかもしれない。
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