高校授業料外国人も無償化2025年03月12日

高校授業料外国人も無償化
自民党の山田賢司氏は、衆院予算委員会での発言で、高校授業料無償化の対象から外国人を除外するよう求めた。現行制度では、外国人学校やインターナショナルスクールに通う外国人も、一定の条件を満たせば授業料の支援を受けられるが、山田氏は「納税者の理解が得られない」と指摘。無償化を「税負担化」と捉え、一人当たり約4千円の負担増となる可能性があることを示唆し、納税者が納得できる制度に見直すべきだと訴えた。また、山田氏は海外の日本人が私立高校に通う場合は支援がない一方、日本国内の外国人が支援を受けられる制度の矛盾を指摘し、「税金を日本人の海外留学支援や公立高校の国際化に充てるべき」と主張した。さらに、外国人学校に通う外国人を支援対象から除外するよう提案したが、文部科学省は現行制度の枠組みについて説明するにとどまり、山田氏は「日本人の子供たちのために税金を使うべき」と強調した。しかし、自民党は維新とともに私立高校の無償化法案に賛成しており、その立場との矛盾をどう考えているか。現行の無償化制度は、2009年の民主党政権(鳩山由紀夫内閣)が提案し、2010年4月に導入されたものであり、その後も自民党政権下で維持されている。2013年に安倍政権が朝鮮学校のみを支援対象外としたが、それ以外の外国人学校には支援が続いており、15年以上自民党政権の下でもこの施策は続いている。今回、山田氏が指摘した「無償化は税負担化だ」という唐突な問題提起には、保育、教育、医療、福祉など多くの分野が税負担で賄われているのに高校無償化だけをことさら税負担だというのは筋が通らない。自公政権と維新が進めた無償化は7兆円の所得税減税や1.5兆円の暫定ガソリン税減税要求を潰した。納税者の批判が高まる中、外国人へのわずかな額の支援を削減するという言い訳のような主張は、単なるパフォーマンスに過ぎない。

確かに、今回の私立高校無償化で外国人への支援額が増えるのは間違いない。しかし、本質的な問題はそこではなく、私立高校支援が増えることで公立高校の財源が逼迫し、さらに私学と公立の格差が拡大する懸念である。普通の高校受験生の進学先の決定動機を考えれば、設備の新しさや校舎の美しさが重視されるのは明らかだ。老朽化した公立高校が、快適な設備を整えた私立高校と比べられたとき、選ばれなくなるのは当然ともいえる。もし議論をするなら、「私学無償化を撤回し公立高校に毎年6,000億円を増額投資する」とし「高額医療費負担見直しと合わせてこれも見直す」と言えば誰も「税負担化」などと揶揄しない。それにしても、外国人だけをやり玉に挙げて私学無償化を正当化する自民党議員の思慮のなさにはあきれてしまう。

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