ライバー刺殺事件 ― 2025年03月13日

東京・高田馬場で動画配信中だった女性ライバーが刺殺された事件で、逮捕された高野健一容疑者は、ライブ配信を見て居場所を特定したと供述した。高野容疑者は4年前に動画配信を通じて被害者を知り、勤務先の飲食店に通うようになった。「生活費や携帯料金などで200万円以上を貸した」とも語っている。スマートフォンや専用アプリの普及により、誰でも手軽にライブ配信が可能になったが、今回の事件はその危険性を改めて浮き彫りにした。被害者は動画配信サービス「ふわっち」で「最上あい」として活動し、事件当日は「山手線徒歩1周」の企画を生配信していた。高野容疑者は前日に配信予告を確認し、事件当日の朝に栃木県から東京都へ移動していたという。ライブ配信はリアルタイムで視聴者とつながる特徴があり、YouTubeやTikTokなどでも利用され、投げ銭による収益化も進んでいる。専門家は、技術の進歩とマネタイズ(収益化)が普及を後押ししたと指摘し、配信者は自身の居場所が特定されないよう、背景の映り込みを防ぐなどリスク管理を徹底すべきだと警鐘を鳴らしている。
生配信中に殺害されるという衝撃的な事件だったが、同日夜に放送された波瑠主演のドラマ『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班』(フジテレビ系)でも、同様のテーマが扱われていた。劇中では、ライブ配信者の女性が殺害され、「サッドハッター」と名乗る高額課金リスナーが捜査線上に浮上するというストーリーが展開され、今回の事件と酷似している。奇しくも、フジテレビは別の性被害疑惑によりスポンサーが離れていたため、ドラマを放送できたのではないかという見方もある。ドラマの中でも、ライブ配信サービスの危険性が指摘されていた。ライブ配信は「ライバーとの疑似恋愛を楽しむ場」として機能することがあり、高額課金リスナーの中には、配信者とのオフラインでの交流を求める者もいる。リスナーが恋愛感情を抱き、デートを条件に大金をつぎ込むケースもあるという。従来の接客業では、トラブルを防ぐために店側の管理体制が機能するが、ライブ配信にはそうした安全保障がない。人気ライバーには大勢のリスナーが群がり、多額の投げ銭を受け取ることで、これを生業とする者も増えている。その背景には、ライバーとリスナー双方の自己承認欲求を満たしたいという現代社会の孤独も関係しているのだろう。高野容疑者が貸した金については、裁判所が支払い命令を出していたとされるが、強制執行の申立ての有無や経緯は不明だ。愛情が憎しみに変わった末の犯行とも考えられるが、個人の責任の範疇に収めるには、あまりにも悲しい事件である。
生配信中に殺害されるという衝撃的な事件だったが、同日夜に放送された波瑠主演のドラマ『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班』(フジテレビ系)でも、同様のテーマが扱われていた。劇中では、ライブ配信者の女性が殺害され、「サッドハッター」と名乗る高額課金リスナーが捜査線上に浮上するというストーリーが展開され、今回の事件と酷似している。奇しくも、フジテレビは別の性被害疑惑によりスポンサーが離れていたため、ドラマを放送できたのではないかという見方もある。ドラマの中でも、ライブ配信サービスの危険性が指摘されていた。ライブ配信は「ライバーとの疑似恋愛を楽しむ場」として機能することがあり、高額課金リスナーの中には、配信者とのオフラインでの交流を求める者もいる。リスナーが恋愛感情を抱き、デートを条件に大金をつぎ込むケースもあるという。従来の接客業では、トラブルを防ぐために店側の管理体制が機能するが、ライブ配信にはそうした安全保障がない。人気ライバーには大勢のリスナーが群がり、多額の投げ銭を受け取ることで、これを生業とする者も増えている。その背景には、ライバーとリスナー双方の自己承認欲求を満たしたいという現代社会の孤独も関係しているのだろう。高野容疑者が貸した金については、裁判所が支払い命令を出していたとされるが、強制執行の申立ての有無や経緯は不明だ。愛情が憎しみに変わった末の犯行とも考えられるが、個人の責任の範疇に収めるには、あまりにも悲しい事件である。