再エネ賦課金値上げ2025年03月22日

再エネ賦課金値上げ
経済産業省は、令和7年度の再生可能エネルギー普及のための「再エネ賦課金」を1キロワット時当たり3.98円に設定したと発表した。これにより、標準家庭の電気料金には月額1,592円、年額19,104円が上乗せされ、国民全体の負担は年間3兆634億円に達し、初めて3兆円を超える。この金額は令和6年度の3.49円から0.49円の上昇となり、標準家庭では月額196円、年額2,352円の増加となる。この賦課金は平成24年度に導入されたものであり、再エネの普及状況や市場価格を踏まえて毎年度経済産業相が設定している。令和5年度には、ウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰の影響で一時的に単価が1.40円に下がったが、その後、令和6年度には元の水準へと引き上げられた。再エネ賦課金の増加は継続しており、負担増加が国民生活に影響を与えている。この制度は再生可能エネルギーの普及を促進するための政策の一環とされているが、今後の負担軽減策についても議論の余地がある。我が家では、月平均700kWhの電力を使用しており、月額約3,000円、年額3万円を超える賦課金を支払うことになる。賦課金は電気使用量そのものではなく、太陽光パネルを設置する企業のために国民全体が支払う「税金」のようなものである。この制度を決定したのは、立憲民主党の前身である民主党の菅直人政権である。当時、原発は放射能事故の危険性、火力発電は二酸化炭素排出による環境への影響が懸念され、再エネへの転換を図るため、政府が財政出動するのではなく、この賦課金制度が導入された。その結果、日本中に太陽光パネルが設置されたが、これにより二酸化炭素排出量がどれだけ減少したのかは、製造過程や処分過程を考慮すると明確ではない。一方で、高効率の石炭発電の新技術の方が削減効果が明確であるとされる。さらに自然任せの発電では発電低下した全域を賄う電力を蓄電するインフラがないので、同じ発電量の火力発電所を待機させておくことになり非効率この上ない。

2012年当初、再エネ賦課金は1kWhあたり0.2円で、「月額コーヒー一杯程度の負担」と説明されていたが、現在ではその18倍を支払う状況となっている。消費電力は横ばい、もしくは減少傾向にあるにもかかわらず、賦課金の増加は止まらない。燃料代高騰といっても、2012年と比較して電気代は約1.5倍程度の増加にとどまっているが、賦課金の上昇は天井知らずである。先日、OECDから日本の石炭消費削減を求める報告があったが、化石燃料の消費が減少すれば、再エネ発電の需要がさらに増加する可能性がある。二酸化炭素排出量が減少しても、国民生活が破綻しては意味がない。日本と他の先進国の違いは、所得の伸びにある。日本の実質賃金はマイナス成長である一方、先進国の平均所得は軒並み増加している。つまり、支払える可処分所得に大きな差がある。電気料金が高ければ、産業も国際競争に勝てない。このような負のスパイラルを生む制度は、即刻廃止されるべきである。
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