非核神戸方式 ― 2025年03月25日

神戸港では「非核神戸方式」に基づき、外国艦艇に核兵器不積載証明書の提出を求めてきたが、証明書を提出していない米海軍掃海艦「ウォーリア」が入港した。1975年に同方式が採択されて以来、米艦が寄港するのは初めてのことだ。市は外務省や米国政府との調整を経て、核兵器を積載していないとの確認を受け、入港を許可したが、市民団体が反発している。証明書未提出での入港は1998年のカナダ軍艦艇以来2例目である。市議会は1975年に核兵器搭載艦の入港拒否を決議し、以後50年間で外国艦艇22隻が入港し、そのうち21隻が証明書を提出した。しかし、今回の市の決定に対して原水爆禁止兵庫県協議会や市民団体が抗議し、「非核神戸方式を裏切る」と非難する声が上がっている。世界には約5,000の商業港があるが、外国艦艇に核兵器不積載証明書の提出を正式に求める港はごく少数である。日本では神戸港、広島港、長崎港、またニュージーランドではオークランド港やウェリントン港が証明書の提出を求めている。世界ではこれらの港を合わせても数十港程度にとどまり、全港数の中では極めて少数である。多くの国では核兵器の存在を曖昧にする政策を採用しており、証明書提出を求める制度は限定的だ。外国艦艇に核兵器不積載証明書の提出を求めない港が圧倒的に多いのは、主に安全保障上の配慮、同盟関係、経済的・軍事的関係、検証の困難さが理由だ。核保有国は敵対国への抑止力を維持するため、核兵器の有無を明確にしない曖昧戦略を取っており、証明書の要求は外交的に困難である。また、核の傘の提供を受ける国々では核抑止力を重視し、証明書提出を求めることを避ける傾向がある。さらに、港湾を運営する国や都市は貿易や軍事協力の重要性から関係悪化を懸念し、証明書提出を要求しないことが多い。加えて、核兵器の有無を実際に確認することは技術的・政治的にも困難だ。
自治体が核兵器を拒否して宣言するものは非核平和都市宣言で、その採択割合は日本の自治体の半分程度と言われている。これは1971年に衆議院で非核三原則を支持する決議に沿ったもので、政府の公式見解に異を唱えたものではない。ただ、実際には米軍基地に核兵器が持ち込まれていることは公然の秘密となっており、非核平和都市宣言は政府の曖昧な姿勢に対する抗議の意味もある。神戸市の施策もこれに属したものだ。今回、市が証明書提出を不問にしたのは、掃海艦が機雷を除去する船で核兵器を搭載する装備は通常ないことが知られているからかもしれない。しかし、軍隊が他国に兵器の内容を示すことは手の内を見せることに等しく、抑止の観点からも安全保障上はあり得ないことだ。米国の同盟国である日本がそれを求めることは国益にもつながらないのは自明である。非核三原則の「持ち込ませず」は、中露北に核兵器を向けられた現在の日本の安全保障情勢では国益に沿わない原則と言える。自国が他国には手を出さないと言っても、勝手に侵攻してくる他国には関係のないことだ。相手国に手の内を見せず、どんな兵器があるか分からないという抑止力は必要だ。責められるのは神戸市ではなく、時代に沿わない議決を放置している国会の毅然としない姿勢である。
自治体が核兵器を拒否して宣言するものは非核平和都市宣言で、その採択割合は日本の自治体の半分程度と言われている。これは1971年に衆議院で非核三原則を支持する決議に沿ったもので、政府の公式見解に異を唱えたものではない。ただ、実際には米軍基地に核兵器が持ち込まれていることは公然の秘密となっており、非核平和都市宣言は政府の曖昧な姿勢に対する抗議の意味もある。神戸市の施策もこれに属したものだ。今回、市が証明書提出を不問にしたのは、掃海艦が機雷を除去する船で核兵器を搭載する装備は通常ないことが知られているからかもしれない。しかし、軍隊が他国に兵器の内容を示すことは手の内を見せることに等しく、抑止の観点からも安全保障上はあり得ないことだ。米国の同盟国である日本がそれを求めることは国益にもつながらないのは自明である。非核三原則の「持ち込ませず」は、中露北に核兵器を向けられた現在の日本の安全保障情勢では国益に沿わない原則と言える。自国が他国には手を出さないと言っても、勝手に侵攻してくる他国には関係のないことだ。相手国に手の内を見せず、どんな兵器があるか分からないという抑止力は必要だ。責められるのは神戸市ではなく、時代に沿わない議決を放置している国会の毅然としない姿勢である。