リーチャー〜正義のアウトロー〜2025年03月29日

リーチャー 〜正義のアウトロー〜
久しぶりにアメリカのドラマを24話一気見した。Amazon Prime Videoのドラマシリーズ『リーチャー 〜正義のアウトロー〜』だ。主人公は、軍警察の特別捜査官として数々の功績を挙げたジャック・リーチャー。退役後は自由を求め、愛用の歯ブラシと少量の現金だけを携えて旅を続けている。しかし、その旅の途中、身に覚えのない殺人容疑をかけられ逮捕されるという予期せぬ事態に巻き込まれる。誰にも迷惑をかけることなく静かに旅を続けていたリーチャーだが、行く先々で思いもよらぬ事件に巻き込まれていく。その受難と困難に立ち向かう姿を、多彩なエピソードを通じて描き出すドラマだ。トム・クルーズ主演の映画版も面白かったが、こちらの方が断然面白い。何しろ、リーチャーの無双ぶりが半端なく、肉体美も素晴らしい。絶対に死なないリーチャーは、どんな危機でも蘇るロボコップのような存在だ。元軍警察の仲間たちも、リーチャー少佐を心から信頼し、命を顧みずに援助する姿が、浪花節的で好感が持てる。米国人の軍人に対する敬意も感じられる。軍警察でも何でもない放浪者となった彼は、巨悪に対しては、一切容赦しない。正義とはいえ、殺戮や違法行為を辞さないヒーロー像は、日本映画では時代劇に限られ、現代劇ではなかなか描きにくい領域かもしれない。

本作は、英作家リー・チャイルドによる小説『ジャック・リーチャー』シリーズを原作としており、世界的に高い人気を誇る。アラン・リッチソン主演のテレビドラマ版は、Prime Videoで最も視聴された作品のひとつとなり、批評家からも高評価を得ている。映画版『アウトロー』(2012年)および『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』(2016年)はトム・クルーズ主演で公開されたが、原作の主人公像との違いから賛否が分かれ、現在はドラマ版がシリーズの主軸となった経緯がある。リー・チャイルドは映画化された作品への再訪にも意欲を示しているが、同時に配信ドラマの「尺の長さ」を高く評価し、「原作を忠実に映像化するにはテレビシリーズが最適」と語っている。複数エピソードで構成される配信シリーズでは、小説の細部や感情表現をより深く掘り下げることが可能であり、チャイルド自身、「これからは映画より配信シリーズを選ぶ作家が多くなるだろう」と述べている。『リーチャー 〜正義のアウトロー〜』は、すでにシーズン4の制作が進行中で、今後の展開が楽しみだ。

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