尹錫悦大統領罷免2025年04月04日

尹錫悦大統領罷免
韓国の憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免を決定した翌日、韓国の主要紙はこの判断を高く評価し、国民の統合を呼びかけた。今回の判断は裁判官全員一致で下され、保守系・革新系を問わずメディアはその正当性と重みを強調した。革新系のハンギョレ新聞は「大統領弾劾は市民の常識と憲法的熱望の勝利」と評し、京郷新聞は「無血の市民革命」と称賛。社説では、民主主義が危機に瀕するたびに国民の力でそれが立て直されてきたと述べている。一方、保守系の朝鮮日報は、昨年12月の非常戒厳から約4カ月にわたり、社会が「心理的内戦状態」と言えるほど分断されたと指摘し、次期大統領候補に対して国民統合への努力を求めた。憲法裁は、戒厳の違憲性や軍を用いた国会封鎖の試みなど、弾劾訴追の主要な争点について全面的に認定。中央日報は「すべての議論に終止符を打った」と強調し、政治家や国民に決定を受け入れるよう呼びかけた。尹氏は、2017年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領に続き、史上2人目の弾劾罷免された大統領であり、韓国の憲政史に再び大きな傷跡を残すこととなった。朝鮮日報は現行の大統領制について、与党と野党の極端な対立を生む「無限政争構造」と批判し、大統領選後の改憲を提案している。大統領制は、大統領が国民から直接選ばれ、議会と分立して強い権限を持つため、リーダーシップが安定し迅速な意思決定が可能である。一方で、行政府と議会の対立や権力集中による独裁化のリスクが課題となる。議院内閣制は、首相が議会多数派から選ばれるため政策の一貫性が高く、政権交代も柔軟に行える点が特徴だが、政権の不安定さや連立政権に伴う複雑性、首相の権限制限などの課題もある。いずれの体制も国の実情に即した運用が求められる。

尹大統領の戒厳令発布は、たとえ多数野党による政争に起因したとしても、それを「内乱」と断じたこと自体に大きな問題がある。一方、米国のトランプ大統領が議会承認を経ずに関税政策を進めた例も、「武器なき世界戦争」の始まりとも言え、民主主義としての正当性に疑問が残る。大統領制は、トップが自制的でなければ国内外に分断をもたらすリスクがある。ただし、議院内閣制も行政のコントロールが難しく、選挙を経ない行政官の意向が反映されやすいという点で、必ずしも民主的とは言い切れない。どちらの体制が優れているとは一概に言えないが、いずれも国民の支持が得られなければ政権は交代するため、独裁国家よりははるかに健全である。ただし、マスメディアによる恣意的な偏向報道は、国民の判断を誤らせる恐れがあるため、まずは報道の民主的な手続きを優先的に見直すべきである。

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