TOKYO MER 南海ミッション2025年09月16日

TOKYO MER 南海ミッション
今日は特に予定もなく、なんとなく映画でも観ようかと『TOKYO MER 南海ミッション』を観に行くことにした。正直、観たい作品があるわけでもなく、完全に暇つぶし。シネコンは連休最終日ということもあって、家族連れで賑わっていた。この映画は大人向けの内容だが、親の希望なのか、小さな子どもを連れて来ている人もちらほら。案の定、後ろの席の子どもが途中で飽きて、ドラマの緊迫した場面で突然歌い出す。迷惑だなと思いつつも、日々子育てに奮闘している保護者の苦労を思えば、少し我慢する気にもなった。映画の内容は、劇場版『TOKYO MER 走る緊急救命室』の続編で、今回は、離島対応を目的とした「南海MER」が沖縄・鹿児島で試験運用されるという設定。半年間出動要請がなく廃止寸前だったが、鹿児島県の諏訪之瀬島で火山が噴火し、ついに出動が決定。ヘリによる救助は噴煙で不可能、海上自衛隊や海上保安庁の到着も間に合わない中、南海MERが島に取り残された79人の命を救うべく奮闘するというストーリー。主演の鈴木亮平に加え、江口洋介、高杉真宙、生見愛瑠、宮澤エマらが新キャストとして登場。さらに、島民を救う漁師役で玉山鉄二も出演しており、命を懸けた医療ドラマが展開された。

物語の展開は、まさにパニックドラマの王道。MERの危機に対して、離島の漁師たちが船団を組んで救援に駆けつけるという“ドラマあるある”な展開だ。こうした描写に弱い自分は、今回も例外なく胸を打たれてしまった。『ゴジラ-1.0』でも、名もなき人々が力を合わせて立ち向かう場面に心を動かされたが、やはりこういう描写にはぐっと来るものがある。特に印象的だったのは、南海の無医村を巡回する医師に対する島民の深い信頼と愛着。瀕死の状態に陥った医師を、島民たちが力を合わせて救おうとする姿には、思わず涙がこぼれた。こうしたストレートな描き方は、時に単純に見えるかもしれないが、だからこそ心に響く。物語は、複雑さよりも真っすぐさが大切だと改めて感じた。

監督を務めたのは松木彩。2011年にTBSテレビへ入社し、バラエティ制作部を経て現在はドラマ制作部に所属。『下町ロケット』(2015年)、『カルテット』『陸王』(ともに2017年)で助監督を務めた後、『わにとかげぎす』(2017年)で演出デビュー。以降、『テセウスの船』『半沢直樹』(ともに2020年)などの話題作を担当し、確かな演出力と物語構築力で注目を集めて「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜(2021年)」ドラマ演出を経て2023年劇場版で初監督。最近では女性監督も珍しくなくなったが、松木監督はその中でも異色の存在かもしれない。次回作は東京直下型地震をテーマにした作品になるという。災害と医療、そして人間ドラマをどう描くのか――その手腕を期待したい。