ASDドラマ2024年01月23日

フランスのASD刑事ドラマ「アストリッドとラファエル4」が始まった。主人公アスリッド演じるサラ・モーテンセンは、今回さらにASD特性を発揮して活躍する。第2話はフランスらしく難民問題の中で起こる殺人事件だ。この辺の描き方はNHK制作で物議を起こした「優しい猫」で描いた不法滞在物語とは全く違う。シビアにイラン難民問題を描いている。イラン革命防衛隊の転向者がかつて女性を迫害し、その積年の恨みを晴らした殺人事件だ。原理主義者らがいかにめちゃくちゃかをしっかり描き、フランス政府がその被害者たちを難民と認めて正当に在住権を与えているかがよくわかる。「優しい猫」のような不法滞在者の浪花節ドラマも少しはここから学べばよい。道義的には情けをかけたい犯人にも憤りの涙をこらえて手錠をかけるラファエルの姿は、博愛主義と法治主義のバランスをとったエンディングだった。

もう一つのASDドラマは、門脇麦主演の連続ドラマ「厨房のありす」(日本テレビ系、日曜午後10時半)だ。これもまた古典的な高機能ASDを描いたお茶の間ドラマで、パニクり方が半端でない。今どき20代女性で饒舌に皆の前で化学式を語り、イレギュラーなことに爆発的に混乱する人はあまりみかけない。デフォルメしすぎた演出と演技に変な自閉症観が広がることを懸念している。先述したアスリッドや『過保護のカホコ2017年日テレ』の高畑充希程度までのASD演技ならまだましだが今回のはやりすぎ感がある。しかも日本のASDドラマはコメディータッチで描くものが多すぎて、制作側には意図がないにしても数字を稼ぐためにどこか発達障害を笑いものにしているようにも見える。関わる医療や福祉の監修者はもう少し考えてほしい。

コメント

トラックバック