全国学力テストの結果公表方法 ― 2024年11月19日

文部科学省は、全国学力テストの結果公表方法を見直す検討を開始した。現行の都道府県・政令市別正答率の公表方法について、全国知事会が実施したアンケートでは反対意見が多く寄せられ、2025年度からの変更が検討されている。学力テストは1956年度に始まったが自治体間の競争を助長するとの批判で一度廃止され、2007年度に復活した経緯がある。現行方法では整数値で公表されているが、わずかな差で競争をあおることを避けるためだった。全国知事会では、現状の公表方法を支持する意見は少数派である一方、実施頻度や対象範囲については現状維持の意見が多かった。これを受け、文科省は12月の有識者会議で議論し、12月下旬に2025年度実施要項に反映させる予定。学テは2027年度から全面オンライン化され、教員負担軽減も図られるという。確かに首長らが回答しているように学テの都道府県別の平均点を公開してもほとんど意味がない。学テ平均点と自治体の経済力に関係があるか調べても、一人当たりの義務制学校への公的な教育費は学テトップが定席の石川・福井・秋田がとりわけ高いわけではない。都道府県首長にできることは教育費の増額くらいだから学テ順位が低いからと首長が責められる筋合いはない。
学力問題に大きな影響を与えるのは、読み書き計算という基礎的な学力形成を低学年期に重視しているかどうかに関わる。これは教員の取り組み方による。教員の取り組み方は市町村の教育委員会の指導に関わる。都道府県は個々の小中学校の現場まではフォローできないので現場指導は市町村教委が責任を持っている。とはいうものの一人の指導主事にできることは限られている。福井・石川・秋田には低学年期の基礎学力を重視する伝統的な教育姿勢があるということだろう。だとすれば学テなどいくら調査しても時間とカネの無駄だということになるが、その結論は早計だ。統計データをきちんと読み取れば国内の学力問題が見えてくるし、地域差も見えてくる。文系の役人はデータ分析が苦手なのでせっかくのデータを平均値と順位くらいしか出せず無駄にしている。義務教育なのだから、基礎的学力を中心に測定してビッグデータを解析すればどの段階で躓くと将来に影響があるのか、どの段階でどのような支援をすれば問題を軽減できるのか知ることができる。個人情報保護の問題はあるが類型に分けて個別に追いかければ類型別の支援課題が見えてくるはずだ。問題は誰にこのテストの作成と解析を任せるかにかかっている。公教育は学力の底上げにこそ着目すべきだ。
学力問題に大きな影響を与えるのは、読み書き計算という基礎的な学力形成を低学年期に重視しているかどうかに関わる。これは教員の取り組み方による。教員の取り組み方は市町村の教育委員会の指導に関わる。都道府県は個々の小中学校の現場まではフォローできないので現場指導は市町村教委が責任を持っている。とはいうものの一人の指導主事にできることは限られている。福井・石川・秋田には低学年期の基礎学力を重視する伝統的な教育姿勢があるということだろう。だとすれば学テなどいくら調査しても時間とカネの無駄だということになるが、その結論は早計だ。統計データをきちんと読み取れば国内の学力問題が見えてくるし、地域差も見えてくる。文系の役人はデータ分析が苦手なのでせっかくのデータを平均値と順位くらいしか出せず無駄にしている。義務教育なのだから、基礎的学力を中心に測定してビッグデータを解析すればどの段階で躓くと将来に影響があるのか、どの段階でどのような支援をすれば問題を軽減できるのか知ることができる。個人情報保護の問題はあるが類型に分けて個別に追いかければ類型別の支援課題が見えてくるはずだ。問題は誰にこのテストの作成と解析を任せるかにかかっている。公教育は学力の底上げにこそ着目すべきだ。