コメ不足の元凶は農協2025年04月21日

コメ不足の元凶は農協
農林水産省は、3月17日から30日までの備蓄米の流通状況を発表した。集荷業者に4,071トンを提供し、そのうち2,761トンが13の卸売事業者に引き渡された。取引価格は市場の相対取引と同水準の60キロあたり22,402円(税抜)であり、値下がりは確認されていない。しかし卸売業者が実際に販売したのは461トンにとどまる。うち35トンが中食・外食業者へ、426トンが小売事業者へ供給されたにすぎない。つまり、市場に出回った量は全体の1割程度に過ぎず、3割以上が集荷業者の在庫に留まっている。本格的な流通は4月上旬からとされているが、果たしてそれで対応が間に合うのか疑問である。江藤農水相は「運送経費のみを上乗せし、利益は含まれていない」と説明し、令和6年産米の相対取引価格との差額が数百円程度であることを強調した。しかし、消費者が本当に知りたいのは政府の卸価格ではない。なぜ21万トンの放出計画がありながら、その1%程度も市場に供給されていないのか。その疑問に対し、政府もメディアも正面から原因を答えていない。

コメの価格は自由化されたとはいえ、実態としては農協が流通の大半を握っている。ゆえに、農協がどのように動いているのかを検証しない限り、価格上昇の原因を特定することはできないはずである。それにもかかわらず、メディアは農協に取材せず、政府発表をそのまま報じるにとどまっている。この背景には、農協や農林中央金庫がメディアの有力なスポンサーであるという事情があるのかもしれない。広告収入や金融支援への依存が、批判的報道を控えさせている可能性も否定できない。当ブログでも2月に指摘した通り、今回のコメ価格高騰は悪徳業者の「売り惜しみ」が原因ではない。農水省自身、昨年夏の需給逼迫について中間業者の売り惜しみが主因ではなかったとの見解を示している。つまり、一昨年からコメが物理的に不足しているのである。

農水省は、令和6年の収穫量が18万トン増加し、需要は30万トン減少すると見込んでいるようだが、過去の傾向を踏まえると、需要の減少は例年5〜10万トン程度である。価格が上昇を続けている現状において、需要が急減しているとは考えにくく、この見通しには無理がある。仮に21万トンが市場に放出されても、4月以降も価格上昇が続くようであれば、これは供給側、今回は農協による売り渋りの影響を疑うのが妥当である。にもかかわらず、メディアはそれを報じようとしない。この沈黙は、農協を批判したくないという意図の表れであろう。

さらに根本的な問題として、減反政策の影響がいまだに色濃く残っている点が挙げられる。政府は2018年に減反制度を廃止したとするが、実際には主食用米から他作物への転作に対して減反政策時期よりも高額の補助金が支給されており、農協も生産目標を農家に示すことで事実上の減反に関与している。結果として、コメの生産量は抑制され、供給不足が常態化しているのである。しかし、農水省はこの構造的問題には言及せず、あたかも流通段階に問題があるかのように報道を誘導している。この状況においては、極端な話ではあるが、ジャポニカ米の輸入に限って無関税措置を講じる方が、議論が早く進むようにすら思えてくる。

コメント

トラックバック