教員の処遇改善法案 ― 2025年05月05日
与野党は、公立学校教員の処遇改善を目的として、「教員給与特別措置法」などの改正案を修正する方向で合意した。法案には、教員の平均残業時間を月30時間までに削減し、「35人学級」を実現するなどの政府目標が明記されており、今国会での成立が見込まれている。立憲民主党と日本維新の会は、教員定数の見直しや担当授業数の削減を盛り込んだ修正案をまとめ、連休明けに提出する予定であり、自民党も実務者間の調整を経て同意した。改正案の柱は、教員の基本給に上乗せされる「教職調整額」を、現行の4%から10%へ段階的に引き上げることで、長時間労働の常態化を是正する点にある。文部科学省の2022年度調査によれば、公立中学校教員の平均残業時間は月58時間に上っていた。野党側は、給与の是正だけでなく業務そのものの見直しが不可欠だと主張し、具体的な対策の提示を求めていた。
20代の教員の精神疾患での休職率は2.1%で他の20代の公務員の10倍以上という高水準である。もちろん、他の公務員も15年間で休職率が2倍に増加しているとはいえ、教員の休職割合とは一桁の差がある。教職員全体で見ても、1.4%が精神疾患で休職しており、これは20代に限った問題ではない。同じ地方公務員でこれほどまでに差が出るのは、異常と言わざるを得ない。今回の改正案により、20代教員の月収30万円程度は6%増となるが、月に2万円程度の給与増でこの深刻な状況が改善されるとは思えない。残業時間を月30時間に抑える方針だが、実際には小学校教員の約14%、中学校教員の約36%が月80時間以上の長時間労働に従事しているという報告もある。何の手立てもなく残業時間だけを削減しようとすれば、かえって「時短ハラスメント」として職場に持ち込まれ、教職員のストレスを悪化させる恐れがある。
20代教員が休職する割合をみて50人に一人なら少ないと侮ってはいけない。多職種の20代よりも10倍多くここ数年高止まりのままというのは、若手教員全体に負荷が大きいままとみる必要がある。近年の大量退職により、現場では若手教員の割合が増加しており、20代教員の絶対数自体が増えている。また、経験の浅いまま授業、生徒指導、保護者対応、部活動と多岐にわたる業務を担わされ、過重な負担を強いられている。さらに、相談できる中堅・ベテラン教員の不足により、悩みを抱え込みやすく、支援体制も不十分だ。個人的要因としては、理想と現実のギャップ、自らに過度なプレッシャーをかける傾向、業務のオーバーフロー、受け身的姿勢による孤立感などがある。環境要因としては、教員不足による業務の集中、相談しづらい職場風土、フォローアップ体制の不備などが指摘されている。
簡単に言えば、現代の高い教育ニーズと現場の力量とのミスマッチがあるにもかかわらず、教員自身の自己イメージが高すぎるために、折れやすくなっているということだ。つまり、「できないことをやろうとして折れる」のである。であれば、見かけの残業時間を減らすのではなく、業務内容そのものを見直すべきだ。たとえば、まずは担任制をやめ、チームで業務に当たる体制へ移行することだ。学校規模が大きければ学年ごとのチームでもよいが、小規模校であれば、適切な教員集団を教育単位として編成すべきである。担任制は、子どもにも教員にも「当たり外れ」が大きすぎる。教員はいつまでも「個人商店」のような担任制に幻想を抱くのではなく、文字通りのチーム指導に踏み出すべきだ。もちろん、チームメンバーも時期を問わず校内や広域で柔軟に異動できる仕組みとする。これだけでも、教員のストレスは大きく軽減されるだろう。ただし、特別支援など少数担当者に力量のない教員が故意に配置されることなどがないよう、不適切な配置に対する抑止のルールは不可欠である。
20代の教員の精神疾患での休職率は2.1%で他の20代の公務員の10倍以上という高水準である。もちろん、他の公務員も15年間で休職率が2倍に増加しているとはいえ、教員の休職割合とは一桁の差がある。教職員全体で見ても、1.4%が精神疾患で休職しており、これは20代に限った問題ではない。同じ地方公務員でこれほどまでに差が出るのは、異常と言わざるを得ない。今回の改正案により、20代教員の月収30万円程度は6%増となるが、月に2万円程度の給与増でこの深刻な状況が改善されるとは思えない。残業時間を月30時間に抑える方針だが、実際には小学校教員の約14%、中学校教員の約36%が月80時間以上の長時間労働に従事しているという報告もある。何の手立てもなく残業時間だけを削減しようとすれば、かえって「時短ハラスメント」として職場に持ち込まれ、教職員のストレスを悪化させる恐れがある。
20代教員が休職する割合をみて50人に一人なら少ないと侮ってはいけない。多職種の20代よりも10倍多くここ数年高止まりのままというのは、若手教員全体に負荷が大きいままとみる必要がある。近年の大量退職により、現場では若手教員の割合が増加しており、20代教員の絶対数自体が増えている。また、経験の浅いまま授業、生徒指導、保護者対応、部活動と多岐にわたる業務を担わされ、過重な負担を強いられている。さらに、相談できる中堅・ベテラン教員の不足により、悩みを抱え込みやすく、支援体制も不十分だ。個人的要因としては、理想と現実のギャップ、自らに過度なプレッシャーをかける傾向、業務のオーバーフロー、受け身的姿勢による孤立感などがある。環境要因としては、教員不足による業務の集中、相談しづらい職場風土、フォローアップ体制の不備などが指摘されている。
簡単に言えば、現代の高い教育ニーズと現場の力量とのミスマッチがあるにもかかわらず、教員自身の自己イメージが高すぎるために、折れやすくなっているということだ。つまり、「できないことをやろうとして折れる」のである。であれば、見かけの残業時間を減らすのではなく、業務内容そのものを見直すべきだ。たとえば、まずは担任制をやめ、チームで業務に当たる体制へ移行することだ。学校規模が大きければ学年ごとのチームでもよいが、小規模校であれば、適切な教員集団を教育単位として編成すべきである。担任制は、子どもにも教員にも「当たり外れ」が大きすぎる。教員はいつまでも「個人商店」のような担任制に幻想を抱くのではなく、文字通りのチーム指導に踏み出すべきだ。もちろん、チームメンバーも時期を問わず校内や広域で柔軟に異動できる仕組みとする。これだけでも、教員のストレスは大きく軽減されるだろう。ただし、特別支援など少数担当者に力量のない教員が故意に配置されることなどがないよう、不適切な配置に対する抑止のルールは不可欠である。