カシミール問題 ― 2025年05月07日
インド北部ジャム・カシミール州の観光地で、26人が銃撃により殺害されたテロ事件を受け、インド政府はこれをパキスタンによる越境テロと断定。インダス川の水資源条約の停止、外交関係の格下げ、ビザ発給の停止など、厳しい対抗措置を発表した。インダス条約停止は初の措置であり、パキスタンへの水供給に影響が及ぶ可能性がある。これに対し、パキスタンもインドとの貿易停止などの報復措置を発表し、両国関係はさらに緊張している。犯行は「カシミール抵抗勢力」を名乗るグループが声明を出し、地域への「部外者」の定住に反発していると主張。パキスタンは関与を否定しているが、カシミールでは長年イスラム過激派が活動しており、インドは繰り返しパキスタンのテロ支援を非難してきた。ガザやウクライナの戦禍に目を奪われがちだったが、イスラムが関わるもう一つの紛争がここにもある。根源は1947年の英国による植民地返還の曖昧さにあり、ロシア(旧ソ連)や中国の関与が紛争を激化させてきた。カシミール問題はインドとパキスタンの領有権争いだ。ムスリム多数のカシミールをヒンドゥー教徒のマハラジャ王が中立政策で治めていたが、パキスタン側の侵攻により王はインドへの編入を要請し、第一次印パ戦争が勃発したのが発端。国連の仲介で分割統治となったが、イスラム過激派によるテロは現在も続いている。
さらに厄介なのは、両国間の対立を背景に進められた核開発である。インドは独立後に核開発を開始し、1964年の中国の核実験を契機に加速。1974年に初の核実験を行い、1998年には5回の核実験を実施し、核保有を確立した。一方、パキスタンは1972年に核開発を開始し、1983年にウラン濃縮技術を確立。インドの1998年の核実験に対抗し、同年6回の核実験を実施。2004年には科学者A.Q.カーンによる核技術のイラン、リビア、北朝鮮への拡散が発覚した。現在、パキスタンは約170発の核弾頭を保有しているとされ、両国の核開発は対立の核心の一つとなっている。インドは中国の核武装に対抗して旧ソ連から、パキスタンはそのインドに対抗して中国から技術供与を受けたという構図だ。中国もソ連も国連安全保障理事国でありながら、IAEA加盟国としての義務に反し、核の軍事転用を助長する行動を繰り返し、戦後一貫してこの地域の不安定化に影響を及ぼしてきた。
カシミール地方は、ヒマラヤ山脈やダル湖など豊かな自然に恵まれ、「地上の楽園」とも称される。観光業が盛んで、トレッキングや水上マーケットが人気を集める。特産品にはカシミアウールやサフランがあり、農業や畜産も地域経済の柱となっている。歴史的にはヒンドゥー教、イスラム教、仏教が共存し、独自の文化が育まれてきた。ムガル帝国時代の庭園やモスクも現存し、伝統的な織物や料理も魅力のひとつである。近年は紛争の影響で観光業が打撃を受けているが、カシミールの自然と文化の豊かさは今なお多くの人々を惹きつけている。カラコルム山脈はパキスタン、インド、中国にまたがり、世界第2位の高峰K2(8,611m)を擁する。険しい地形と氷河に覆われたこれらの山々は、80年近くにらみ合う人間たちを静かに見守ってきた。しかし、いつか神々の鉄槌が振り下ろされないとも限らない。
さらに厄介なのは、両国間の対立を背景に進められた核開発である。インドは独立後に核開発を開始し、1964年の中国の核実験を契機に加速。1974年に初の核実験を行い、1998年には5回の核実験を実施し、核保有を確立した。一方、パキスタンは1972年に核開発を開始し、1983年にウラン濃縮技術を確立。インドの1998年の核実験に対抗し、同年6回の核実験を実施。2004年には科学者A.Q.カーンによる核技術のイラン、リビア、北朝鮮への拡散が発覚した。現在、パキスタンは約170発の核弾頭を保有しているとされ、両国の核開発は対立の核心の一つとなっている。インドは中国の核武装に対抗して旧ソ連から、パキスタンはそのインドに対抗して中国から技術供与を受けたという構図だ。中国もソ連も国連安全保障理事国でありながら、IAEA加盟国としての義務に反し、核の軍事転用を助長する行動を繰り返し、戦後一貫してこの地域の不安定化に影響を及ぼしてきた。
カシミール地方は、ヒマラヤ山脈やダル湖など豊かな自然に恵まれ、「地上の楽園」とも称される。観光業が盛んで、トレッキングや水上マーケットが人気を集める。特産品にはカシミアウールやサフランがあり、農業や畜産も地域経済の柱となっている。歴史的にはヒンドゥー教、イスラム教、仏教が共存し、独自の文化が育まれてきた。ムガル帝国時代の庭園やモスクも現存し、伝統的な織物や料理も魅力のひとつである。近年は紛争の影響で観光業が打撃を受けているが、カシミールの自然と文化の豊かさは今なお多くの人々を惹きつけている。カラコルム山脈はパキスタン、インド、中国にまたがり、世界第2位の高峰K2(8,611m)を擁する。険しい地形と氷河に覆われたこれらの山々は、80年近くにらみ合う人間たちを静かに見守ってきた。しかし、いつか神々の鉄槌が振り下ろされないとも限らない。