給与カット条例「再々継続審議」2025年12月12日

給与カット条例「再々継続審議」
兵庫県の斎藤元彦知事が告発文書問題の情報漏えいに対する管理責任を認めて自ら提出した給与減額条例改正案は、12月定例会でも三度目の継続審議に回された。10日の総務常任委員会で決まり、12日の本会議で正式に採決が見送られる。県民の目には、もうただの不毛な時間稼ぎにしか映らない。当初は3か月30%カットという穏やかな案だった。議会側の「もっと重く」「責任を明確に」という声に知事が素直に応じ、50%カットに引き上げ、「情報が適切に管理されなかったことに対する責任を明確にする」という文言まで入れた修正案を再提出した。主要会派の自民・維新・公明も当初は賛成ムードだった。ところが知事が記者会見で「技術的な修正で実質は変わらない」とポロリと漏らした途端に風向きが一変。「思いが届いていない」「説明が不十分」との声が噴出し、継続審議が決まった。

第三者委員会は「知事らが指示した可能性が高い」と推認したが、直接証拠はゼロ。百条委員会の調査では告発文書の多くが「存在せず」、法的・制度的に知事の関与は否定された。それでも議会は「事実解明が不十分」「判断材料が足りない」と繰り返し、減額幅や文言のニュアンスにこだわり続ける。谷口自民幹事長は「我々の思いが知事に届いっていない」と漏らすが、具体的に何を追加で求めているのかは誰も明かさない。

本来、議会が今やるべきことは物価高対策や防災予算、子育て支援の議論のはずだ。なのに最大の関心は「知事の給与を50%にするか」「責任という言葉をどう書くか」に集中している。知事の説明が事務的でそっけないのは確かだが、議会の要望に二度にわたって修正で応じたのは明らかに歩み寄りだった。それを「不十分」と切り捨てて審議を凍結するのは、健全なチェック機能と言えるのか。

しかも騒動の火種となった告発文書は、反知事勢力とされた故・中島幸彦元局長が深く関与した疑いが週刊誌で報じられている。疑惑の出どころ自体に大きな疑問符がついているのに、議会はそちらを追及することもなく、知事側への圧力だけを強めている。給与を50%カットしようが100%にしようが、亡くなった人は戻らず、県民の生活が良くなるわけでもない。制度的に疑惑がほぼ晴れた今、議会は潔く決着をつけて信頼回復に動くべき場面だった。なのに三度も継続審議を繰り返す姿は、監視の名の下に県政を停滞させているとしか言いようがない。

民意によってダブルスコアで再選された知事と、制度に縛られた議会の溝は深まるばかり。このままでは県民の政治不信がさらに広がるだけだ。いい加減、この不毛な堂々巡りを終わらせて、県民のための政治に戻ってほしい。それが今、兵庫県で最も求められていることである。