完全ぼっちキャンプ ― 2025年07月09日
ホテルのバイキングコースは、やっぱり危険だ。あれもこれもと食べたくなってしまう。ステーキが目に入れば皿にのせ、寿司が美味しそうだと思えばつい追加。ケーキもいいかなと手が伸び、気がつけばお腹は限界。気分が悪くなった。朝こそはと心に誓い、クロワッサンとトースト、小岩井農場のヨーグルトにフルーツミックス。控えめな朝食…のはずが、ハム、スクランブルエッグ、ソーセージまでしっかり取った。自制心の崩壊に苦笑しつつ、最後はカプチーノで締める。
ところが、コーヒーメーカーの前で前に並んでいたおばさんが大混乱。欲しいのはお茶のお湯らしいのに、ボタンを押すたびコーヒーが次々と抽出されていく。「なんでだべ…」と呟きながら、出てくるコーヒーをカップで受け右へ左へ。思わず「キャンセルしないと…」と声をかけかけたそのとき、スタッフが飛んできて後ろに並ぶ私たちに軽く会釈。おばさんは「お待たせしました」の言葉とともに去っていった。自動サーバー、確かにわかりづらいよね。
ホテルを出て向かうのは、ナマハゲの里・男鹿半島。最初に訪れたのは、標高355メートルの寒風山だ。ちょうど京都の天王山と同じくらいの高さ。爆裂火口の山で、木は一本も生えておらず、一面が草原。荒々しさと穏やかさが同居する不思議な風景だ。この山は約3,000年前の火山活動によって生まれた。現在活動の確認されていない火山だが、玄武岩質の溶岩によって形成された山体は、男鹿半島の地質の歴史を今に伝えている。山頂は広く平坦で、噴火口の痕跡も見てとれる。眼下には秋田の海岸線が広がり、風は心地よく、雲がたなびく空はどこまでも高い。しばらくその風景に立ち尽くした。
次に向かったのは、海辺の奇岩「ゴジラ岩」。本当にゴジラの横顔に見えるから面白い。そこから入道崎灯台へと続く道は、空の青と木々の緑が鮮やかに交差する絶景のワインディングロードだった。アプリを入れ直して復活したドローンを飛ばし、灯台を空から撮影。久々に心が躍る瞬間だった。そして、男鹿の象徴ともいえる「なまはげ館」へ。ここはナマハゲをテーマにした民俗資料館で、男鹿市内の60以上の地区から集められた実物の面と衣装が、ずらりと展示されている。「なまはげ勢揃いコーナー」の迫力は圧巻で、あれほどのナマハゲに一度に囲まれる体験は、他にないだろう。ナマハゲの起源にはいくつかの説がある。一説には、古代中国から渡ってきた鬼神が男鹿の山に住みつき、村人を困らせていたという話。もう一説では、冬に手足にできる火斑(ナモミ)を剥ぐ「ナモミ剥ぎ」が語源とされる。どちらにしても、大晦日の夜、鬼の面をかぶり藁装束をまとった男たちが「怠け者はいねが」と叫びながら家々を回るこの風習は、怠け心を戒め、無病息災や豊作を祈る神聖な行事だった。とはいえ、現代では「子どもへのハラスメントではないか」という声もある。
今夜の宿は「ナマハゲオートキャンプ場」。予約サイトでは比較的メジャーな場所だったのに、受付で言われたのは「今日はあなた一人だけです」とのひと言。クマが出ないよう賑やかなキャンプ場を選んだつもりだったが、まさかのソロ貸切。フリーサイト料金でオートサイトを提供してくれたのはありがたいが、心細さは隠せない。ビクビクしていると、後からライダーのグループが到着してテントを張り始めた。ほっと一息。時計を見るとまだ午後3時だが、すでに缶ビールを開けていた。秋田の風と酔いと静けさに包まれて、「クマが来るなら来い」と胸の内は妙に大きくなる。明日は青森へ向かう。
ところが、コーヒーメーカーの前で前に並んでいたおばさんが大混乱。欲しいのはお茶のお湯らしいのに、ボタンを押すたびコーヒーが次々と抽出されていく。「なんでだべ…」と呟きながら、出てくるコーヒーをカップで受け右へ左へ。思わず「キャンセルしないと…」と声をかけかけたそのとき、スタッフが飛んできて後ろに並ぶ私たちに軽く会釈。おばさんは「お待たせしました」の言葉とともに去っていった。自動サーバー、確かにわかりづらいよね。
ホテルを出て向かうのは、ナマハゲの里・男鹿半島。最初に訪れたのは、標高355メートルの寒風山だ。ちょうど京都の天王山と同じくらいの高さ。爆裂火口の山で、木は一本も生えておらず、一面が草原。荒々しさと穏やかさが同居する不思議な風景だ。この山は約3,000年前の火山活動によって生まれた。現在活動の確認されていない火山だが、玄武岩質の溶岩によって形成された山体は、男鹿半島の地質の歴史を今に伝えている。山頂は広く平坦で、噴火口の痕跡も見てとれる。眼下には秋田の海岸線が広がり、風は心地よく、雲がたなびく空はどこまでも高い。しばらくその風景に立ち尽くした。
次に向かったのは、海辺の奇岩「ゴジラ岩」。本当にゴジラの横顔に見えるから面白い。そこから入道崎灯台へと続く道は、空の青と木々の緑が鮮やかに交差する絶景のワインディングロードだった。アプリを入れ直して復活したドローンを飛ばし、灯台を空から撮影。久々に心が躍る瞬間だった。そして、男鹿の象徴ともいえる「なまはげ館」へ。ここはナマハゲをテーマにした民俗資料館で、男鹿市内の60以上の地区から集められた実物の面と衣装が、ずらりと展示されている。「なまはげ勢揃いコーナー」の迫力は圧巻で、あれほどのナマハゲに一度に囲まれる体験は、他にないだろう。ナマハゲの起源にはいくつかの説がある。一説には、古代中国から渡ってきた鬼神が男鹿の山に住みつき、村人を困らせていたという話。もう一説では、冬に手足にできる火斑(ナモミ)を剥ぐ「ナモミ剥ぎ」が語源とされる。どちらにしても、大晦日の夜、鬼の面をかぶり藁装束をまとった男たちが「怠け者はいねが」と叫びながら家々を回るこの風習は、怠け心を戒め、無病息災や豊作を祈る神聖な行事だった。とはいえ、現代では「子どもへのハラスメントではないか」という声もある。
今夜の宿は「ナマハゲオートキャンプ場」。予約サイトでは比較的メジャーな場所だったのに、受付で言われたのは「今日はあなた一人だけです」とのひと言。クマが出ないよう賑やかなキャンプ場を選んだつもりだったが、まさかのソロ貸切。フリーサイト料金でオートサイトを提供してくれたのはありがたいが、心細さは隠せない。ビクビクしていると、後からライダーのグループが到着してテントを張り始めた。ほっと一息。時計を見るとまだ午後3時だが、すでに缶ビールを開けていた。秋田の風と酔いと静けさに包まれて、「クマが来るなら来い」と胸の内は妙に大きくなる。明日は青森へ向かう。