ドラマ『GIFT』 ― 2026年05月12日
ドラマ『GIFT』を語るうえで、まず触れておかねばならないのが「感動ポルノ化」の危険性である。障がい者スポーツを扱う作品は、ほんの少し角度を誤るだけで、“押しつけの感動”に転落してしまう。「ほら泣け」「感動しろ」と言われた瞬間、人間の涙腺はむしろ固く閉じる。視聴者は、その種の“善意の圧力”に驚くほど敏感だ。だから序盤はかなり警戒しながら見ていた。
前半は、とにかく宇宙の話が多い。星だの銀河だのブラックホールだの、油断するとすぐ地球を飛び出してしまう。こちらは車いすラグビーのドラマを見ているつもりなのに、気づけば宇宙空間を漂流している。「いや、一回コートへ戻してくれ」と思う場面が何度もあった。しかも、その宇宙モチーフと競技を無理につなげようとする力みが少々重たい。熱心な理科教師に放課後つかまって、「宇宙と人生は似ているんです」と延々説明を受けているような感覚である。人物描写もやや説明過多で、感情が追いつく前に「はい、ここ泣くところです」と先回りされる感じがあった。有村架純の繊細な芝居ですら、周囲の“説明の圧”に押され、時折宙に浮いて見えた。
だが、5話あたりから空気が変わる。まるで重たい外套を脱ぎ捨てた人が突然走り出したように、ドラマが急に“説明”ではなく“感情”で動き始めるのである。ここから涙が不思議なくらい自然に出る。視聴者の感情速度とドラマの速度が、ようやく一致するのだ。山田裕貴はこのあたりから一気に本領発揮。本田響矢も素晴らしい。競技用車いすの操作を徹底的に身体へ叩き込んだことが、画面越しに伝わってくる。画面の端で少し向きを変えるだけでも、「この人は本当に競技を理解している」と分かる説得力がある。
そして堤真一である。序盤は“クセの強い変人監督”として描かれていたが、中盤以降、その変人ぶりの奥から人間の温度がじわりと滲み出てくる。毒気が少し抜けた瞬間、キャラクターが急に呼吸を始めるのである。視聴者も「あれ、この人ちょっと好きかもしれない」と思い始める。こうなると強い。ドラマは脚本で動くのではなく、キャラクターが勝手に走り出す。序盤に感じていた“暗さの演出過多”も中盤で整理され、暗さではなく“前へ進もうとする力”そのものが画面の中心に来るようになった。
すると不思議なもので、車いす同士が激突する音まで違って聞こえてくる。序盤では「痛そうだな」としか感じなかった衝突音が、中盤では「これが競技の鼓動なのだ」と耳へ入ってくるのである。ドラマが視聴者の感覚を引っ張り上げる瞬間だ。ここまで来ると、次回が待ち遠しい。序盤の迷走を抜け、ようやく作品が本来の軌道へ乗った感じがある。願わくば、もう宇宙へ飛んでいかないでほしい。
前半は、とにかく宇宙の話が多い。星だの銀河だのブラックホールだの、油断するとすぐ地球を飛び出してしまう。こちらは車いすラグビーのドラマを見ているつもりなのに、気づけば宇宙空間を漂流している。「いや、一回コートへ戻してくれ」と思う場面が何度もあった。しかも、その宇宙モチーフと競技を無理につなげようとする力みが少々重たい。熱心な理科教師に放課後つかまって、「宇宙と人生は似ているんです」と延々説明を受けているような感覚である。人物描写もやや説明過多で、感情が追いつく前に「はい、ここ泣くところです」と先回りされる感じがあった。有村架純の繊細な芝居ですら、周囲の“説明の圧”に押され、時折宙に浮いて見えた。
だが、5話あたりから空気が変わる。まるで重たい外套を脱ぎ捨てた人が突然走り出したように、ドラマが急に“説明”ではなく“感情”で動き始めるのである。ここから涙が不思議なくらい自然に出る。視聴者の感情速度とドラマの速度が、ようやく一致するのだ。山田裕貴はこのあたりから一気に本領発揮。本田響矢も素晴らしい。競技用車いすの操作を徹底的に身体へ叩き込んだことが、画面越しに伝わってくる。画面の端で少し向きを変えるだけでも、「この人は本当に競技を理解している」と分かる説得力がある。
そして堤真一である。序盤は“クセの強い変人監督”として描かれていたが、中盤以降、その変人ぶりの奥から人間の温度がじわりと滲み出てくる。毒気が少し抜けた瞬間、キャラクターが急に呼吸を始めるのである。視聴者も「あれ、この人ちょっと好きかもしれない」と思い始める。こうなると強い。ドラマは脚本で動くのではなく、キャラクターが勝手に走り出す。序盤に感じていた“暗さの演出過多”も中盤で整理され、暗さではなく“前へ進もうとする力”そのものが画面の中心に来るようになった。
すると不思議なもので、車いす同士が激突する音まで違って聞こえてくる。序盤では「痛そうだな」としか感じなかった衝突音が、中盤では「これが競技の鼓動なのだ」と耳へ入ってくるのである。ドラマが視聴者の感覚を引っ張り上げる瞬間だ。ここまで来ると、次回が待ち遠しい。序盤の迷走を抜け、ようやく作品が本来の軌道へ乗った感じがある。願わくば、もう宇宙へ飛んでいかないでほしい。