関西生コン事件・正義と暴力2025年11月13日

関西生コン事件
11月10日放送のNHK「クローズアップ現代」は、関西生コン支部をめぐる争議事件で相次ぐ無罪判決に迫った。しかし、画面に映らない現場の“恐怖”はほとんど触れられていない。組合の街宣や占拠行為は、会社側だけでなく非組合員の小規模業者にも心理的圧力として作用し、「怖い組織」とのイメージを社会に刻みつけた。憲法28条で保障される争議権やストライキ権は、暴力や脅迫を伴う行為には及ばない。関生組合が「労働法を盾にした反社会的組織」と呼ばれた背景には、正当手続きで解決できる小規模問題を、組合員向けのパフォーマンスとして争議行動に拡大してしまう側面がある。例えば報道では在職証明書未発行や給与未払いといったケースが報じられたが、法令上に瑕疵がない請求なのだから労基局が介入すれば数日で解決可能なケースであったと思われる。わざわざ組合役員が当事者と事業所に出向いて出す出さないの押し問答をしていること自身が不毛だ。

こうした事態を防ぐためには、制度面での改善が不可欠である。争議行動や交渉の映像を双方で共有し、弁護士立会いを義務化することで、恣意的な映像編集や拡散を防ぎ、正当な争議行為と違法行為の線引きが明確化される。さらに、労基局の迅速介入や第三者仲裁と組み合わせれば、非組合員や小規模業者への心理的圧力も抑止できる。

要するに、権利行使の正当性だけを議論しても不十分だ。暴力排除と透明性確保を組み込んだ制度設計、そして組合自身の自己規律こそが、労働運動の社会的受容性を守る鍵だ。関生事件は、正義の名の下で暴力を許すのか、法と透明性で権利を守るのか――その選択を我々に突きつけている。それにしてもNHKの報道は労働組合を弱者に描き、企業や警察を権力の横暴と描くステレオタイプで、相変わらず偏っていると思わざるを得ない。