午前3時の総理登庁 ― 2025年11月09日
「午前三時まで官僚を働かせた」──SNSでは、そんな批判が高市早苗経済安保担当相に殺到した。だが、この批判には大きな誤解がある。深夜作業の“元凶”は彼女ではなく、野党議員の締め切り違反にあるのだ。本来、国会審議の質問通告には与野党間で「委員会開催の前々日正午までに出す」との申し合わせがある。1999年に確認されたルールで、建前上は今も生きている。だが、現実は完全に形骸化。いまや“前日夜”に通告されるのが当たり前になった。国民の多くは「締切は前日の正午ではないのか」と多くが思っているは、午後6時を過ぎても通告が出ないことが珍しくないからだ。議員側の都合で調整が長引き、通告がずれ込むたびに、官僚たちはその瞬間から徹夜態勢に入る。彼らは資料を積み上げ、想定問答を作り、閣僚へ報告する。高市氏が午前三時に登庁するのは、そうした“壊れた慣行”に押しつぶされぬための、苦肉の対応にすぎない。
「事前通告が遅れれば、準備不足のまま国会答弁に立つしかない。結果として“失言”が増える。それをまた野党が追及する……」と、ある元内閣官房スタッフは語る。制度疲弊が、政治家にも官僚にも負担を押しつけ、国会の生産性を奪っているのだ。質問通告の遅れは、単なる段取りの問題ではない。行政の信頼にも直結する。官僚の深夜残業が常態化し、若手職員が疲弊して離職する例も後を絶たない。「質問通告は夜に来るもの」──そうした常識が定着してしまった結果、真面目に準備する人ほど潰れていく。
国会改革は何度も議題に上ってきた。だが、与野党双方に“痛み”が伴うため、誰も本気で手をつけようとしない。ルールを守れば自分が「働いて…働くこと」になる。そんな暗黙の了解が、永田町を覆っている。午前三時に光る官邸の灯は、働き方改革の対象外だ。本来、国会は政策論争の舞台であるべきなのに、いまや「通告の遅れ」をめぐる心理戦が支配している。疲れ果てた官僚の顔を見ながら、それでも夜明け前に答弁準備を続ける。この異常な風景こそが、令和の国会の「正常運転」なのかもしれない。
「事前通告が遅れれば、準備不足のまま国会答弁に立つしかない。結果として“失言”が増える。それをまた野党が追及する……」と、ある元内閣官房スタッフは語る。制度疲弊が、政治家にも官僚にも負担を押しつけ、国会の生産性を奪っているのだ。質問通告の遅れは、単なる段取りの問題ではない。行政の信頼にも直結する。官僚の深夜残業が常態化し、若手職員が疲弊して離職する例も後を絶たない。「質問通告は夜に来るもの」──そうした常識が定着してしまった結果、真面目に準備する人ほど潰れていく。
国会改革は何度も議題に上ってきた。だが、与野党双方に“痛み”が伴うため、誰も本気で手をつけようとしない。ルールを守れば自分が「働いて…働くこと」になる。そんな暗黙の了解が、永田町を覆っている。午前三時に光る官邸の灯は、働き方改革の対象外だ。本来、国会は政策論争の舞台であるべきなのに、いまや「通告の遅れ」をめぐる心理戦が支配している。疲れ果てた官僚の顔を見ながら、それでも夜明け前に答弁準備を続ける。この異常な風景こそが、令和の国会の「正常運転」なのかもしれない。