「迷子/ベビーセンター」トイレ ― 2025年04月16日

国民生活を揺るがす物価高、止まらぬ景気後退——未曽有の国難に立ち向かうべきこのタイミングで、国会で飛び出したのはまさかの“トイレ論争”だった。問題提起をしたのは立憲民主党の石垣のり子参院議員。彼女が槍玉に挙げたのは、2025年関西万博会場に設置される「迷子/ベビーセンター」内の子供用トイレだ。関係者によると、このトイレには大便器が3つ、小便器が2つ設置されており、大便器の間には低めの仕切り。利用対象は0〜2歳の乳幼児で、保護者と共に使うことを前提とした設計。経済産業省も「スタッフが入口で監視することで無断利用を防ぎ、プライバシーは確保されている」という。だが、石垣氏は「一組ごとの利用が基本とはいえ、他の家族が同時に使える運用方針はおかしい」と異を唱え、設計ミスがあるなら速やかに見直すべきだと主張。ネット上では「そんなことに時間を使うな」「育児トイレを知らないのか」といった批判の声が相次いでいる。
というのも、このトイレ構造自体、日本中の保育施設で広く採用されている“お馴染み”のスタイル。保育園や商業施設で子供を育てた経験のある親なら、一度は目にしているはずだ。しかも、会場内には親子トイレも各所に設置済み。乳児トイレに親やスタッフが立ち入るのはむしろ常識で、それを問題視する感覚自体がズレているというのが大方の見方だ。さらに突っ込む声もある。「本当にトイレを問題視するなら、むしろ議論すべきは万博会場に設置されるジェンダーフリートイレでは?」。女性スペースへの男性の立ち入り可能性が指摘されているこの構造には、何故かノータッチの石垣議員。これには「批判のための批判」「野党の存在意義が“難癖”になっている」との指摘も。子供の安全とプライバシーの配慮は確かに重要。だが、野党議員としての貴重な質疑時間を“トイレの仕切り”に費やす姿に、国民が感じたのは“違和感”ではなかったか。
というのも、このトイレ構造自体、日本中の保育施設で広く採用されている“お馴染み”のスタイル。保育園や商業施設で子供を育てた経験のある親なら、一度は目にしているはずだ。しかも、会場内には親子トイレも各所に設置済み。乳児トイレに親やスタッフが立ち入るのはむしろ常識で、それを問題視する感覚自体がズレているというのが大方の見方だ。さらに突っ込む声もある。「本当にトイレを問題視するなら、むしろ議論すべきは万博会場に設置されるジェンダーフリートイレでは?」。女性スペースへの男性の立ち入り可能性が指摘されているこの構造には、何故かノータッチの石垣議員。これには「批判のための批判」「野党の存在意義が“難癖”になっている」との指摘も。子供の安全とプライバシーの配慮は確かに重要。だが、野党議員としての貴重な質疑時間を“トイレの仕切り”に費やす姿に、国民が感じたのは“違和感”ではなかったか。
特別支援の「調整額」 ― 2025年04月12日

文部科学省は、障害のある児童・生徒を担当する教員に支給されている特別支援の「調整額」を、2027年から段階的に引き下げる方針を明らかにした。現在は月給の3%相当が支給されているが、2027年と2028年の2年にわたりそれぞれ0.75%ずつ削減し、最終的に1.5%とする予定だ。背景には、「通常学級で学ぶ障害児が増え、特別支援教員の“特殊性”が薄れた」との認識と、教員全体の給与引き上げに向けた財源の確保がある。一方、特別支援調整額とは別に、教員全体を対象とした「教職調整額」の引き上げも国会で審議中だ。これは2026年から段階的に10%まで引き上げる法案が検討されており、この分で特別支援教員の減額分は相殺される。とはいえ、他の教員に比べて増額幅は相対的に小さくなる。文科省は「結果的に手取りは増える」と説明する。
加えて、義務教育教員特別手当も2026年から、従来の1.5%から1.0%に引き下げられる予定だ。教員の給与を上げなければ人材確保が難しいという議論が進んでいたが、財務省の意向もあり、文科省は“痛み分け”のように少数派である特別支援教員の手当てを削ることで帳尻を合わせようとしている。すでに小中学校と特別支援学校の教員手当も、しれっと0.5%減らされようとしている。つまり、これまで特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室の教員には、基本給に最大14%近い手当がついていたが、3年後には12%に下がる。一方で教職調整額が6%引き上げられて18%になるから、「差し引き4%増えてるでしょ、文句は言えないよね」という論理だ。そして、一般教員との差額、つまり「ご苦労さん料」は最終的に1.5%で我慢しろ、という話である。
だがその根拠とされた「通常学級で学ぶ障害児が増え、特別支援の特殊性が薄れた」という説明には大きな疑問が残る。およそ20年前まで、特別支援学級の対象は主に身体・知的障害のある子どもだった。だが次第に、知的な遅れのない発達障害のある子どもたち、特に行動面・対人関係・学習面で困難を抱える子どもたちが支援学級に受け入れられてきた。文科省は本来、こうした子どもへの対応は通常学級で行うべきだとしていたが、現実には都市部を中心に支援学級は増加の一途をたどっている。つまり支援学級の教員には、発達障害への対応スキルが新たに求められるようになってきたのだ。通常学級の担任や管理職が、学級運営が難しい子どもの保護者に「支援学級」を勧めてきた経緯もある。背景には、働き方改革の中でこれ以上担任の業務を増やせないという事情もあるだろう。文科省が「インクルーシブ教育」を唱えても、実際の現場ではむしろ逆行する「エクスクルーシブ化」が進んでいるのが実情だ。
数字を見ても明らかだ。過去10年で都市部の通常学級は少子化の影響で約1万4千学級(約18%)減少したが、特別支援学級は1000学級増え、約10%の増加となっている。このデータのどこを見て、「通常学級で学ぶ障害児が増えた」と言えるのか。通常学級にすでに在籍していた発達障害の子どもを、今になって「増えた」とカウントするのであれば、それは“統計マジック”によるごまかしでしかない。もちろん、担任する子どもの人数だけで見れば、通常学級の教員の方が4倍近い子どもを受け持っている分、業務負担が大きいのは確かだ。中には、通常学級でうまく対応できなかった教員が、特別支援に異動してきたケースもある。だが、大多数の特別支援教育担当者は、多様な学力・学習スタイルに対応し、子ども一人ひとりに合わせた教材と指導を提供している。子どもだけでなく保護者への対応も多く、精神的な負荷は計り知れない。これが1.5%、約5000円の「ご苦労さん料」で済む話だろうか。「通常学級で学ぶ障害児が増えた」なら全教職員に3%の手当てをするのが筋ではないか。
加えて、義務教育教員特別手当も2026年から、従来の1.5%から1.0%に引き下げられる予定だ。教員の給与を上げなければ人材確保が難しいという議論が進んでいたが、財務省の意向もあり、文科省は“痛み分け”のように少数派である特別支援教員の手当てを削ることで帳尻を合わせようとしている。すでに小中学校と特別支援学校の教員手当も、しれっと0.5%減らされようとしている。つまり、これまで特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室の教員には、基本給に最大14%近い手当がついていたが、3年後には12%に下がる。一方で教職調整額が6%引き上げられて18%になるから、「差し引き4%増えてるでしょ、文句は言えないよね」という論理だ。そして、一般教員との差額、つまり「ご苦労さん料」は最終的に1.5%で我慢しろ、という話である。
だがその根拠とされた「通常学級で学ぶ障害児が増え、特別支援の特殊性が薄れた」という説明には大きな疑問が残る。およそ20年前まで、特別支援学級の対象は主に身体・知的障害のある子どもだった。だが次第に、知的な遅れのない発達障害のある子どもたち、特に行動面・対人関係・学習面で困難を抱える子どもたちが支援学級に受け入れられてきた。文科省は本来、こうした子どもへの対応は通常学級で行うべきだとしていたが、現実には都市部を中心に支援学級は増加の一途をたどっている。つまり支援学級の教員には、発達障害への対応スキルが新たに求められるようになってきたのだ。通常学級の担任や管理職が、学級運営が難しい子どもの保護者に「支援学級」を勧めてきた経緯もある。背景には、働き方改革の中でこれ以上担任の業務を増やせないという事情もあるだろう。文科省が「インクルーシブ教育」を唱えても、実際の現場ではむしろ逆行する「エクスクルーシブ化」が進んでいるのが実情だ。
数字を見ても明らかだ。過去10年で都市部の通常学級は少子化の影響で約1万4千学級(約18%)減少したが、特別支援学級は1000学級増え、約10%の増加となっている。このデータのどこを見て、「通常学級で学ぶ障害児が増えた」と言えるのか。通常学級にすでに在籍していた発達障害の子どもを、今になって「増えた」とカウントするのであれば、それは“統計マジック”によるごまかしでしかない。もちろん、担任する子どもの人数だけで見れば、通常学級の教員の方が4倍近い子どもを受け持っている分、業務負担が大きいのは確かだ。中には、通常学級でうまく対応できなかった教員が、特別支援に異動してきたケースもある。だが、大多数の特別支援教育担当者は、多様な学力・学習スタイルに対応し、子ども一人ひとりに合わせた教材と指導を提供している。子どもだけでなく保護者への対応も多く、精神的な負荷は計り知れない。これが1.5%、約5000円の「ご苦労さん料」で済む話だろうか。「通常学級で学ぶ障害児が増えた」なら全教職員に3%の手当てをするのが筋ではないか。
1リットル10円補助 ― 2025年04月08日

政府・与党は、6月からガソリン価格を抑えるため、1リットルあたり10円の定額補助を導入する方向で検討している。現在の価格水準から見れば、確かに一定の値下がり効果は見込まれる。しかし、1リットルあたり25円10銭の「暫定税率」の廃止を求める野党の反発は必至だ。政府はガソリンの全国平均価格を185円程度に抑える方針を掲げ、夏の参院選を見据えた「国民負担の軽減」をアピールする構えだ。財源は既存の基金を活用し、追加の予算措置は講じないとしている。昨年12月には、自民・公明・国民民主の3党が「暫定税率の廃止」で合意した。しかし、あれから半年、具体的な廃止時期は棚ざらしのまま。6月から来年3月末まで、価格を引き下げることだけは決めたようだ。だが、現実を見れば、その「効果」には疑問符がつく。市中のガソリンスタンドでは185円程度の価格が一般的。そこから10円引いたとしても、満タン給油でせいぜい500円程度の差だ。原油価格も同時株安でやや下がってはいるものの、1バレル5ドルの下落では2円分程度しか値下がりしない。しかも、その上に「暫定」の名を借りた税金がどっしりとかかる。結局、庶民の負担は「雀の涙」ほども軽くならない。そもそもこの暫定税率、1974年の石油危機を受けて「一時的措置」として導入されたものだ。それが50年経っても存続している。
昨年の与党合意ですら実行されないまま先送り。もはや「暫定」とは、政治が怒りの火消しに使う“魔法の言葉”と化している。政府は「地方財政への影響がある」と繰り返すが、インフレの影響で地方税収も軒並み増加している今、果たしてどれだけの自治体が「あと1年、暫定税率を維持してほしい」と訴えているのか。どう見ても、理由をこじつけて、少しでも多く徴収したいという国の思惑が透けて見える。そして忘れてはならないのが、ガソリンだけではないということだ。日本の電力の約7割を火力発電が占める中、電気代の高騰も深刻な問題となっている。この夏、光熱費がどれだけ跳ね上がるのか、考えるだけで寒気がする。世界経済も安定にはほど遠い。トランプ関税への報復として中国が同率の関税を発表し、世界は同時株安に突入。日経平均は3月の3万9千円から、既に8千円も下落した。賃上げが進んだとはいえ、物価高に追いつけず、実質賃金は先月もマイナス。インフレと景気後退が同時に襲う「スタグフレーション」の足音がひたひたと迫っている。それでもなお、「10円の補助」でしのげるとでも思っているのだろうか。減税には背を向け、実効性の乏しい支援策でやり過ごそうとする石破内閣に、果たして危機を乗り越える力はあるのか。いま、国民が求めているのは、言葉のごまかしではなく、現実に即した政策だ。即刻、退場を願いたい。
昨年の与党合意ですら実行されないまま先送り。もはや「暫定」とは、政治が怒りの火消しに使う“魔法の言葉”と化している。政府は「地方財政への影響がある」と繰り返すが、インフレの影響で地方税収も軒並み増加している今、果たしてどれだけの自治体が「あと1年、暫定税率を維持してほしい」と訴えているのか。どう見ても、理由をこじつけて、少しでも多く徴収したいという国の思惑が透けて見える。そして忘れてはならないのが、ガソリンだけではないということだ。日本の電力の約7割を火力発電が占める中、電気代の高騰も深刻な問題となっている。この夏、光熱費がどれだけ跳ね上がるのか、考えるだけで寒気がする。世界経済も安定にはほど遠い。トランプ関税への報復として中国が同率の関税を発表し、世界は同時株安に突入。日経平均は3月の3万9千円から、既に8千円も下落した。賃上げが進んだとはいえ、物価高に追いつけず、実質賃金は先月もマイナス。インフレと景気後退が同時に襲う「スタグフレーション」の足音がひたひたと迫っている。それでもなお、「10円の補助」でしのげるとでも思っているのだろうか。減税には背を向け、実効性の乏しい支援策でやり過ごそうとする石破内閣に、果たして危機を乗り越える力はあるのか。いま、国民が求めているのは、言葉のごまかしではなく、現実に即した政策だ。即刻、退場を願いたい。
尹錫悦大統領罷免 ― 2025年04月04日

韓国の憲法裁判所が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の罷免を決定した翌日、韓国の主要紙はこの判断を高く評価し、国民の統合を呼びかけた。今回の判断は裁判官全員一致で下され、保守系・革新系を問わずメディアはその正当性と重みを強調した。革新系のハンギョレ新聞は「大統領弾劾は市民の常識と憲法的熱望の勝利」と評し、京郷新聞は「無血の市民革命」と称賛。社説では、民主主義が危機に瀕するたびに国民の力でそれが立て直されてきたと述べている。一方、保守系の朝鮮日報は、昨年12月の非常戒厳から約4カ月にわたり、社会が「心理的内戦状態」と言えるほど分断されたと指摘し、次期大統領候補に対して国民統合への努力を求めた。憲法裁は、戒厳の違憲性や軍を用いた国会封鎖の試みなど、弾劾訴追の主要な争点について全面的に認定。中央日報は「すべての議論に終止符を打った」と強調し、政治家や国民に決定を受け入れるよう呼びかけた。尹氏は、2017年の朴槿恵(パク・クネ)元大統領に続き、史上2人目の弾劾罷免された大統領であり、韓国の憲政史に再び大きな傷跡を残すこととなった。朝鮮日報は現行の大統領制について、与党と野党の極端な対立を生む「無限政争構造」と批判し、大統領選後の改憲を提案している。大統領制は、大統領が国民から直接選ばれ、議会と分立して強い権限を持つため、リーダーシップが安定し迅速な意思決定が可能である。一方で、行政府と議会の対立や権力集中による独裁化のリスクが課題となる。議院内閣制は、首相が議会多数派から選ばれるため政策の一貫性が高く、政権交代も柔軟に行える点が特徴だが、政権の不安定さや連立政権に伴う複雑性、首相の権限制限などの課題もある。いずれの体制も国の実情に即した運用が求められる。
尹大統領の戒厳令発布は、たとえ多数野党による政争に起因したとしても、それを「内乱」と断じたこと自体に大きな問題がある。一方、米国のトランプ大統領が議会承認を経ずに関税政策を進めた例も、「武器なき世界戦争」の始まりとも言え、民主主義としての正当性に疑問が残る。大統領制は、トップが自制的でなければ国内外に分断をもたらすリスクがある。ただし、議院内閣制も行政のコントロールが難しく、選挙を経ない行政官の意向が反映されやすいという点で、必ずしも民主的とは言い切れない。どちらの体制が優れているとは一概に言えないが、いずれも国民の支持が得られなければ政権は交代するため、独裁国家よりははるかに健全である。ただし、マスメディアによる恣意的な偏向報道は、国民の判断を誤らせる恐れがあるため、まずは報道の民主的な手続きを優先的に見直すべきである。
尹大統領の戒厳令発布は、たとえ多数野党による政争に起因したとしても、それを「内乱」と断じたこと自体に大きな問題がある。一方、米国のトランプ大統領が議会承認を経ずに関税政策を進めた例も、「武器なき世界戦争」の始まりとも言え、民主主義としての正当性に疑問が残る。大統領制は、トップが自制的でなければ国内外に分断をもたらすリスクがある。ただし、議院内閣制も行政のコントロールが難しく、選挙を経ない行政官の意向が反映されやすいという点で、必ずしも民主的とは言い切れない。どちらの体制が優れているとは一概に言えないが、いずれも国民の支持が得られなければ政権は交代するため、独裁国家よりははるかに健全である。ただし、マスメディアによる恣意的な偏向報道は、国民の判断を誤らせる恐れがあるため、まずは報道の民主的な手続きを優先的に見直すべきである。
トランプ高関税発動 ― 2025年04月03日

トランプ米大統領は「相互関税」と称する関税措置を発表し、すべての貿易相手国に最低10%の関税を課す方針を示した。さらに、貿易赤字や貿易障壁を考慮し、追加の税率を設定するとした。この措置は米東部時間4月5日未明に基本部分が発効し、9日未明から各国への追加関税が適用される。トランプ氏は日本市場の閉鎖性を批判し、日本のコメには700%の関税が課されていると指摘。日本に24%、EUに20%、中国に34%の関税を設定すると説明した。政府高官は「巨額で慢性的な貿易赤字」が問題であるとし、「緊急事態」を宣言する文書に署名したと述べた。また、相互関税の追加分は貿易赤字の規模や非関税障壁を考慮して算出され、「最悪の違反者」とされる60カ国以上に高い税率が適用される。この措置により貿易摩擦の激化や世界経済への影響が懸念されている。トランプ氏は演説で「今日は長く待ち望んだ解放の日だ」と述べ、相手国に課す税率を示したボードを掲げるなど、強硬な姿勢を示した。さらに、日本車には25%の追加関税を課すとし、日本政府は引き続き米国との交渉に臨む方針を示している。しかし、トランプ氏や米国共和党の真の意図は不透明である。米国製造業の復活を目的とした高関税政策とされるが、高関税は他国からの輸入品価格を引き上げるため、米国内の供給が追いつくまでの間、インフレを引き起こす要因となる。政府が関税収入を国内減税に充てるとしても、輸入量の減少による供給不足がさらなるインフレを招く可能性がある。その結果、関税収入の減少が避けられず、この政策がうまく機能するとは思えない。
一方、各国は米国への輸出依存を減らし、非関税の市場への転換を模索すると考えられる。インフレによって高騰した米国製品は競争力を失い、結果的に中国やインドなどの製品が市場を席巻する可能性が高い。これにより、米国が中国の経済拡大を抑えようとする意図とは逆の現象が起こり、米国抜きのサプライチェーンが形成される契機となるかもしれない。もちろん、米国には世界が追随できないデジタル産業や宇宙・エネルギー産業が存在し、今後もこれらを主要な収益源とすることが予想される。しかし、民生製造業の復活は容易ではない。日本はいつまでも米国に依存するのではなく、大企業は600兆円に達する利益剰余金の半分でも活用して大幅な賃上げを実施し、政府は大幅な減税を行い、国民の可処分所得を増やすことで購買力を強化すべきである。また、政府投資の制限となっているプライマリーバランス論を捨て、積極的な公共投資を推進することが重要だ。日本のGDPの約6割は国内消費が占めるため、これを拡大する努力こそが必要である。米国の高関税政策に振り回されても、決定権は米国にあるため、先行きは極めて不透明である。それよりも、この機を国内生産と消費を伸ばす好機と捉え、政策を展開していくべきだ。しかし、頑なに減税を拒み負担増だけを求め激動する世界情勢の中で何をしたいのかわからぬ現政治体制では、その実現は難しい。
一方、各国は米国への輸出依存を減らし、非関税の市場への転換を模索すると考えられる。インフレによって高騰した米国製品は競争力を失い、結果的に中国やインドなどの製品が市場を席巻する可能性が高い。これにより、米国が中国の経済拡大を抑えようとする意図とは逆の現象が起こり、米国抜きのサプライチェーンが形成される契機となるかもしれない。もちろん、米国には世界が追随できないデジタル産業や宇宙・エネルギー産業が存在し、今後もこれらを主要な収益源とすることが予想される。しかし、民生製造業の復活は容易ではない。日本はいつまでも米国に依存するのではなく、大企業は600兆円に達する利益剰余金の半分でも活用して大幅な賃上げを実施し、政府は大幅な減税を行い、国民の可処分所得を増やすことで購買力を強化すべきである。また、政府投資の制限となっているプライマリーバランス論を捨て、積極的な公共投資を推進することが重要だ。日本のGDPの約6割は国内消費が占めるため、これを拡大する努力こそが必要である。米国の高関税政策に振り回されても、決定権は米国にあるため、先行きは極めて不透明である。それよりも、この機を国内生産と消費を伸ばす好機と捉え、政策を展開していくべきだ。しかし、頑なに減税を拒み負担増だけを求め激動する世界情勢の中で何をしたいのかわからぬ現政治体制では、その実現は難しい。
兵庫県第三者委員会 ― 2025年03月26日

兵庫県の第三者委員会は、斎藤元彦知事に関する告発文書問題の報告書を公表した。報道によると、同委員会は、告発者への対応が公益通報者保護法に明らかに違反しており、元県幹部男性を懲戒処分とした行為を裁量権の乱用として無効と指摘した。また、職員への叱責など10件をパワハラと認定し、斎藤氏が昨年3月の記者会見で「公務員失格」「嘘八百」と非難した行為もパワハラに該当すると評価した。斎藤氏は記者会見で、問題の文書を「誹謗中傷性が高い」と述べる一方、県議会では「政策推進の過程で至らない点があった」と認め、職員に負担をかけたことを謝罪した。この問題は知事の対応や県政の透明性への批判を浮き彫りにし、県政運営における改善が求められている。メディアは斎藤知事批判一色だが、これらの報道は偏りがある。第三者委員会の報告の概要は、告発文の内容とされる7項目のうち、公益通報と認められるものはパワハラの1項目だけだが、公益通報内容が一つでも含まれているなら、誹謗中傷部分とまとめて懲戒処分してはならないというものだ。パワハラは労働環境に関わる問題であり、その告発は社会的に有益な内容だ。パワハラに関する問題は内部告発として保護されるべきであり、県は透明性を持ってその対応を行う必要がある。他の6項目については、もしそれらが事実に基づかない誹謗中傷であると判断される場合、懲戒理由として説明することは可能である。ただし、誹謗中傷として懲戒を行うには、その内容が虚偽であることを証明しなければならない。告発内容が事実に基づいていない場合、名誉毀損や虚偽告発として懲戒処分を行うことが適法となる。懲戒処分を行う場合、その理由が法的に適切であることを証明することが求められる。告発内容が業務と無関係であり、虚偽または不正な内容である場合、それに基づく懲戒処分は正当とされる。告発者保護も重要な要素で、公益通報に該当する部分については報復を避け、告発者が不利益を被らないようにする必要がある。
知事の「不満があるからといって、業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格」発言は、業務時間中に私的な文書を作成し流布する行為を公務員として不適切だと指摘した。また、「嘘八百を含めて」という表現から、告発内容が虚偽であることを強調している。この発言は、公益通報に該当する内容(パワハラ問題)を含めて懲戒理由として扱われた可能性がある。知事の発言はその全体を一緒に問題視しており、公益通報の部分まで懲戒対象とした可能性がある。つまり告発文書がばらまかれた時点で、県はパワハラの問題は公益通報にあたると判断して内容に触れず、それ以外の中傷文書が勤務時間中の作成で中傷内容を県庁外部にばらまいたことは県の信用失墜にあたるとして懲戒処分を分けて行えばよかったということだ。メディアは「告発文書の犯人捜しをした」と斎藤知事を第三者委員会が全面的に悪と断罪したかのように触れ回るが、これは正しい報道姿勢とは言えない。とはあれ、斎藤知事の釈明を見ているとなんとも稚拙でぎこちない。揚げ足を取られまいと大事な説明を端折ってしまっては、ごまかしていると人には映るということが未だに理解できていないようだ。まじめに県政を進めようとしているのは分かるが、この態度が政治家の器ではないなと思われてしまうのが残念である。べらべらねばねば説明しても結論のない石破氏と比較すればはるかにましなのだが・・・。
知事の「不満があるからといって、業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格」発言は、業務時間中に私的な文書を作成し流布する行為を公務員として不適切だと指摘した。また、「嘘八百を含めて」という表現から、告発内容が虚偽であることを強調している。この発言は、公益通報に該当する内容(パワハラ問題)を含めて懲戒理由として扱われた可能性がある。知事の発言はその全体を一緒に問題視しており、公益通報の部分まで懲戒対象とした可能性がある。つまり告発文書がばらまかれた時点で、県はパワハラの問題は公益通報にあたると判断して内容に触れず、それ以外の中傷文書が勤務時間中の作成で中傷内容を県庁外部にばらまいたことは県の信用失墜にあたるとして懲戒処分を分けて行えばよかったということだ。メディアは「告発文書の犯人捜しをした」と斎藤知事を第三者委員会が全面的に悪と断罪したかのように触れ回るが、これは正しい報道姿勢とは言えない。とはあれ、斎藤知事の釈明を見ているとなんとも稚拙でぎこちない。揚げ足を取られまいと大事な説明を端折ってしまっては、ごまかしていると人には映るということが未だに理解できていないようだ。まじめに県政を進めようとしているのは分かるが、この態度が政治家の器ではないなと思われてしまうのが残念である。べらべらねばねば説明しても結論のない石破氏と比較すればはるかにましなのだが・・・。
非核神戸方式 ― 2025年03月25日

神戸港では「非核神戸方式」に基づき、外国艦艇に核兵器不積載証明書の提出を求めてきたが、証明書を提出していない米海軍掃海艦「ウォーリア」が入港した。1975年に同方式が採択されて以来、米艦が寄港するのは初めてのことだ。市は外務省や米国政府との調整を経て、核兵器を積載していないとの確認を受け、入港を許可したが、市民団体が反発している。証明書未提出での入港は1998年のカナダ軍艦艇以来2例目である。市議会は1975年に核兵器搭載艦の入港拒否を決議し、以後50年間で外国艦艇22隻が入港し、そのうち21隻が証明書を提出した。しかし、今回の市の決定に対して原水爆禁止兵庫県協議会や市民団体が抗議し、「非核神戸方式を裏切る」と非難する声が上がっている。世界には約5,000の商業港があるが、外国艦艇に核兵器不積載証明書の提出を正式に求める港はごく少数である。日本では神戸港、広島港、長崎港、またニュージーランドではオークランド港やウェリントン港が証明書の提出を求めている。世界ではこれらの港を合わせても数十港程度にとどまり、全港数の中では極めて少数である。多くの国では核兵器の存在を曖昧にする政策を採用しており、証明書提出を求める制度は限定的だ。外国艦艇に核兵器不積載証明書の提出を求めない港が圧倒的に多いのは、主に安全保障上の配慮、同盟関係、経済的・軍事的関係、検証の困難さが理由だ。核保有国は敵対国への抑止力を維持するため、核兵器の有無を明確にしない曖昧戦略を取っており、証明書の要求は外交的に困難である。また、核の傘の提供を受ける国々では核抑止力を重視し、証明書提出を求めることを避ける傾向がある。さらに、港湾を運営する国や都市は貿易や軍事協力の重要性から関係悪化を懸念し、証明書提出を要求しないことが多い。加えて、核兵器の有無を実際に確認することは技術的・政治的にも困難だ。
自治体が核兵器を拒否して宣言するものは非核平和都市宣言で、その採択割合は日本の自治体の半分程度と言われている。これは1971年に衆議院で非核三原則を支持する決議に沿ったもので、政府の公式見解に異を唱えたものではない。ただ、実際には米軍基地に核兵器が持ち込まれていることは公然の秘密となっており、非核平和都市宣言は政府の曖昧な姿勢に対する抗議の意味もある。神戸市の施策もこれに属したものだ。今回、市が証明書提出を不問にしたのは、掃海艦が機雷を除去する船で核兵器を搭載する装備は通常ないことが知られているからかもしれない。しかし、軍隊が他国に兵器の内容を示すことは手の内を見せることに等しく、抑止の観点からも安全保障上はあり得ないことだ。米国の同盟国である日本がそれを求めることは国益にもつながらないのは自明である。非核三原則の「持ち込ませず」は、中露北に核兵器を向けられた現在の日本の安全保障情勢では国益に沿わない原則と言える。自国が他国には手を出さないと言っても、勝手に侵攻してくる他国には関係のないことだ。相手国に手の内を見せず、どんな兵器があるか分からないという抑止力は必要だ。責められるのは神戸市ではなく、時代に沿わない議決を放置している国会の毅然としない姿勢である。
自治体が核兵器を拒否して宣言するものは非核平和都市宣言で、その採択割合は日本の自治体の半分程度と言われている。これは1971年に衆議院で非核三原則を支持する決議に沿ったもので、政府の公式見解に異を唱えたものではない。ただ、実際には米軍基地に核兵器が持ち込まれていることは公然の秘密となっており、非核平和都市宣言は政府の曖昧な姿勢に対する抗議の意味もある。神戸市の施策もこれに属したものだ。今回、市が証明書提出を不問にしたのは、掃海艦が機雷を除去する船で核兵器を搭載する装備は通常ないことが知られているからかもしれない。しかし、軍隊が他国に兵器の内容を示すことは手の内を見せることに等しく、抑止の観点からも安全保障上はあり得ないことだ。米国の同盟国である日本がそれを求めることは国益にもつながらないのは自明である。非核三原則の「持ち込ませず」は、中露北に核兵器を向けられた現在の日本の安全保障情勢では国益に沿わない原則と言える。自国が他国には手を出さないと言っても、勝手に侵攻してくる他国には関係のないことだ。相手国に手の内を見せず、どんな兵器があるか分からないという抑止力は必要だ。責められるのは神戸市ではなく、時代に沿わない議決を放置している国会の毅然としない姿勢である。
議会行政の懇親会廃止 ― 2025年03月24日

長野県山ノ内町は、町議会3月定例会後に毎年開催してきた町幹部と町議の懇親会を本年度から廃止した。懇親会は町側が新年度予算案を可決した議会側に感謝し、議会側が退職する町幹部職員を慰労する目的で長年続いてきた。しかし、町職員にとっては勤務時間外に自費で参加する半ば公務のような負担が生じており、「時代に合わない慣例」として見直しが求められていた。懇親会は3月の定例会に加え、議会の決算認定後の9月定例会後にも町内の温泉旅館で開催されていた。町長や課長級職員、町議が参加し、1人あたり5千円から6千円を自己負担していた。参加は任意とはいえ、事実上「全員出席が原則」とされ、負担に感じる職員も少なくなかった。町長はこうした背景から「懇親会を否定するわけではないが、働き方改革が進む中、慣例だからといって続けるのはいかがなものか」と述べ、議会側に中止を提案した。町議会議長は「町主催のため開催の判断は町に委ねるしかないが、町議の中には率直に話せる場がなくなることを惜しむ声もある」とコメントした。廃止の趣旨は働き方改革だが、石破首相の新人議員懇親会での商品券渡しの問題に便乗した廃止かもしれない。行政と議会には適度な緊張関係が必要だ。たとえ自腹であっても、公務外に仕事の関係性を持ち込む必要はない。また、その関係性は「センセイ」や「与党」が優越的なので対等ではない。その優越的な関係性で半ば強制となる懇親会を廃止した町長の判断は適切だったと思う。
飲み会は本来の懇親の意味では嫌いではないが、公務の上下関係が丸出しになるような懇親会は好まない。昔は何度か抵抗してきたが、同調圧力に負けて諦めた苦い記憶がある。こうした懇親会は支配と服従の下心が透けて見えてしまう。もちろん、参加して話してみれば人それぞれの人となりが見えて、その後の公務がスムーズになるという意見は理解できなくもない。しかし、結局は自分の仕事のために有益なのだから気にするなという発想には馴染めない。一堂に会する懇親会をなくすと、個別の誘い合いが横行したり、招待が不公平だと言われたりしてかえって面倒だというのは強者の理屈だ。私的な時間に自ら懇親会を開催し、気に入った人を呼ぶのは一向に問題がない。その際の経費が主催者持ちだろうが割り勘だろうが構わない。誘われた人の判断で参加すればよいだけだ。プライベートな関わりにも上下関係はあるが、それは双方が個人的に了解した契約だ。公私を混同するなと言うが、社会生活においてはなかなか難しい問題だ。しかし、同調圧力を用いた懇親会が公務に良い成果を生み出すというのは昭和の幻想でしかない。
飲み会は本来の懇親の意味では嫌いではないが、公務の上下関係が丸出しになるような懇親会は好まない。昔は何度か抵抗してきたが、同調圧力に負けて諦めた苦い記憶がある。こうした懇親会は支配と服従の下心が透けて見えてしまう。もちろん、参加して話してみれば人それぞれの人となりが見えて、その後の公務がスムーズになるという意見は理解できなくもない。しかし、結局は自分の仕事のために有益なのだから気にするなという発想には馴染めない。一堂に会する懇親会をなくすと、個別の誘い合いが横行したり、招待が不公平だと言われたりしてかえって面倒だというのは強者の理屈だ。私的な時間に自ら懇親会を開催し、気に入った人を呼ぶのは一向に問題がない。その際の経費が主催者持ちだろうが割り勘だろうが構わない。誘われた人の判断で参加すればよいだけだ。プライベートな関わりにも上下関係はあるが、それは双方が個人的に了解した契約だ。公私を混同するなと言うが、社会生活においてはなかなか難しい問題だ。しかし、同調圧力を用いた懇親会が公務に良い成果を生み出すというのは昭和の幻想でしかない。
ファタハとヨルダン川西岸 ― 2025年03月23日

パレスチナ自治政府のアッバス議長率いるファタハは22日、対立するハマスに対し、ガザ地区のパレスチナ人の存立を守るため権力を放棄するよう求めた。ファタハは、ハマスが統治を続ければパレスチナ人の存在が危機に直面すると警告。ハマスは2007年にガザの権力を掌握して以降、和解の試みは失敗している。2023年10月のハマスの越境攻撃に対するイスラエルの報復攻撃でガザは壊滅的な被害を受けた。ハマスは戦後にガザ支配を返上する用意があるものの、武力放棄は拒否。エジプトの提案する専門家らによる独立委員会の設置を支持しつつ、民族的合意を重視すると表明した。一方、アッバス議長は同委員会をパレスチナ自治政府に報告させるべきだと主張し、自治政府のガザ統治の正当性を強調しているが、イスラエル政府はこれを拒否している。パレスチナ問題は非常に複雑で、解決の糸口を見出すのは容易ではない。ガザをイスラエルに、ヨルダン川西岸をパレスチナにというような和平策が考えられるかもしれない。
1967年の六日戦争におけるヨルダン川西岸の占領も、ユダヤ人を排斥しようとするイスラム勢力のテロやアラブ諸国の挑発が契機となった。結果的にイスラエルを孤立させ、独立した民主国家が反撃したのは当然ともいえる。ただ、パレスチナ側もハマスの武力を排除して政権を統一するならば、イスラエルはヨルダン川西岸をパレスチナに一気に返還し、破壊し尽くしたガザはイスラエルに帰属させて復興を進める方法も考えられるのではないか。しかし、米国の軍事力を背景にしたイスラエルがパレスチナの要求に容易に応じることは考えにくい。イスラエルの占領地の割譲と引き換えに交渉を進めるのが現実的かもしれないが、中露寄りの立場を強めるイランの影響もあり、簡単には進展しないだろう。
1967年の六日戦争におけるヨルダン川西岸の占領も、ユダヤ人を排斥しようとするイスラム勢力のテロやアラブ諸国の挑発が契機となった。結果的にイスラエルを孤立させ、独立した民主国家が反撃したのは当然ともいえる。ただ、パレスチナ側もハマスの武力を排除して政権を統一するならば、イスラエルはヨルダン川西岸をパレスチナに一気に返還し、破壊し尽くしたガザはイスラエルに帰属させて復興を進める方法も考えられるのではないか。しかし、米国の軍事力を背景にしたイスラエルがパレスチナの要求に容易に応じることは考えにくい。イスラエルの占領地の割譲と引き換えに交渉を進めるのが現実的かもしれないが、中露寄りの立場を強めるイランの影響もあり、簡単には進展しないだろう。
再エネ賦課金値上げ ― 2025年03月22日

経済産業省は、令和7年度の再生可能エネルギー普及のための「再エネ賦課金」を1キロワット時当たり3.98円に設定したと発表した。これにより、標準家庭の電気料金には月額1,592円、年額19,104円が上乗せされ、国民全体の負担は年間3兆634億円に達し、初めて3兆円を超える。この金額は令和6年度の3.49円から0.49円の上昇となり、標準家庭では月額196円、年額2,352円の増加となる。この賦課金は平成24年度に導入されたものであり、再エネの普及状況や市場価格を踏まえて毎年度経済産業相が設定している。令和5年度には、ウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰の影響で一時的に単価が1.40円に下がったが、その後、令和6年度には元の水準へと引き上げられた。再エネ賦課金の増加は継続しており、負担増加が国民生活に影響を与えている。この制度は再生可能エネルギーの普及を促進するための政策の一環とされているが、今後の負担軽減策についても議論の余地がある。我が家では、月平均700kWhの電力を使用しており、月額約3,000円、年額3万円を超える賦課金を支払うことになる。賦課金は電気使用量そのものではなく、太陽光パネルを設置する企業のために国民全体が支払う「税金」のようなものである。この制度を決定したのは、立憲民主党の前身である民主党の菅直人政権である。当時、原発は放射能事故の危険性、火力発電は二酸化炭素排出による環境への影響が懸念され、再エネへの転換を図るため、政府が財政出動するのではなく、この賦課金制度が導入された。その結果、日本中に太陽光パネルが設置されたが、これにより二酸化炭素排出量がどれだけ減少したのかは、製造過程や処分過程を考慮すると明確ではない。一方で、高効率の石炭発電の新技術の方が削減効果が明確であるとされる。さらに自然任せの発電では発電低下した全域を賄う電力を蓄電するインフラがないので、同じ発電量の火力発電所を待機させておくことになり非効率この上ない。
2012年当初、再エネ賦課金は1kWhあたり0.2円で、「月額コーヒー一杯程度の負担」と説明されていたが、現在ではその18倍を支払う状況となっている。消費電力は横ばい、もしくは減少傾向にあるにもかかわらず、賦課金の増加は止まらない。燃料代高騰といっても、2012年と比較して電気代は約1.5倍程度の増加にとどまっているが、賦課金の上昇は天井知らずである。先日、OECDから日本の石炭消費削減を求める報告があったが、化石燃料の消費が減少すれば、再エネ発電の需要がさらに増加する可能性がある。二酸化炭素排出量が減少しても、国民生活が破綻しては意味がない。日本と他の先進国の違いは、所得の伸びにある。日本の実質賃金はマイナス成長である一方、先進国の平均所得は軒並み増加している。つまり、支払える可処分所得に大きな差がある。電気料金が高ければ、産業も国際競争に勝てない。このような負のスパイラルを生む制度は、即刻廃止されるべきである。
2012年当初、再エネ賦課金は1kWhあたり0.2円で、「月額コーヒー一杯程度の負担」と説明されていたが、現在ではその18倍を支払う状況となっている。消費電力は横ばい、もしくは減少傾向にあるにもかかわらず、賦課金の増加は止まらない。燃料代高騰といっても、2012年と比較して電気代は約1.5倍程度の増加にとどまっているが、賦課金の上昇は天井知らずである。先日、OECDから日本の石炭消費削減を求める報告があったが、化石燃料の消費が減少すれば、再エネ発電の需要がさらに増加する可能性がある。二酸化炭素排出量が減少しても、国民生活が破綻しては意味がない。日本と他の先進国の違いは、所得の伸びにある。日本の実質賃金はマイナス成長である一方、先進国の平均所得は軒並み増加している。つまり、支払える可処分所得に大きな差がある。電気料金が高ければ、産業も国際競争に勝てない。このような負のスパイラルを生む制度は、即刻廃止されるべきである。