選手を守る試合日程制度 ― 2026年08月23日

選手を守る試合日程制度
智弁和歌山が健大高崎に逆転2ランを許しながらも、直後にスクイズと相手ミスで再逆転。強打と粘りの攻撃で5年ぶり4度目の優勝をつかんだ。甲子園には魔物が住むというが、制度そのものは魔物ではない。高校野球の日程には、一般にはあまり知られていない慣習がある。それは、抽選で決まった試合番号をそのまま試合順として使用する方式である。本来これは公式ルールではなく、過去の大会運営の都合から生まれた名残である。しかし、この慣習が現在の甲子園の日程を複雑かつ不自然にしている一因となっている。しかもこの慣習は、選手の安全に直接関わる日程構成にまで及んでおり、看過できない問題である。トーナメントを公平に組み合わせるためのブロック制くじ引きは、近隣県同士が初戦で当たらないようにするための合理的な配慮であり必要である。しかし、くじ引きで決めたブロック分けをそのまま試合順にまで反映させる必然性はなく、制度の目的と手段が混同されている。組み合わせと試合順は切り離して考えるべきである。

この方式が残ることで、トーナメントのラウンドが自然な順番で進まなくなる。Aブロックは2回戦に入っているのに、Bブロックはまだ1回戦を行っているといった状況が生じ、学校ごとの試合間隔が大きくばらつく。本来、トーナメントの日程は規則的に進行し、どの学校もできる限り均等な休養時間を確保できるように組まれるべきである。にもかかわらず、ブロックごとの変則進行が残っているため休養日数が不均等となり、投手の負担が不合理に増大する。抽選による組み合わせ決定と、選手の負担を考慮した試合順の設定は、本来別の問題である。

さらに深刻なのが、真夏の甲子園における暑さである。近年はWBGT(暑さ指数)を用いた熱中症対策が強化され、午後の高温帯を避けるため夕方以降に試合を行う2部制も導入されている。しかし実際には、2026年大会でも正午から午後2時台にかかる試合が多数組まれており、制度が掲げる暑さ対策と実際の日程との間には大きな隔たりがある。甲子園ではすでにナイターも実施されており、試合時間を夕方以降へ移すこと自体は特別な運営ではない。であるならば、選手保護を優先して正午前後から午後3時前後までの最も暑い時間帯を避けることは当然検討すべきである。制度は例外ではなく原則で運営されるべきであり、暑さ対策を日程構成の原則へ昇格させる必要がある。

そこで、今後の甲子園は原則として1日3試合とし、第1試合を午前8時、第2試合を午後3時30分、第3試合を午後6時ごろに設定する方式へ移行すべきである。この構成なら真昼の試合を避けながら、現在すでに行われているナイター運営も活用できる。さらに、トーナメント表の左から順に試合を進め、各校の次戦までの休養時間をできる限り均等にすれば、投手の負担を制度的に抑制できる。もちろん、1日3試合にすれば大会日数は増える。しかし、高校生が真夏の炎天下で競技する以上、安全確保に必要な日数を最初から大会日程に組み込むことこそ大会運営の責任である。高校野球は教育の一環であり、安全確保は競技以前の前提である。

結論として、甲子園の日程改革で優先すべきなのは、伝統的な試合順や大会日数ではなく選手を守ることである。そのためには、組み合わせを決めるためのブロック制くじ引きは維持しつつ、そこから派生した試合順固定という、現在では合理性を失った慣行を廃止し、試合順を選手の休養と安全を基準に組み直すべきである。そして、正午前後から午後3時前後の危険な時間帯を避けた1日3試合方式へ移行することが不可欠である。伝統は安全の上に成立する。高校生の安全を守ることこそ、甲子園の伝統を未来へつなぐ道である。

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