『川のほとりに立つ者は』2023年03月19日

「誰もが同じことを同じようにできるわけではないのに、「ちゃんと」しているか、していないか、どうして言い切れるのか。」小説『川のほとりに立つ者は』は発達性ディスレクシアを題材にしたものだ。DVを発端にした事件から友情や恋愛を描いていく。関西弁なので親しみやすい文体で久しぶりにすっと入ってきた読み物だ。「ただちょっと運がよかっただけのくせに、偉そうに」している自分に気がつく。自分も子どものとき友人たちはすらすらと学習課題がこなせるのに自分は明日の予定の板書さえ写しきれずにいた。当然、忘れ物の山となり仲間同士のマウンティングの格好の餌食になった。大人になると今度は反対に自分より劣ると感じた他者を何人もマウンティングしてきた。

「生まれつき備わっているもの」は能力だけではない。生育環境の違いを「親ガチャ」と最近の子どもは言うらしいが、子どもの力ではどうしようもないんだと言う気持ちが表れている。もともと違うスタートラインなのに「不公平な競争」をうすうす気づきながらしている。格差は運命だと悟るのは簡単だ。しかし、どんなに孤独な人でも人は物心支え合って生きている。この世の存在として作用しあって生きていく。それならお互いを違うと面白がってかかわりあえた方が良い。
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