岡山県P連解散2024年09月04日

PTA会員が問題ではない
岡山県PTA連合会(県P連、岡山市北区津島東)が2024年度末で解散する。県内各郡市の加盟団体の退会が相次ぎ、活動の継続が困難と判断したためだ。都道府県単位の連合会の解散は全国初である。県P連は1948年に設立され、2008年度には県内全21郡市の連合会が加盟し、会員数は約18万人。しかし現在は瀬戸内市や備前市などの5団体、約9千人にまで減少している。活動費は主に加盟団体の会員数に基づく年会費で賄われており、十分な事業に取り組めないとして4月の臨時総会で解散を決定した。県P連によると、2009年度に政令指定都市に移行した岡山市を皮切りに退会する団体が続出し、2023年度には残る10団体のうち5団体が退会した。研修や会議への出席が負担であることや、年会費を支払うメリットを感じられないといった理由が挙げられている。県P連神田敏和会長は「加盟団体の退会を防ごうと努力してきたが、限界が来た。歴史ある県P連の解散は残念であり、申し訳ない」と述べた。岡山県教委は「県P連が担ってきた情報共有や研修については、県教委としてカバーする体制を整えたい」という。この報道に対して、保護者のPTA離れを理由にPTA不要論を煽るものが多いが全く筋違いだ。

記事にもあるように、2009年岡山市が政令指定都市になる際の合併各自治体の権力争いの影響を受け市P解散につながる。当時岡山市の児童生徒数5万に近い会員が県Pを抜けた。ただ、政令指定都市Pは日P傘下に入るので、岡山市の会員数分が減少するのは県Pは織り込み済みのはずだ。だが、組織の3割弱を失った岡山県Pは会員減少に見合った運営見直しを怠り漫然と運営を続けたらしい。業を煮やした倉敷市P(3万)などが組織運営や財政の透明化を求めたが県Pがこれに応じず、求心力を失った県Pから続々と市町村Pが脱退していったというのが会員減少の原因だ。PTAは保護者会とは違い親と教師の組織で、各P事務局は教育委員会職員が行うのが慣例だ。つまり県Pの実質的な運営は県教委が握っている。運営の透明化が求められたのに応じず、組織改革ができなかった原因は15年間にわたる県教委と県P役員の無策と怠慢であり、末端の会員の責任ではない。最多会員の倉敷市を失い求心力のない県Pを県教委の不作為で葬ったともいえる。加えて倉敷市Pに県P再加盟を促さなかった倉敷市教委の不作為も一因といえる。また、地方の政令指定都市が様々な側面で県の力を削いでいる問題かもしれない。ところが地元紙を含め各報道はこの件について全く触れずに、少子化や親のPTA離れ、旧態依然としたPTA問題の一般論にすり替えている。岡山と同規模の福島・長野・岐阜の県Pで激しい会員減少はない。地元のメディアの正しい報道と解説を待ちたい。
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