高等部卒業生の高校入学2024年11月07日

大阪府教育庁は令和7年度から、特別支援学校高等部を卒業した人を夜間定時制高校に編入学という形で受け入れる方針を決定した。これにより、これまで独自規定で受験資格を認められていなかった人々にも高校で学ぶ機会が開かれることになる。背景には文部科学省が4月に出した通知があり、高校を卒業したことがある場合も入学資格があると明確に示された。この方針転換により、大阪府内で昨年度に受験を断念せざるを得なかったケースもあったことから、今後は学び直しの場を提供することが重要と判断された。特別支援学校高等部は高校と勘違いされている方が多いが、教育課程が全く違うので高校卒業とはならない。ただ、高卒資格を必要とする大学受験は可能だ。また、特別支援学校高等部卒業者は、一般的には高校受験資格は異なる教育課程なので法的には受験可能だが、公立高校受験資格は各都道府県が決定するので各自治体が独自の規定を設けてよいことになっている。

大阪府では、12年間の課程を修了した人などを「公立高校の受験対象外」としてきた。この規定は大阪府独自のもので、他の都道府県には同様の制限は一般的には存在しない。大阪府のこの規定は、初めて受験する中学生の進路保障を優先するために導入されたものだったという。ただ、気になるのは、発達障害や難病の生徒に特別支援学校高等部を進路先として積極的に指導してきた中学校の進路指導指導だ。これは、「個人につく支援」ではなく「場につく支援」が未だに続いている結果でもある。さらに義務教育で学校が障害に応じた支援が不十分だった結果、高校進学の学力がつけられなかった場合も少なくない。特に「読む書く」ことだけに障害のある発達性ディスレクシアの生徒がそれにあたる。読み書き障害に学校の支援が行き届かなかった結果低学力になり特別支援学校で知的障害扱いされている生徒も少なくない。大阪の規定が全国並みになったことは良いことだが、義務制学校や高校で読み書き障害に対する支援が当たり前に提供されることこそが大事だ。
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