匿名・流動型犯罪グループ2024年11月14日

アウトロー系インフルエンサー
警視庁暴力団対策課は、東京都文京区に住む会社役員・田記正規容疑者(43)と横浜市の総合格闘家・宿輪幸治容疑者(33)を含む20~40代の男性5人を、住居侵入の疑いで逮捕した。田記容疑者は、X(旧ツイッター)で「Z李」として知られるアカウントの運営者の一人とされ、90万を超えるフォロワーを持つ「アウトロー系インフルエンサー」と呼ばれる。暴対課は、彼らがSNSを通じて脅迫や恐喝を行う匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」として活動している疑いがあるとみて解明を進める。逮捕容疑は、令和4年11月に東京都江戸川区のマンションに住む男性宅へ無断で侵入し、1時間以上居座ってライブ配信したというもの。容疑者らは当時、この男性とバイク盗難に関するトラブルがあり、住居に侵入する様子を撮影してXに投稿していたとされ、目撃者の通報で事件が発覚した。最近の社会面は「トクリュウ」案件ばかりが報じられる。闇バイトだのホワイト案件だの、投資詐欺やらロマンス詐欺、銅線窃盗団に至るまでSNSを使って不特定多数に犯罪を呼び掛け実行する匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」が大流行中だ。

今回の事件は「住居侵入」「脅迫・恐喝」を組織した「トクリュウ」ではないかという容疑だが、警視庁は裏で暴力団や半グレ集団など反社勢力と結びついているのではないかという疑いをかけているのだろう。しかし、「アウトロー系インフルエンサー」の始まりは、立花氏やガーシー氏ら、その取り巻きがYoutubeを使って政治家や資産家、芸能人の不祥事の告発を配信する「世直し系Youtuber」と呼ばれていたものだ。ただ、Youtubeは視聴回数で配信報酬が決まり100万回視聴で平均30万円程度の報酬といわれる。視聴回数を稼ぐために内容が過激化し、「私人逮捕」や対象者の居宅前での拡声器を使用した様子の配信など度を越したものになった。視聴者にとっては「他人の不幸は蜜の味」と非常識と知りつつ視聴を繰り返すので、演者はさらに過激になるという悪循環に陥っている。さらに問題なのはフォロワーという固定視聴者が演者の呼びかけで、対象者を探して付きまとったり攻撃したりすることだ。この仕組みは「トクリュウ」そのものなので法的な規制が必要だ。SNSは万人が情報を発信する時代をつくり、巨悪を告発することもできるが、弱者を餌にして稼ぐ犯罪も生み出す。厄介な時代になった。この「アウトロー系インフルエンサー」が書いた小説のドラマ配信が予定されていたが、「コンプライアンス」とかでオクラになるかもしない。
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