日経平均が連日の爆上2025年08月20日

日経平均が連日の爆上
日経平均が連日の爆上げ、43,000円台を突破し、テレビもネットも「史上最高値!」と大騒ぎだ。だが、その熱狂の裏にあるのは、輸出大手の業績好調と外国人投資家の資金流入という、いわば“外需頼みの一夜城”にすぎない。日銀短観によれば、輸出企業の業績指数は前年同期比で10%以上上昇している一方、国内サービス業や小売の業況判断指数は依然としてマイナス圏。特に、セブンイレブンをはじめとするフランチャイズ経営は、原材料費や人件費の高騰で利益率低下に喘ぎ、家計も消費者物価指数(CPI)の前年比+3%超の上昇に対し、名目賃金はわずか1%台の伸びにとどまっている。

こうした状況下では、家計は財布のひもを固く結び、国内消費の底上げは限定的だ。株高の熱狂とは裏腹に、現実の景気は外需と株価に依存した薄氷の上にある。こうした脆弱な構造では、少しの利率変動や海外リスク、食品価格の暴騰で景気が急冷する可能性が高い。コメや小麦など主食価格はここ1年で10%以上上昇、原材料費高騰による小売価格への転嫁も進んでおり、米国金利の変動や地政学リスク、円高・円安の急変は内需を直撃しかねない。輸出企業が好調でも、内需依存型産業が支えられなければ、株高は表面的な好景気に過ぎず、容易に崩れ得るのだ。

だからこそ、政府はこの好機を逃すわけにはいかない。減税で家計の可処分所得を押し上げ、公共投資で雇用と地域経済を直接支援すべきだ。インフラ整備や住宅建設、地方振興への支出は、短期的には景気を底支えし、長期的には経済構造の強化につながる。財源の議論に時間を費やす余裕はない。今動かなければ、外需依存の薄氷景気は、コストインフレや海外リスクにより一気に崩れるだろう。さらに重要なのは、現状のインフレに対して日銀が利上げで対応するのは誤りだということだ。金利を上げれば住宅ローンや企業の借入負担が増え、内需を直撃して景気を冷やすリスクが高い。実際、過去10年間の日本の利上げ局面では、消費者マインドや住宅投資が即座に落ち込む傾向が確認されている。現時点で必要なのは、為替や金融政策に目を奪われることではなく、国内投資と消費喚起に全力を注ぐことだ。

しかし残念なことに、この大事な局面で石破氏は政権にしがみつき、野党は弱小与党から声がかかるのを待つばかり。政治の機能不全が続く限り、政府は大胆に動けず、国民経済の脆弱性は放置されたままだ。週刊誌が煽る「史上最高値」の裏で、真の勝者は政策を巧みに動かし、内需の基盤を固める者だけだ。株高に浮かれる投資家が踊る間に、政府が手を打ち、国内景気の底上げを図ることこそ、今まさに求められている。さもなければ、外需依存の薄氷経済は、コストインフレ、賃金停滞、雇用不安、海外リスクのいずれかで、一瞬にして崩れ去るだろう。

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