クリミア半島奪還は困難 ― 2025年04月26日
ウクライナのゼレンスキー大統領は、クリミア半島の武力奪還は困難であり、米国の派兵も不要との見解を示した。これはトランプ前米大統領による停戦案を念頭に置いた発言とされる。この停戦案は、クリミアのロシア領承認、戦線の現状維持、ウクライナのNATO加盟断念を含み、ロシア寄りだと批判されている。トランプ氏は、ウクライナは米国との鉱物協定に即時署名すべきだと主張し、ロシアとウクライナが合意に近づいていると述べた。一方、ゼレンスキー大統領は武力以外の手段として制裁や経済的・外交的圧力を強調し、領土を譲らない姿勢を示した。国際社会は、クリミアの併合を国際法違反と見なし、停戦と安全保障の透明性を求めている。ウクライナおよび欧州の同盟国は、停戦合意が地域の安全保障を犠牲にしかねないと懸念している。戦況を見る限り、これが現実であろう。世論はロシアの侵略に屈すべきではないとするが、第2次大戦後、ソ連・ロシアの侵攻を跳ねのけた例はフィンランドとアフガニスタンに限られる。フィンランドは冬戦争で森林を活かした戦術によりソ連軍に損害を与え、外交交渉で独立を維持した。アフガニスタンは山岳地形を利用したゲリラ戦と米国などの支援によりソ連軍を撤退させた。ただし、フィンランドは国土の約10%を失い、アフガニスタンもソ連撤退後、武装勢力の混乱で国内外に不安定をもたらした。ロシアの思惑は半ば達成されたとも言える。
我が国の北方領土も、戦後の混乱の中でソ連に占拠され、80年近く返還されていない。ソ連崩壊後、東欧諸国は独立したものの、ロシアは依然として軍事的に弱い国々への侵攻を続けてきた。2014年には、親ロシア派政権下のウクライナですら、ロシアの軍事圧力のもと住民投票が行われ、クリミア半島が奪取された。当時の米国オバマ政権は、プーチンの行動を抑止できなかった。世界はいま、トランプがウクライナ有利に動くべきだと求めるが、これまでの経緯を考えると実現は困難に思える。つまり、第2次大戦後も「力による現状変更」は中露により続けられてきたのが実態だ。中国もこれを踏まえ台湾併合を狙っており、ロシアとの連携を図る動きも見られる。アメリカは中国に対抗するためロシアへの影響力強化を模索しているのだろう。もし、中国に停戦主導を委ねても同じようにロシア有利に進む。中国を国際的非難の的にする戦略もありうるが、リスクが高すぎると米国は判断したのだろう。こうした情勢を踏まえれば、中露北に囲まれた日本も他人事ではない。いつまでも米中の間で均衡外交を続けるわけにはいかず、現実的な国益を見据え、どちらに軸足を置くかの決断が迫られている。政党幹部が中国を訪問して機嫌を取っている場合ではない。
我が国の北方領土も、戦後の混乱の中でソ連に占拠され、80年近く返還されていない。ソ連崩壊後、東欧諸国は独立したものの、ロシアは依然として軍事的に弱い国々への侵攻を続けてきた。2014年には、親ロシア派政権下のウクライナですら、ロシアの軍事圧力のもと住民投票が行われ、クリミア半島が奪取された。当時の米国オバマ政権は、プーチンの行動を抑止できなかった。世界はいま、トランプがウクライナ有利に動くべきだと求めるが、これまでの経緯を考えると実現は困難に思える。つまり、第2次大戦後も「力による現状変更」は中露により続けられてきたのが実態だ。中国もこれを踏まえ台湾併合を狙っており、ロシアとの連携を図る動きも見られる。アメリカは中国に対抗するためロシアへの影響力強化を模索しているのだろう。もし、中国に停戦主導を委ねても同じようにロシア有利に進む。中国を国際的非難の的にする戦略もありうるが、リスクが高すぎると米国は判断したのだろう。こうした情勢を踏まえれば、中露北に囲まれた日本も他人事ではない。いつまでも米中の間で均衡外交を続けるわけにはいかず、現実的な国益を見据え、どちらに軸足を置くかの決断が迫られている。政党幹部が中国を訪問して機嫌を取っている場合ではない。