皇室のこれから2025年06月28日

皇室のこれから
最近、「皇位継承をどうするのか?」という話題が、じわじわと注目を集めている。ニュースではときどき見かけるものの、ふだんの暮らしの中では、あまり身近に感じにくい。でもこれは、日本という国の制度や象徴のあり方に関わる、じつはとても大切なテーマだ。いま、天皇になれる資格を持っている人は、ほんのわずかしかいない。最年少は秋篠宮家の悠仁さまで、それ以外は皆ご高齢だ。このままいけば、「次の天皇は誰になるのか?」と真剣に悩まなければならない日が、そう遠くない将来にやってくる可能性は高い。そう考えると、皇室の未来について話し合っておくことは、場合によっては憲法改正も視野に入る喫緊の課題ともいえる。

そうしたなかで浮上しているのが、「旧宮家の復帰」という案である。戦後に皇籍を離れた旧宮家の子孫の中には、今も男系男子の血筋を引く人たちが多数いる。彼らを皇族として迎え入れれば、これまでの男系継承のルールを守りつつ、後継者不足を補えるのではないかという考え方だ。ただし、この案にも当然賛否がある。たとえば、ずっと民間で暮らしてきた人を、突然「皇族」として迎えることに無理はないのか。本人の気持ちはどうなのか。そして、国民が納得するのか──こうした疑問が出てくるのももっともである。実際、世論調査でも意見は割れている。「旧宮家の復帰」に賛成と答えた人はおよそ4割、反対が2割強、残りの約4割は「どちらとも言えない」としている。つまり、国民の多くがまだ判断を保留している段階だ。

さらに、「女性天皇」や「女系天皇」(母方に皇統の血を引く天皇)の是非についても、議論がある。とくに「男系女子」、たとえば愛子さまの即位を支持する声は根強いが、同時に慎重な意見も少なくない。そうした反対意見の多くは、いったん女性天皇を認めてしまうと、次の世代では女系天皇──つまり、父方が皇統でない子どもが天皇になる可能性が出てくることへの懸念がある。男系による皇位継承は、神話の時代から続く「万世一系」の伝統であり、それが絶たれてしまうことは、皇室の正統性そのものに関わるからだ。制度上は女性天皇であっても、その次に「女系化」に進むことがあり得るので危険だという理由だ。

加えて、女性天皇をめぐる議論が、本来の継承原則の問題からすり替わってしまうのではないかという指摘もある。つまり、「女性を認めれば候補者が増える」という“人数合わせ”の議論に終始し、制度の根本的なあり方や、象徴天皇制の意味についての議論が置き去りにされてしまうおそれがある。女性皇族の尊厳や役割の見直しと、皇位継承制度の設計は、本来きちんと分けて議論されるべきである。現行の皇室典範では、皇位継承資格は「男系男子」に限られている。このルールを見直すべきかどうかは、最終的には国会が判断すべき問題である。つまり、「誰が次に継ぐか」よりも、「どんな制度のもとで継がれるべきか」という設計のほうが、実は本質的なのだ。

伝統を守るか、時代に合わせて柔軟に見直すか。そのバランスをどうとるかは、簡単に結論が出せる問題ではない。だからこそ、私たち国民一人ひとりが、自分の頭で考えるべきテーマでもある。皇室は、日本国憲法のもとで「国民の総意」によって支えられている。だから、「誰かが決めてくれるだろう」と他人任せにせず、自分なりの考えを持つことが大事だ。皇室のこれからをどうしていくか。それは、伝統と制度のあいだで、私たちがどんな価値を守り、どんな未来を選びたいかという問いそのものである。むずかしいと感じるかもしれないが、決して遠い話ではない。たとえば、将来、子どもや孫に「天皇って何?」「皇室って何のためにあるの?」と聞かれたとき、どう答えるか──それを想像してみることが、まずは出発点になるのではないだろうか。