開票速報 ― 2025年07月20日
選挙の夜になると、どのテレビ局も「開票速報」特番に切り替わり、次々と当確が打たれ、候補者のコメント、党代表の会見、そしてコメンテーターによる評価が続く。各局で異なる切り口を打ち出してはいるが、伝える結果は大半が同じ。それでも長時間にわたって放送されるのは、やはり視聴率が見込める“鉄板コンテンツ”だからだろう。勝者の表情、敗者の言葉、そしてその瞬間に語られる生の声は、多くの視聴者を惹きつける。しかし、そんな放送を眺めながら、毎回同じ疑問が浮かぶ。投票は終わり、開票も始まっている。しかも、今の出口調査は精度が極めて高く、激戦区を除けば議席数の予測はほぼ確定している。なのに、各局が横並びで長々と速報番組を続ける意味はあるのだろうか。定時のニュースで結果を簡潔に報じれば十分ではないか――そんな思いが頭をかすめる。
今回は全国で約20万人規模の出口調査が行われた。NNN系列30局が、読売新聞・NHKと合同で、全国47都道府県の投票所で調査を実施。私自身も今回初めて回答したが、タブレット端末で10項目ほどを選ぶ形式で、ものの2分ほど。無理なく答えられるもので、1時間で十数人には調査できると感じた。総投票者数約4500万人のうち、0.5%にも満たない母数から、ここまで精度の高い予測ができるのは統計技術の進化の賜物だろう。かつては「当確」が出たあとに覆るケースもあったが、近年ではほとんど見かけない。誤報を恐れて慎重に判断されるようにもなったのだ。
そして今や速報はテレビだけではない。ネット上では、政党や候補者自身がYouTubeやSNSでライブ配信を行い、支持者に直接結果報告をする姿が当たり前になった。コメント欄がリアルタイムで動き、感謝の言葉に拍手の絵文字が飛び交う。テレビのような一方向的な演出より、ネットは双方向的で、親密な空気が漂う。「速報」ではなく「共有」の場がそこにある。
こうした環境の変化を踏まえれば、開票速報を長時間テレビで報じる意味はますます問い直されるべきだ。とはいえ、それでも視聴者の多くはテレビの前に座り、その瞬間ごとの感情に共鳴したがる。数字だけでは語れない“空気”を見たいのだろう。速報の役割は、情報提供だけでなく、人々の感情を映す鏡にもなっている。それが、視聴率という強い根拠となって今も続いているのかもしれない。
今回は全国で約20万人規模の出口調査が行われた。NNN系列30局が、読売新聞・NHKと合同で、全国47都道府県の投票所で調査を実施。私自身も今回初めて回答したが、タブレット端末で10項目ほどを選ぶ形式で、ものの2分ほど。無理なく答えられるもので、1時間で十数人には調査できると感じた。総投票者数約4500万人のうち、0.5%にも満たない母数から、ここまで精度の高い予測ができるのは統計技術の進化の賜物だろう。かつては「当確」が出たあとに覆るケースもあったが、近年ではほとんど見かけない。誤報を恐れて慎重に判断されるようにもなったのだ。
そして今や速報はテレビだけではない。ネット上では、政党や候補者自身がYouTubeやSNSでライブ配信を行い、支持者に直接結果報告をする姿が当たり前になった。コメント欄がリアルタイムで動き、感謝の言葉に拍手の絵文字が飛び交う。テレビのような一方向的な演出より、ネットは双方向的で、親密な空気が漂う。「速報」ではなく「共有」の場がそこにある。
こうした環境の変化を踏まえれば、開票速報を長時間テレビで報じる意味はますます問い直されるべきだ。とはいえ、それでも視聴者の多くはテレビの前に座り、その瞬間ごとの感情に共鳴したがる。数字だけでは語れない“空気”を見たいのだろう。速報の役割は、情報提供だけでなく、人々の感情を映す鏡にもなっている。それが、視聴率という強い根拠となって今も続いているのかもしれない。