愛の、がっこう2025年07月22日

愛の、がっこう
旅から帰ると、いつもの儀式が待っている。録り溜めたドラマの一気見だ。ちょうど夏の新ドラマが出そろう時期と重なったこともあり、リモコン片手に夜な夜な録画リストとにらめっこをする。夏ドラマのラインナップは、相変わらず「刑事」「医者」「弁護士」「学校モノ」といったおなじみの顔ぶれだが、近年は登場人物の中に発達障害を抱えるキャラクターを配した作品が増えている。サヴァン症候群の天才が難事件を解決するタイプはもはや定番だが、今年は学習障害(LD)に焦点を当てたドラマも登場した。

面白そうなのはフジテレビの『愛の、がっこう』。真面目すぎる高校教師・愛実(木村文乃)と、夜の世界でNo.1を目指すホスト・カヲル(ラウール)という、いかにもドラマ的な組み合わせが織りなす恋物語である。禁断の恋、だがどこか真っ直ぐで純粋。そんな空気感が漂う。愛実は堅い家庭で育ち、親の言うまま教師という道を選んだ人物。生徒のホストクラブ通いをきっかけにカヲルと出会い、読み書きが苦手な彼に“個人授業”を始める。それを通して、互いに自分の孤独や不安に気づいていく。立場も境遇も違う2人が、格差や偏見、周囲の反発を乗り越えながら「愛とは何か」を学んでいくという筋書きだ。

脚本は『白い巨塔』や『昼顔』などで知られる井上由美子。いかにも漫画が原作かと思いきや、完全オリジナル。人間の業や社会のひずみに切り込む作風には定評があるだけに、今回の題材にもある種の真摯さを感じる。キャスティングも興味深い。木村文乃は相変わらず「可もなく不可もなく」の安定した芝居だが、驚いたのはホスト役のラウール。Snow Manのセンターというイメージが強いが、役者としての一面もなかなかどうして魅力的だ。ベネズエラ人の父と日本人の母を持つ22歳、小学3年で少年ダンス世界大会準優勝という経歴にも驚かされる。

とはいえ、ドラマの中での読み書き障害の描かれ方は今のところやや表層的で、指導場面が形式的に過ぎる印象も否めない。このあたり、今後の展開にもうひと掘りふた掘り、踏み込んだ描写を期待したい。そんなこんなで、旅の余韻もそこそこに、今は録画チェックが止まらない。眠気と闘いながら、夜更けのテレビ画面にまた今日も付き合うことになりそうだ。
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