国際成人力調査 ― 2024年12月13日
2022年に実施された「国際成人力調査」(PIAAC)の結果で、日本の「読解力」と「数的思考力」の平均点はいずれも世界トップ水準を維持したものの、順位は前回の1位から2位に下がった。「読解力」の平均点はフィンランドに逆転され、「数的思考力」もフィンランドが1位となった。いずれもOECD平均を大きく上回る結果だった。今回初めて調査された「状況の変化に応じた問題解決能力」では、日本が1位を獲得した。調査はOECDの31カ国・地域で、16~65歳の約16万人を対象に実施。日本は、読解力では下位層が9%となり、前回比で4ポイント増加。数的思考力では上位層が25%と、前回比で6ポイント増加した。これにより、成績上位層と下位層の差が拡大する傾向が確認された。文部科学省は、日本の成績は全体的に安定しているとしつつ、フィンランドでは博士課程修了者を含む高学歴層の割合が増えたことが、順位に影響を与えたと分析。日本の成績が高水準である一方で、国内の成績格差への対策が課題となる可能性が指摘されているという。8月にPISAにおける日芬学力差を述べた中での結論は、教育施策の結果比較は10年以上のタイムラグが生じるので、現在の結果は10年以上前の施策の結果だと考える必要があるということだ。従って現在の教育施策をあれこれ比較してもあまり意味がない。
2023年のフィンランドの大学院修了者は6000人、日本は47500人だ。人口比は日本はフィンランドの23倍なので、大学院修了者の比率はフィンランドが日本の約3倍多いことになる。その差が生じたというのが文科省の分析だが本当だろうか?前回2012年の調査では日本が1位だが、この結果は、1990年以前のいわゆる詰め込み教育世代の結果と言える。今回の日本の結果は下位層が1割近くに増えていることに着目すべきで、この結果は2000年以降のゆとり教育の結果とは言えないか。日本での大学院入学には家庭の経済力格差があり、教育費無償のフィンランドと比較してもあまり意味がない。むしろ義務教育での低学力層が増えてきていることにこそ施策を打つべきだろう。
2023年のフィンランドの大学院修了者は6000人、日本は47500人だ。人口比は日本はフィンランドの23倍なので、大学院修了者の比率はフィンランドが日本の約3倍多いことになる。その差が生じたというのが文科省の分析だが本当だろうか?前回2012年の調査では日本が1位だが、この結果は、1990年以前のいわゆる詰め込み教育世代の結果と言える。今回の日本の結果は下位層が1割近くに増えていることに着目すべきで、この結果は2000年以降のゆとり教育の結果とは言えないか。日本での大学院入学には家庭の経済力格差があり、教育費無償のフィンランドと比較してもあまり意味がない。むしろ義務教育での低学力層が増えてきていることにこそ施策を打つべきだろう。