熱狂の裏で進行「亡国円安」2025年10月09日

熱狂の裏で進行「亡国円安」
高市新総裁の誕生に沸く日本。メディアは「女性初の宰相誕生」とはしゃぎ、株式市場は祝賀ムードで急騰した。だが、その裏で為替市場は静かに悲鳴を上げている。円がじりじりと値を失うこの現象は、単なる金利差の問題ではない。構造的な「亡国円安」が進行しているのだ。政府・日銀は「FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが始まれば円高方向に戻る」と説明するが、それは信仰に近い楽観論にすぎない。確かに、米国のインフレは沈静化しつつあり、金利差が縮まる可能性はある。だが、為替を動かすのは経済理屈より“政治の力”である。いま円を追い詰めているのは、まさにこの政治リスクだ。

注目すべきは、今月予定されるトランプ前大統領の来日である。市場関係者の一部は「単なる表敬訪問ではない」と見ている。彼の目的は、赤沢大臣との交渉で日本側に約束させたとされる「80兆円規模の対米投資」の履行を迫ることだろう。これが実現すれば、巨額の円売り・ドル買いが一気に発生し、FRBの利下げ効果など吹き飛ぶ規模の円安圧力になる。

この80兆円は、名目上「経済協力」だが、実態は米国市場への“政治献金”に近い。トランプ氏は高関税をちらつかせながら、日本企業に米国内での投資と生産移転を促すだろう。産業は空洞化し、雇用と技術が流出。しかも、その資金がドル建てで流れる以上、為替市場には新たな円売りが生まれる。つまり、日本は“カネも技術も差し出す”二重の国益損失を強いられる構図だ。

石破政権が「関税回避」を優先したあまり、安全保障で使える外交カードを切り捨てたツケでもある。本来なら、防衛装備の共同開発や同盟強化など“戦略的支出”として再定義する余地があった。だが実際には、トランプ氏の機嫌取りのための“即金外交”に終わり、今その代償が為替市場に噴き出している。

一方、日経平均の爆上げは、冷静に見れば“嵐の前の打ち上げ花火”だ。株高を演出しても、裏ではドル買い圧力が進み、円はさらに沈む。政府が「静観」を決め込む間に、80兆円の資金移動が現実化すれば、円は160円台に突入しても不思議ではない。

笑うのは投資家だけ。輸入物価の高騰で苦しむ庶民にとって、円安はすでに生活破壊のレベルだ。それでも政権は「市場が落ち着くまで見守る」と繰り返すだろう。だが、市場を狂わせているのは外部要因ではなく、石破政権が交わした“売国的取引”そのものだ。

「FRBが利下げすれば円高になる」という希望は、80兆円のドル買いという現実の前では紙屑に等しい。高市政権が掲げる「経済自立」は砂上の楼閣になりかねない。株価がいくら上がっても、それが“亡国通貨”の上に築かれた砂上の繁栄である限り、日本は再び取り戻せない代償を払うことになる。今からでも前政権は思慮が足りなかったと・・・言えるわけないか。

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