通信制高校約29万人 ― 2025年04月09日

令和6年度の通信制高校の生徒数は約29万人に達し、この10年間で約1.6倍に増加した。現在では高校生のおよそ10人に1人が通信制に在籍している。この背景には、コロナ禍を契機とした不登校の増加がある。近年では、角川ドワンゴ学園の「N高」など、多様なコースを提供する通信制高校が増加し、オンライン学習や個別指導といった新たな教育スタイルが広がっている。これにより、難関大学への進学実績やスポーツ分野での成果も注目されるようになった。文部科学省の統計によれば、令和5年度の不登校高校生は過去最多の6万8,770人に達しており、不登校の拡大とともに通信制高校の認知度も上昇している。一方、全日制高校の生徒数は減少傾向にあり、通信制高校の存在感はますます高まっている。通信制高校では、オンライン学習の活用により、生徒が自分のペースで学習を進められる柔軟性が評価されている。これにより、受験勉強やアルバイトなどとの両立も可能となり、多様なニーズに応える教育形態として注目を集めている。大学進学率については、通信制高校では21.2%と全日制に比べて依然として低いものの、近年は上昇傾向にある。なお、通信制高校は必ずしも不登校生の受け皿に限られたものではなく、多様な背景を持つ生徒が在籍している。ここで、中学校卒業生の進路全体を見てみると、年間約105万人の中学卒業生に対して、単純計算で生徒数は約315万人(3学年分)とされる。しかし、高校在籍者数は約290万人であり、約25万人が高校教育からこぼれ落ちている計算になる。
この25万人のうち、専門学校や特別支援学校などに進学した生徒も一部含まれると推定されるが、それでも進学しなかった生徒は約18万人、全体の6%程度に上る。この6%の子どもたちの進路実態はほとんど把握されておらず、今後の大きな課題である。また、中学校で不登校だった生徒のうち、高校進学後も安定した就労に至らないケースが多い。統計的推計によれば、高校進学から漏れた約6万人のうち5割、つまり3万人が就労に至らない可能性がある。これが毎年続けば、40年間で約120万人が就労できないまま過ごすことになる。これは、日本の40年後の就労人口約5300万人に対して約2%が恒常的に非就労者となる計算であり、3880万人に達する高齢者人口と合わせると、就労世代と非就労・高齢世代がほぼ近づいていくことを意味する。したがって、不登校の子どもたちに適切な後期中等教育(高校教育や職業教育)を保障することは、単なる教育福祉の問題にとどまらず、国全体の総生産額・総消費額、ひいては「国力」の維持に直結する重要課題である。授業料一律無償化は通信高校生も恩恵は被るが、教育機会からこぼれ落ちた子供には届かない。私学や通信制高校の増加は逆に言えば、公教育への失望が増えているとも言える。義務制の小中学校の段階や公立高校に向け、柔軟な教育機会の保障と進路保障ができるように、重点的に投資をすることが、今後の教育政策の要となるべきである。
この25万人のうち、専門学校や特別支援学校などに進学した生徒も一部含まれると推定されるが、それでも進学しなかった生徒は約18万人、全体の6%程度に上る。この6%の子どもたちの進路実態はほとんど把握されておらず、今後の大きな課題である。また、中学校で不登校だった生徒のうち、高校進学後も安定した就労に至らないケースが多い。統計的推計によれば、高校進学から漏れた約6万人のうち5割、つまり3万人が就労に至らない可能性がある。これが毎年続けば、40年間で約120万人が就労できないまま過ごすことになる。これは、日本の40年後の就労人口約5300万人に対して約2%が恒常的に非就労者となる計算であり、3880万人に達する高齢者人口と合わせると、就労世代と非就労・高齢世代がほぼ近づいていくことを意味する。したがって、不登校の子どもたちに適切な後期中等教育(高校教育や職業教育)を保障することは、単なる教育福祉の問題にとどまらず、国全体の総生産額・総消費額、ひいては「国力」の維持に直結する重要課題である。授業料一律無償化は通信高校生も恩恵は被るが、教育機会からこぼれ落ちた子供には届かない。私学や通信制高校の増加は逆に言えば、公教育への失望が増えているとも言える。義務制の小中学校の段階や公立高校に向け、柔軟な教育機会の保障と進路保障ができるように、重点的に投資をすることが、今後の教育政策の要となるべきである。