しあわせは食べて寝て待て ― 2025年05月18日

NHKドラマ10の新作『しあわせは食べて寝て待て』は、桜井ユキ主演のドラマで、同名漫画を原作とし、4月に放送が開始された。38歳独身の麦巻さとこが主人公で、彼女は膠原病を患い、キャリアウーマンの道を諦め、週4日のパート勤務に切り替えざるを得なくなる。収入減により引っ越しを決めた彼女は、団地の内見で美山鈴(加賀まりこ)や、薬膳料理が得意な羽白司(宮沢氷魚)と出会い、物語が展開していく。このドラマはSNSで大きな話題となり、第1話の「NHKプラス」視聴数が、大河ドラマや朝ドラを除くNHKドラマ史上最高を記録した。派手な演出こそないものの、等身大の主人公の姿をリアルに描き、多くの視聴者の共感を集めている。病気を抱えながらも日常を受け入れる姿勢や、お金の問題で思うような生活ができない現実がリアルに描かれ、視聴者は物語に引き込まれる。リアリティと共感を呼ぶストーリー展開が、多くのファンを生み、ドラマの人気を高めている。
最近のNHKドラマは、派手な起伏が少ないからこそ共感を呼ぶ。いわゆる昔のドタバタ風ホームドラマへの回帰ではなく、誰もが体験し得る、日常の中のちょっとした変化を丁寧に描く。団地と老人が登場するのもお決まりで、そこに若者や中年が混じり込んでいく展開が、安心感をもたらし、リラックスして視聴できるのが魅力だ。昨年のドラマ『団地のふたり』も今回と同じく、東久留米の「滝山団地」で撮影され、小泉今日子と小林聡美演じる幼馴染のアラフィフ独身女性を中心に、ほっこりとした物語が展開する。こちらは二人を取り巻く高齢化問題が主軸となるが、基本的には団地という空間の心地よさを描く。団地暮らしの視聴者にとっては、共感できる部分が多い。
『しあわせは食べて寝て待て』では、中年独身女性の生活が描かれ、団地では住民同士が気軽に声をかけ合う姿が、都会のマンション暮らしの孤独との対比として表現され、「幸せ」の在り方を暗示している。高齢化率30%以上の団地の割合は、全体では3割程度だが、滝山団地のように入居開始から40年以上経過した団地では、60%近くが高齢者となっている(国土交通省「持続可能なまちづくりに向けた住宅団地再生の手引き/2022年」より)。今回のドラマでは、住民が12年に1回の大規模改修を経て、「次は建て替えか」と考え始める様子が描かれている。12年後には生きているかどうかもわからない高齢者にとって、建て替え問題は深刻だ。それでも一人で生きていこうとする次世代の団地住民にとって、「幸せとは何か」という問いが投げかけられる点が、作品の大きな魅力だ。
最近のNHKドラマは、派手な起伏が少ないからこそ共感を呼ぶ。いわゆる昔のドタバタ風ホームドラマへの回帰ではなく、誰もが体験し得る、日常の中のちょっとした変化を丁寧に描く。団地と老人が登場するのもお決まりで、そこに若者や中年が混じり込んでいく展開が、安心感をもたらし、リラックスして視聴できるのが魅力だ。昨年のドラマ『団地のふたり』も今回と同じく、東久留米の「滝山団地」で撮影され、小泉今日子と小林聡美演じる幼馴染のアラフィフ独身女性を中心に、ほっこりとした物語が展開する。こちらは二人を取り巻く高齢化問題が主軸となるが、基本的には団地という空間の心地よさを描く。団地暮らしの視聴者にとっては、共感できる部分が多い。
『しあわせは食べて寝て待て』では、中年独身女性の生活が描かれ、団地では住民同士が気軽に声をかけ合う姿が、都会のマンション暮らしの孤独との対比として表現され、「幸せ」の在り方を暗示している。高齢化率30%以上の団地の割合は、全体では3割程度だが、滝山団地のように入居開始から40年以上経過した団地では、60%近くが高齢者となっている(国土交通省「持続可能なまちづくりに向けた住宅団地再生の手引き/2022年」より)。今回のドラマでは、住民が12年に1回の大規模改修を経て、「次は建て替えか」と考え始める様子が描かれている。12年後には生きているかどうかもわからない高齢者にとって、建て替え問題は深刻だ。それでも一人で生きていこうとする次世代の団地住民にとって、「幸せとは何か」という問いが投げかけられる点が、作品の大きな魅力だ。