兵庫県知事パワハラ告発文書 ― 2024年07月20日

兵庫県知事を告発する文書を作成し、自殺した元西播磨県民局長の告発文や音声データをめぐり、百条委員会が始まっている。「一死をもって抗議する」「百条委は最後までやり通してほしい」というメッセージとともに、証人尋問を想定した陳述書や、疑惑に絡む斎藤氏の発言を記録した音声データが残され、委員会で審議されている。知事は特産ワインを要求したとされる疑惑について、記者団の取材に対し、ワインの受領自体をデータが開示される委員会の前に認めたという。「おねだり体質」や「パワハラ知事」といった言葉が連日メディアを賑わせているが、追及すべき中身が相当ずれているか、わざとずらしているのかもしれないとも感じる。本来問題にすべきは、公益通報としての知事や県政への告発の扱いである。元局長が匿名文書を送ったのは一部議員とメディアであった。送りつけられた側にはこの告発者を守る義務があるのに、告発文を漏洩し知事側に告発者が特定され処分された。告発の内容には「おねだり体質」の揶揄も含まれていたが、金融機関に補助金を増額した分を県が関与するイベントに寄付させる公金横領の重大な違法疑惑も含まれていた。取るに足りない「おねだり」が大衆受けするからとメディアが報道するのは仕方がないにしても、百条委員会も大差ないのが気がかりである。
告発者が信頼するメディアや弁護士に相談すれば、自らの立場を守りながら取材報道や刑事告発も可能であったはずである。権力に深く関わる幹部役人なら、自分が弾圧されないように手立てを準備できたはずだという疑問が湧く。知事側も、メディアに流れた告発文の当事者を、粛清としか映らないような手法で、公務員法を持ち出して懲戒すれば、事実の如何にかかわらず人権問題になることが予測できなかったのであろうか。告発者の不備をついて知事側が力任せに弾圧したというのが今回の構図である。「泣いて」知事が悪いと猫を被って辞任した副知事とその一派が弾圧の首謀者だと推測する報道もある。鹿児島県警の告発事件も同様であるが、公益通報者の地位や人権が担保される法制度の整備がまだまだ不十分と言わざるを得ない。
告発者が信頼するメディアや弁護士に相談すれば、自らの立場を守りながら取材報道や刑事告発も可能であったはずである。権力に深く関わる幹部役人なら、自分が弾圧されないように手立てを準備できたはずだという疑問が湧く。知事側も、メディアに流れた告発文の当事者を、粛清としか映らないような手法で、公務員法を持ち出して懲戒すれば、事実の如何にかかわらず人権問題になることが予測できなかったのであろうか。告発者の不備をついて知事側が力任せに弾圧したというのが今回の構図である。「泣いて」知事が悪いと猫を被って辞任した副知事とその一派が弾圧の首謀者だと推測する報道もある。鹿児島県警の告発事件も同様であるが、公益通報者の地位や人権が担保される法制度の整備がまだまだ不十分と言わざるを得ない。