ジュラシック・ワールド新作2025年08月22日

ジュラシック・ワールド/復活の大地
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』は、人類と恐竜が共存する“ポスト恐竜時代”を描いたシリーズ最新作。物語の核は、恐竜の遺伝子を医療研究に応用するという大胆な発想だ。「世界の医療のために」という大義が掲げられ、科学が人類を救う希望として描かれる。だが、思い出されるのは93年の第1作『ジュラシック・パーク』。あの作品は「生命は人間の思い通りにはならない」と突きつけ、嵐と人為的ミスでテーマパークは崩壊。恐竜たちは自然の猛威そのものとして観客の前に立ちはだかった。そのシンプルさこそが、恐竜映画の醍醐味だった。

本作でまず興ざめなのは、ティラノサウルスやヴェロキラプトルに加え登場する“キメラ恐竜”。未知の生物の迫力ではなく、合成怪獣のインフレ競争に見えてしまう瞬間がある。自然の圧倒感が魅力の恐竜映画で、人工的な怪物ショーに偏るのは少々残念だ。さらにもう一つの興ざめは、吹替版のゾーラ役・松本若菜の芝居だ。発声は力強いが感情の揺れが薄く、場面の緊迫感に水を差す。声の印象がキャラクターよりも“松本本人”を強く連想させ、しかもつい『ドクター阿修羅』を思い出してしまうのはいただけない。没入感が命の恐竜映画で、ここは致命的なミスと言える。

とはいえ、登場人物たちが最終的に選んだのは、巨大資本の利益ではなく「誰もが享受できる医療」を目指す道。その選択は、シリーズの混乱を経てようやく見えた人間らしい良心の証であり、観客としてもホッとできる結末だ。結局、『復活の大地』が投げかけるのは恐竜の暴れっぷりよりも、「科学をどう使うか」という問いだ。原点回帰のようで迷走もある――そんな複雑さこそ、シリーズがまだ終われない理由なのかもしれない。

そして、映画館で目にした『沈黙の艦隊2』のポスター。前作で東京湾を脱出した原子力潜水艦〈やまと〉が、今度は北極海で米軍の最新鋭原潜と激突するという。ジュラシックで「え、なんでキメラ?」と首を傾げた後なら、こちらの単純明快な潜水艦バトルのほうが、科学と倫理の迷走に疲れた観客には実にスカッとくる。次はこっちで決まり、というわけだ。