水泳授業を中止2024年07月08日

高知県の4年生男子が水泳の授業中に溺れて死亡した事故を受け、松下整教育長は小中学校の本年度の水泳授業を中止すると明らかにした。第三者委員会による事故の検証が終わるまで続けるという。事故は、小学校のプールが設備の故障で4~6年生が近隣の中学校プールで授業を行っていたときに発生した。プールには児童36人と教員3人がいた。小学校のプール深度は中学年では90cm程度が目安となっているが、中学校プールは深いところで130cm。授業では、25メートルを泳ぐグループと、プールを横向きに泳ぐグループに分かれており、男子児童は横向きのグループでプールサイドにつかまってバタ足の練習をしていたという。小学校のプール授業における溺死は2012年から4件報告されているが、ここ数年は発生していない。

学校で教師が最も緊張するのは、溺死の危険があるプール指導だ。毎年6月には指導研修として監視体制の手順や救命法の講習を行っている。監視は入水監視と陸上監視に分かれ、監視範囲を分担して指導にあたる。危険度が増すのは、児童が一斉に入水する自由水泳だ。今回のようにプールサイドの指導中に目を離すことはあり得ない。しかも、4年生になってのバタ足指導は首をひねる。泳げない子の指導は、水中での浮遊感覚を育て、その後は息継ぎの指導が重要だ。泳げない子にバタ足を4年間続けても泳げるはずがない。学校プールの話題の度にプール廃止論をいう人らは、泳ぎが苦手で、効果のない指導に苦痛を感じた人が多く、近代的な水泳指導を体験していない人たちだと思う。自然に泳ぎを習得した人も水泳指導の効果を知らず廃止論に追随する。水難による中学生以下の子どもの死者・行方不明者数は、1999年には1044人、2023年には27人まで減少した。指導の良し悪しはともかく学校での水泳教育の普及が子どもの水難死を減らすために貢献したと言える。今回は管理職と教員の監視の怠慢と言うほかないのに、全教職員の責任であるかのように全県で中止するのは筋が違う。矢面に立ち道理で対応するものはおらず、皆首を引っ込めてしまう公務員の事なかれ主義だと言われても仕方ない。なんでも第3者委員会に丸投げすればよいというものではない。