紙ストロー使用停止の大統領令 ― 2025年02月12日
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トランプ米大統領は10日、バイデン前政権が推進したプラスチック製ストロー廃止政策を覆し、紙ストローの使用を停止する大統領令に署名した。バイデン政権は、2027年までに使い捨てプラスチックを段階的に廃止し、2035年までに連邦機関から完全撤廃する計画を立てていたが、トランプ氏は紙ストローを「機能しない」と批判し、政府機関に紙ストローの購入を禁止するよう指示した。トランプ氏は以前から紙ストローに否定的で、2020年の大統領選挙では自身のブランドでプラスチックストローを販売し、数週間で50万ドルを売り上げた。米国では1日5億本のストローが使用されるとされるが、実際の数は半分程度との見方もある。一部の州や都市ではプラスチックストローの使用制限が導入されている。国連環境計画によると、毎年4億6000万トンのプラスチックが生産され、海洋汚染やマイクロプラスチックによる健康被害が懸念されている。しかし、一方で紙ストローには環境中に残留する有害な有機フッ素化合物(PFAS)が含まれることが指摘されており、環境や健康リスクを巡る議論も続いている。トランプ氏は就任以来、次々と大統領令を発布し、世界がその動向に注目している。メディアは彼の政策を「乱暴」と批判するが、紙ストロー使用を義務付けたバイデン政権の大統領令の方が、むしろ性急だったと言える。
確かに、プラスチックごみによる海洋汚染が生態系に深刻な影響を及ぼすことは理解できる。しかし、それを理由に使い捨てプラスチック製品を国内で一律に排除する政策は、問題の本質と必ずしも結びついていない。その結果、店頭で販売されるジュース類には紙ストローが導入され、紙ストロー使用が「持続可能な社会」の象徴のように扱われるようになった。これは、いわゆるポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)運動の一環と言える。日本でも、元環境大臣の小泉進次郎氏がレジ袋の有料化を推進し、コンビニなどで5円の支払いが義務付けられた。石油由来のプラスチックが地球温暖化を助長し、生態系を脅かすという論調が広がり、まるで「環境への脅威」としてレジ袋やストローが槍玉に挙げられた。しかし、ストローやレジ袋は、石油精製の副産物であり、それらを排除しても大きな環境改善にはならない。また、海洋に廃棄されるプラスチックごみの多くは先進国ではなく、中国や発展途上国のごみの投棄習慣によるものが大半を占める。もし本当に問題を解決したいのであれば、そうした国々へのストローやレジ袋の輸出を制限するだけで十分であり、ルールを守っている先進国の国民まで巻き込む必要はない。
確かに、プラスチックごみによる海洋汚染が生態系に深刻な影響を及ぼすことは理解できる。しかし、それを理由に使い捨てプラスチック製品を国内で一律に排除する政策は、問題の本質と必ずしも結びついていない。その結果、店頭で販売されるジュース類には紙ストローが導入され、紙ストロー使用が「持続可能な社会」の象徴のように扱われるようになった。これは、いわゆるポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)運動の一環と言える。日本でも、元環境大臣の小泉進次郎氏がレジ袋の有料化を推進し、コンビニなどで5円の支払いが義務付けられた。石油由来のプラスチックが地球温暖化を助長し、生態系を脅かすという論調が広がり、まるで「環境への脅威」としてレジ袋やストローが槍玉に挙げられた。しかし、ストローやレジ袋は、石油精製の副産物であり、それらを排除しても大きな環境改善にはならない。また、海洋に廃棄されるプラスチックごみの多くは先進国ではなく、中国や発展途上国のごみの投棄習慣によるものが大半を占める。もし本当に問題を解決したいのであれば、そうした国々へのストローやレジ袋の輸出を制限するだけで十分であり、ルールを守っている先進国の国民まで巻き込む必要はない。