京都府共生社会づくり条例2025年01月23日

京都府共生社会づくり条例
京都府が策定中の「府人権尊重の共生社会づくり条例(仮称)」の骨子案に対し、差別禁止規定がない点などから批判が高まっている。関西の人権団体は、過去に在日コリアンが受けたヘイトクライムや差別を引き合いに、包括的な差別禁止条例の制定を求める要望書を提出した。一方、府側は新型コロナ関連の差別やネット上の誹謗中傷を主な対象とし、ヘイトスピーチやヘイトクライムを中心に据えたものではないと説明している。条例案は2月の府議会に提案予定である。SNS上では、見るに堪えないヘイトポストが溢れ、罵詈雑言を公共の場でばらまくことが楽しいかのように見える。さらに、根拠のない情報が拡散され、SNSはもはや「便所の落書き」状態と化している。ただし、SNSが単なる落書きと異なるのは、そこに真っ当な情報や主張が混在している点である。また、大手メディアの情報にも、根拠のない内容や「報道しない自由」による隠蔽が指摘され、信頼が低下している。自治体が独自にヘイトや差別を禁止する条例を制定する動きについては疑問が残る。国内法にはすでに差別を禁止する法律が複数存在しており、それを超えて自治体ごとに条例を制定することは、地域ごとに差別への対応が異なるという新たな格差を生む可能性があるからだ。

日本は、憲法14条で法の下の平等を保障し、人種差別撤廃施策推進法(2016年)、部落差別解消法(2016年)、障害者差別解消法(2016年)、ヘイトスピーチ解消法(2016年)、LGBTQ理解促進法(2023年)といった法律を施行してきた。このような法律が存在する中で、各地で啓発以上の目的の条例制定が必要かどうかには議論の余地がある。差別禁止を訴える人々は具体的な規定や罰則を求めるが、差別を理由とした名誉毀損や傷害などには現行法で対応可能である。一方的に差別を規定することは、社会の分断や誤解を招き、逆に政治利用されるリスクもある。表現の自由の制限は、権力者や権威主義者に悪用される可能性が高い。他の自治体が制定したからといって追随するのではなく、国内法に課題がある場合は国会で議論し、全国的な合意形成を目指すべきである。ただ、国会も政府が政治的取引に人権問題を扱う傾向が散見され油断はできない。

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