トランプ高関税発動 ― 2025年04月03日

トランプ米大統領は「相互関税」と称する関税措置を発表し、すべての貿易相手国に最低10%の関税を課す方針を示した。さらに、貿易赤字や貿易障壁を考慮し、追加の税率を設定するとした。この措置は米東部時間4月5日未明に基本部分が発効し、9日未明から各国への追加関税が適用される。トランプ氏は日本市場の閉鎖性を批判し、日本のコメには700%の関税が課されていると指摘。日本に24%、EUに20%、中国に34%の関税を設定すると説明した。政府高官は「巨額で慢性的な貿易赤字」が問題であるとし、「緊急事態」を宣言する文書に署名したと述べた。また、相互関税の追加分は貿易赤字の規模や非関税障壁を考慮して算出され、「最悪の違反者」とされる60カ国以上に高い税率が適用される。この措置により貿易摩擦の激化や世界経済への影響が懸念されている。トランプ氏は演説で「今日は長く待ち望んだ解放の日だ」と述べ、相手国に課す税率を示したボードを掲げるなど、強硬な姿勢を示した。さらに、日本車には25%の追加関税を課すとし、日本政府は引き続き米国との交渉に臨む方針を示している。しかし、トランプ氏や米国共和党の真の意図は不透明である。米国製造業の復活を目的とした高関税政策とされるが、高関税は他国からの輸入品価格を引き上げるため、米国内の供給が追いつくまでの間、インフレを引き起こす要因となる。政府が関税収入を国内減税に充てるとしても、輸入量の減少による供給不足がさらなるインフレを招く可能性がある。その結果、関税収入の減少が避けられず、この政策がうまく機能するとは思えない。
一方、各国は米国への輸出依存を減らし、非関税の市場への転換を模索すると考えられる。インフレによって高騰した米国製品は競争力を失い、結果的に中国やインドなどの製品が市場を席巻する可能性が高い。これにより、米国が中国の経済拡大を抑えようとする意図とは逆の現象が起こり、米国抜きのサプライチェーンが形成される契機となるかもしれない。もちろん、米国には世界が追随できないデジタル産業や宇宙・エネルギー産業が存在し、今後もこれらを主要な収益源とすることが予想される。しかし、民生製造業の復活は容易ではない。日本はいつまでも米国に依存するのではなく、大企業は600兆円に達する利益剰余金の半分でも活用して大幅な賃上げを実施し、政府は大幅な減税を行い、国民の可処分所得を増やすことで購買力を強化すべきである。また、政府投資の制限となっているプライマリーバランス論を捨て、積極的な公共投資を推進することが重要だ。日本のGDPの約6割は国内消費が占めるため、これを拡大する努力こそが必要である。米国の高関税政策に振り回されても、決定権は米国にあるため、先行きは極めて不透明である。それよりも、この機を国内生産と消費を伸ばす好機と捉え、政策を展開していくべきだ。しかし、頑なに減税を拒み負担増だけを求め激動する世界情勢の中で何をしたいのかわからぬ現政治体制では、その実現は難しい。
一方、各国は米国への輸出依存を減らし、非関税の市場への転換を模索すると考えられる。インフレによって高騰した米国製品は競争力を失い、結果的に中国やインドなどの製品が市場を席巻する可能性が高い。これにより、米国が中国の経済拡大を抑えようとする意図とは逆の現象が起こり、米国抜きのサプライチェーンが形成される契機となるかもしれない。もちろん、米国には世界が追随できないデジタル産業や宇宙・エネルギー産業が存在し、今後もこれらを主要な収益源とすることが予想される。しかし、民生製造業の復活は容易ではない。日本はいつまでも米国に依存するのではなく、大企業は600兆円に達する利益剰余金の半分でも活用して大幅な賃上げを実施し、政府は大幅な減税を行い、国民の可処分所得を増やすことで購買力を強化すべきである。また、政府投資の制限となっているプライマリーバランス論を捨て、積極的な公共投資を推進することが重要だ。日本のGDPの約6割は国内消費が占めるため、これを拡大する努力こそが必要である。米国の高関税政策に振り回されても、決定権は米国にあるため、先行きは極めて不透明である。それよりも、この機を国内生産と消費を伸ばす好機と捉え、政策を展開していくべきだ。しかし、頑なに減税を拒み負担増だけを求め激動する世界情勢の中で何をしたいのかわからぬ現政治体制では、その実現は難しい。