デジタル脳クライシス2024年12月20日

デジタル脳クライシス
教育のデジタル化が進む一方、手書きや紙媒体の重要性を指摘する声が上がっている。東京大学の酒井邦嘉教授は、AIやデジタル機器に過度に依存することで思考力や創造力が低下する危険性を警告。教育現場では、便利さを追求する価値観が学びの本質を損なうと述べている。デジタル機器への依存は、大学生にも広がり、本を読まず、自分で考える機会を放棄する傾向があるという。家庭教育では、知識の詰め込みよりも子供の好奇心や創造力を育む環境作りが大切とされる。スマートフォンやAIの使用制限を提案し、紙とペンを使った学びを推奨。特に手書きの習慣は情報整理や記憶定着に役立ち、小学生期の脳の成長に不可欠だとする。また、デジタル表示よりも紙の文章のほうが理解や記憶に優れることを強調。キーボードより手書きが思考力を高めると指摘する。教育における本質的な学びを重視し、人間らしい能力の維持には、継続的な鍛錬が必要と述べる。東大ではかたや中邑教授らがデジタル教育推進で読み書き障害をサポートするグループが存在し、もう一方ではこのようにアナログ教育回帰を言う教授もいる。言語脳科学がこの方の専門とあるがそれならもう少し高次脳機能障害やディスレクシアのことも配慮してほしいと思う。

一般論としては、発達期にデジタルデバイスが子どもに悪影響を与える場合があるのは素人でも想像できる。しかし、素人でも想像できそうなことには落とし穴がある。だからこそ専門家は注意して例外があることに触れる必要がある。読むことや書くことが困難な子どもがいるのに、板書をノートに写すことが学校教育では発達上必然だと信じて疑わない教師や親がどれだけ多いか彼は知りもしないのだろう。デバイスが文章を読み上げ、音声を文字に変えてくれることで、子ども本来の創造性を引き出すテクノロジーが、子どもの発達にデジタルは良くないという理由で教室に持ち込めない悲劇が起こる。紙の方が読みやすいというのは文字が読める人の感想であり、読めない人でデバイス読み上げを利用する人は逆の感想を持つ。多様性社会ではデジタルデバイスが「違い」をつなぐ懸け橋にもなる。この書物が「違い」を知らぬ教育者に誤解されぬよう願うばかりだ。