遥かなる山の呼び声2023年10月16日

山田洋次監督の「遙かなる山の呼び声」は二十歳の時に見た作品だ。同じ山田監督が北海道中標津の舞台はそのままに時代を現在に置き換えて書き上げたNHKテレビドラマ脚本。5年前と昨年のBS放送を合わせて未公開シーンも加えたディレクターズカットとなっている。演出は『釣りバカ日誌』の朝原雄三監督。コミカルな演出は相変わらずの釣りバカテイスト、泣かせる演出は長いワンカットでセリフを入れずに表情を撮り続ける山田流は健在だ。

牧場の息子の武志が、何故か中学生になると自閉症風に描かれる妙な演出が気になる。原作の武志がどう描かれていたか覚えてはいないが、最近風に普通の中学生を描くと山田監督にはしっくりこなかったのではないかと勝手に思っている。高倉健の独特の影が阿部寛になって深みはなくなったが、それでも泣かせるところはやっぱり泣けたという結果オーライの作品ではあった。
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