自動車「認証不正問題」2024年06月13日

先日、自動車メーカー5社で、量産に必要な型式指定申請で「不正」があったとして、3社が生産中の6車種について出荷停止となった。昨年のダイハツ工業の不正事案に比べ対象となる車種や生産台数は限定的らしい。この国交省の「不正」発表をほとんどのメディアは検証もせず垂れ流した。ダイハツのデータ改ざんして開発期間を早めた不正と、今回の問題は全く意味が違う。各社は国交省が指定する基準よりも厳しくして合格したものを、国の基準で通過したと改ざんしたのが今回の事案だ。例えば、ガソリン漏れ耐久検査の後方追突負荷の国基準は1100キロだがトヨタ車は1800キロで追突実験をしていた。アメリカの基準が1800キロなので輸出企業であるトヨタは大は小を兼ねると端折った実験をしたわけだ。追突時の安全装置実験もエアバック稼働をタイマーで遅らせる不正実験をしたという。だが、エアバックが衝突時にほぼ確実に稼働すると知るエンジニアたちは、肝心の車体構造とシートベルトが安全かどうかを確認するためにわざとエアバック稼働を遅らせて実験をした。

各社のエンジニアがユーザーの高い安全性を考えて国基準より厳しい基準で実験をしたものを、国交省は国基準で実験をしていないので不正だという。国基準が各社の基準より遅れている問題についてはコメントせず、認証不正と断じるのはユーザーとしては納得がいかない。もちろん規則を遵守せずに改ざんするのは、ダイハツ事案のように検査もせずに通過したという不正を見逃してしまう危険がある。だが、今回の事案は、時代遅れの基準を変えられない「決断の遅い」お役所仕事を棚に上げ、日進月歩で技術向上に取り組んでいる民間をいじめているようにも見える。
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