0.5の男2024年08月23日

0.5の男
WOWOWで2023年5月に放送されたテレビドラマがネットフリックスで配信されている。主演の松田龍平が「引きこもりおじさん」の味を出している。親子2世代世帯に単身者を0.5世帯と勘定して2.5世帯住宅。引きこもりおじさんは0.5世帯という設定だ。古くなった父母の実家を、娘の共働き家族との2世帯住宅に建て替える際、1階の奥まった場所にひきこもり兄の部屋も申し訳程度に作った。ゲームの世界ではカリスマとあがめられている兄だが、妹には「家事を手伝え」、中学生の姪には「キモい」と言われ、仕事をしていない“0.5”の存在に居場所はありそうにない。けれども大家族になると何かしら事件が多発して兄が意に反して役に立つ場面が増えていく。甥の保育所の送り迎え、学校になじめぬ姪や隣のDV息子の相談役として居場所を作っていく。甥役は子役大ブレイク中の永瀬(加藤)矢紘。このブログでも7月にNHK夜ドラ「柚木さんちの四兄弟。」で取り上げた。この作品では5歳だが松田とのノンバーバルの絡みが最高に良い。姪役の白鳥玉季も松田と関わる生意気娘ぶりと本当は叔父を労わる優しさが胸にしみる。諍い合う同居者たちが、やがて一つの大家族になっていく良いドラマだ。

2.5世帯住宅は、2012年にヘーベルハウスによって初めて販売された。親世帯、子世帯、そして単身の兄弟姉妹が一緒に暮らす新しい住まいの形は近年人気が高まっているという。未婚化や晩婚化、離婚率の上昇などの社会的背景から注目されている。親が頭金を負担し、既婚の子供が住宅ローンを組み、未婚の子供が生活費を家賃代わりに納めることで、全体の経済負担を軽減でき、親と同居することで家族全体で協力し合う生活を志向する。2.5世帯住宅の売れ行きは伸びており今後も増加することが予想される。ただ、大人ばかりの大家族ではわがままの張り合いだけになってしまう。大事なのは鎹となる子供が家族の中に含まれていることが重要なのだと思う。