PTA役員の強引な勧誘2024年09月14日

共働き家庭の増加に伴い、PTA役員の担い手不足が深刻化している。その中で、問題のある役員勧誘方法や個人情報の取り扱いが批判されている。大阪府内の学校では、次年度の役員候補の自宅に何度も訪問するような強引な勧誘手法がマニュアル化されており、これに対して「宗教勧誘のようだ」との声も上がった。また、学校が保護者や児童の個人情報をPTAに提供することに違法性があるとして、保護者が校長を刑事告発する事態も発生している。個人情報保護法により、PTA会員名簿の作成や運用には本人の同意が必要とされているが、徹底されていないケースが続発している。大分市や高槻市でも、保護者が自身や子供の情報が無断でPTAに漏洩されたとして校長を刑事告発する事例が起きている。役員の負担が大きい中、役員勧誘の方法や個人情報の管理について、改善が求められている。PTAに関わったのはもう30年以上も前の話だ。年末の寒い夜にご近所の夫人ら数人が狭い玄関口に並ばれて「私たちはPTA推薦委員で次期会長をお願いしに来た」という旨で頭を下げに来られた。こんな寒い夜中に活動する彼女らの努力に報いたくて浪花節で会長を引き受けたことを思い出した。

話したこともないPTA会員宅を回るという推薦委員活動があることを訪問を受けるまで知らず、驚いたことを覚えている。自分のようなお人好しに出会うまでこの訪問を繰り返すのだろうなと思った。保育所や学童の保護者会活動をしていると同じ学年の保護者は活動の中で仲良くなりお互いの様子も大体把握している。次期役員決めの学年会は必ず揉めるが最終的には双方納得する話し合いで決まった。それに比べてPTA役員推薦活動は無理がある。お互いが一緒に活動した蓄積もないのに突如として役員話が振られてくるからだ。様々な活動が積み上げられる中でしか会員同士の信頼関係は醸成されない。信頼関係がない中で組織だけを維持するのは困難だ。PTAを否定する喧伝は、こうした人間関係の本質論に触れずに宗教勧誘と同質だとか個人情報保護違反云々を書きPTA不要論を展開する。町内会でも同じことだが、活動のないところに信頼関係など作り得ない。親睦活動が強制的で煩わしいと言ってしまえばそれまでだが、子供や地域の安全を維持したくない人はいない。教員の下働きのような仕事や形骸化してつまらない活動なら会員同士の顔が見え楽しめる活動に作りかえることが大事だ。地域コミュニティーの絆を維持するには地道な行事の積み重ねしかない。PTAや保護者会、町内会は暮らしにとって必要だという論調をメディアはもっと取り上げるべきだと思う。