インクルーシブ高校 ― 2024年12月14日
奈良県立山辺高校の自立支援農業科は、障害のある生徒とない生徒が共に学ぶ「インクルーシブ教育」を実践しているという毎日新聞の記事。社会生活で役立つ言葉遣いや態度を学び、農業体験では協力や実践力を身につけることを目指している。学校は「障害」という言葉の冷たさに抵抗し、知的障害を持つ生徒を対象とした農業教育を通じて自立を支援する姿勢を貫いている。教師たちは、生徒の素直さや成長に触れ、教育の原点を再認識しており、特別支援学校の資格を新たに取得する教諭もいる。自立支援農業科の卒業生たちは、幅広い職場で実習を経験する一方で、農業を選ぶ者は少ない。奈良県内の小規模農家が多いことが背景にあるが、校長は農福連携を目指しながら、まずは生徒たちが社会で生き抜く力と自己肯定感を育むことを重視しているという。全国にこの種の高校の職業教育が拡がっていることは歓迎すべきだと思う。これまでの日本の教育は場所(学校種)につく支援で個(生徒)につく支援ではなかった。必要な支援を受けようとすると普通教育では行われていないからと特別な学校を紹介されてきた。その結果、都市部の特別支援学校の高等部が膨れ上がり、逆に人口減少地の公立高校や職業高校は定員を割り込む事態が続いてきた。さらに、高校授業料の無償化で私学志向が進み公立校は縮小の憂き目にあっている。こういう要素もあって障害のある人もない人も共に通学できる公立学校が拡がる土壌ができたとも言える。
これらの教育内容は特別支援学校の高等部で実践されてきている内容の焼き直しではある。都市部では需要の多いサービス業、特に小売りのバックヤード作業や清掃作業などを中心とした教育内容となっている。大事なことは働くことを通して思春期青年期の自己有能感をどう育てるかということだ。理解できぬ教科学習で長年劣等感に苛まれてきた生徒たちに「できる」という体験をどれだけ用意するかがこの教育の本質だ。また、それまでの学校生活で日常コミュニケーション機会の少なさから生じている社会生活スキルの育ちそびれにも手を当てる必要もある。就業スキルを教えることよりも対人関係スキルを育てることは難しいと言われてきた。彼らの離職の原因のほとんどは助けを求める事の難しさからだ。これには、そうした彼らの困り感に気づく社会全体の育ちも必要となる。子供時代はもちろん成人期も場所を分けずに「みな違う」ということを前提に助け合う文化の醸成が大事だともいえる。
これらの教育内容は特別支援学校の高等部で実践されてきている内容の焼き直しではある。都市部では需要の多いサービス業、特に小売りのバックヤード作業や清掃作業などを中心とした教育内容となっている。大事なことは働くことを通して思春期青年期の自己有能感をどう育てるかということだ。理解できぬ教科学習で長年劣等感に苛まれてきた生徒たちに「できる」という体験をどれだけ用意するかがこの教育の本質だ。また、それまでの学校生活で日常コミュニケーション機会の少なさから生じている社会生活スキルの育ちそびれにも手を当てる必要もある。就業スキルを教えることよりも対人関係スキルを育てることは難しいと言われてきた。彼らの離職の原因のほとんどは助けを求める事の難しさからだ。これには、そうした彼らの困り感に気づく社会全体の育ちも必要となる。子供時代はもちろん成人期も場所を分けずに「みな違う」ということを前提に助け合う文化の醸成が大事だともいえる。