然う然う

カンヌの脚本賞に是枝裕和監督作「怪物」で坂元裕二が獲得したので観に行った。『万引き家族』の是枝裕和監督と、『花束みたいな恋をした』の脚本家・坂元裕二が組んだ人間ドラマで、諏訪の町を舞台に、子供たちの間に起きたいじめが、大人たちを巻き込んで大事件へ発展していく。出演は安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希。音楽は亡くなった『ラストエンペラー』の坂本龍一が担当している。是枝監督に子どもを撮らせると秀逸である。子どもの友情を想像できない大人の浅はかさが描かれているのだが、その大人の浅はかさに前半は観客もまんまと同調してしまう。後半謎解きが始まるので飽きることはない。

京都出身の柊木陽太が良い芝居をしている。是枝監督は「誰も知らない」で柳楽優弥を大抜擢しているが、今回も助演ながら良い子役を見出したと思う。仕草も声も全てピュアで主演の黒川想矢を喰っている。話の結末はないのだが、坂本龍一のピアノが流れて心地よいエンディングだった。