給食費無償化2024年04月11日

税金は増やせないからと健康保険料に子育て支援金分を付加するらしい。幼児教育の無償化は、2019年10月から3〜5歳児で住民税非課税世帯の0〜2歳児。義務教育は私学以外は元々無償。私立高校の無償化は、2020年4月から始まった。高等教育の無償化も同時期から始まり大学生など給付型奨学金と授業料減免が大幅に拡充された。2025年度からは、所得制限をなくして多子世帯を支援する大学無償化制度が予定され多子世帯では、少なくとも1人分の授業料や入学金が無償化される。これに加えて義務教育では給食費を無償化する動きが各地で広がっている。しかし、低所得者や母子家庭ではもともと保育費や給食費、行事費などの減免があり児童扶養手当もある。つまり日本の無償化制度は「熱海の旅館状態」で、付け足しつけたしではあるが、低所得者や社会的弱者には手続きの煩雑はあるもののほとんど教育費は無償なのだ。問題はその給付金の使い方は保護者の自由なので目的を特定して税金で賄うという方向が出てきたわけだ。

給食費の無償化はわが町でも昨年度に予算化したが町長野党に否決された。ワシは町全体の予算から見れば微々たる金なので無償化でよいと思っていた。しかし、少子化対策として給食費の全員無償化が効果を上げるとは思わない。むしろ、給食の質が下がったり、給食業界と行政の癒着や給食公務員の既得権を強化するのではないかという懸念の方が強い。良いサービスを確保するには適度な競争が欠かせない。これは給食だけにとどまらず、あらゆる公的サービスに当てはまる。社会的弱者を守る制度は必要だが、それが不公平で非効率だという議論から全員無償化の動きが進む。日本の税負担が高く可処分所得が先進国の中で下位に転落したのが少子化問題の一因だが、そこに触れる人は少ない。無償化は税負担を高め収入を減らし少子化を進めるという堂々巡りだ。

無償化は税金化2024年04月12日

きのう、子育て支援金の保険料負担や給食費無償化について書いた。低所得の家庭はほとんどの教育費が無償化されている。低所得家庭だから進学や就学が平均所得家庭と比べて不公平になるというのは現制度上はほぼ当てはまらない。また、低所得家庭への教育無償化が不公平だとか手続き上非効率だから全て平等に無償化するという施策も稚拙に感じる。教育費や給食費の全世帯無償化は結局増税に結び付くだけで、少子化の一因である可処分所得を減らすことにしかならないと書いた。金持ちから取るというならならわからなくもないが、一般庶民から金を吸い上げてまた配るというのはおかしくはないか?金を吸い上げなければ可処分所得も増えるし、社会に自由に出回る金も増える。為政者が意のままに庶民の金を支配すると、必ず腐敗の温床になる。コーヒー一杯分の負担だと税金から配った政党助成金然りだ。社会主義経済が行き詰まるのは、権力維持のために自由競争を不適切に抑制するからだ。権力には生命の安全、自由を守る金以外はできるだけ支配させないことが肝要だ。

国民や企業が税金や社会保険料で支払う国民負担率は47%と、江戸時代の年貢率の五公五民並みだ。しかも収入が二倍以上になった他の先進国と違い収入は30年間横ばいだ。アメリカを除いた先進国も高齢化と少子化の課題は同じように抱えている。高負担高福祉国家と言われる北欧も所得を伸ばしている。この違いが何かを明確にしないまま、無償化=税金化を急ぐ理由がワシにはさっぱりわからない。

新プロジェクトX2024年04月13日

18年ぶりに復活する新プロジェクトX。毎週土曜日の夜に放映されるが、先週は見落としたのでネットで観る。初回は「東京スカイツリー」建設工事。高さ634mの天空の現場に挑んだ技術者と職人たちのドラマ。施工の責任を負った技術者。鉄骨加工を請け負った職人。それを組み上げる鳶職。完成間際、東日本大震災が発生した中、鳶(とび)を率いるリーダーが下した決断。のべ58万人が総力を結集した日本の建設史上空前の難工事だ。これまでは、東京タワーの倍近い高さの構造物を設計した技術ばかりに着目していた。しかし、設計段階では構築可能な建物でもそれをどのように作るのか工程設計をしなければ職人は動きようがない。最後は、ものを手際よく作る人がいなければタワーは1ミリも組み上げられない。そして、困難を乗り越える勇気と責任感が現場の職人になければスカイツリーはできなかった。

スカイツリー建設の佳境に差し掛かった3月11日。あの激震が襲う。身の危険を守る避難をするか、もう一度高所に上ってタワーの固定具をつけ直し余震での安全を確保するかの瀬戸際で、職人たちは迷わず眼下の街の人々の安全を優先した。現場を預かるものの矜持を教えてくれたのは作りかけのタワーの上だけではない。福島原発の職員たちも迷わず放射能で汚染された建屋の中に飛び込んで安全バルブを開けに行ったという。職人の心意気に熱いものがこみ上げてきた。

ベーシックインカム2024年04月14日

教育費や給食費について一律全体を無償化するのは結局は税金化ではないか。税金や社会保険料が増えた分だけ可処分所得が減るので消費が減り景気には良くない。政府に安全保障以外の金を渡せば渡すだけ時の権力を維持させるために癒着や不正の温床になる。従って困窮者を救う以外の無償化は悪手と書いてきた。ただ、無償化を突き詰めて考えていくと、いっそあれこれの無償化や補助をやめて、国民一人一人にに貧富の差なく最低限の生活ができる金を政府が配るベーシックインカム制度に行きつく。これは無償化も補助金もやめて一律国民一人づつに生活費を支給する制度だ。日本なら一人年間100万円を配ると一億人で100兆円だ。この額では勤労所得からの社会保険料の徴収は必要だが、4人家族なら年間400万円の不労収入となる。働いて家庭を持った方が豊かに暮らせるし少子化にも歯止めがかかる。働けばもっと豊かに暮らせる。ただ、アラスカのベーシックインカム実験のように離婚家庭が増加するかもしれないが、それは女性が望まぬ婚姻に縛られず望めば子供とともに金の心配なく自由に暮らす担保にもなる。

低賃金でこき使う会社に生活のためだと縛り続けられる必要も少なくなる。もっと豊かな暮らしがしたければさらに働けばよい。生活保護のように働いた分だけ支給額が下がる心配もない。その代わりこれまでのような多岐にわたる複雑な補助金はない。もちろん家族の金を奪って独り占めする輩には司直の手が入りやすい法改正は必要だ。スイスではこの制度提案を2020年に国民投票を行い、有権者の約8割が反対して否決された。理由は様々だが、月一人30万(年間360万)円という支給額の裏付けとなる財源が示せなかったことや、既存の豊かな福祉制度を失う不安、移民増加に対する懸念があげられた。働く意欲を失う労働者が増えるという意見もあったようだ。しかし、人間はよりよい生活を願うもので、その形は経済的な豊かさを求めるものも多いが、金にはならない創造的な活動や人のためになる活動に生涯をささげることをよりよい生活だと感じる人もいる。そういう意味では無償化政策よりもポジティブで魅力のある制度かもしれない。

乳腺クリニック2024年04月15日

親族の乳がんについて聞きに行ってほしいと施設から連絡があり病院に行った。大病院の中の乳腺外科だけは建物の中に頑丈な扉があり閉鎖空間だった。女性の患者が乳房をさらすところなので普通の外来とは違う感満載の空間に見えた。受付で「ご親族の方ですね」と通してくれた。ワシはハイハイとうつむいて頭をかきながら順番を待つ。なんでこんな卑屈になって待たねばならぬのかと我慢して待っていた。受診している女性がワシを一瞥する。なんでこんなおっさんが座っているのかという視線に感じる。「ご親族だからね」と心でつぶやくが平常心の装いはあっという間に陥落し、うなだれてソファーの上で待つ。待つこと20分だが3時間くらいに感じた。

結局、転移しない腫瘍だから大丈夫と主治医の話を聞き。そそくさと乳腺外科から撤退した。施設に処方箋と次回の予約表を渡すと、「え?次回は行かないの?」みたいな視線を職員が飛ばしてくるのであとはよろしくと逃げるように帰ってきた。なんでワシが毎回乳腺外来に行かねばならぬのだと憤慨しつつ帰路についた。

山桜2024年04月16日

昨日の病院の帰りに父方の墓に花を添えに行った。都会のど真ん中にあるので車が込み合いお供えを終わった頃には夕刻を過ぎ、母方の墓には行けなくなった。箕面の山奥の霊園は自宅から新名神を使えば1時間弱で行ける。箕面のICを降りると亀岡に向かって山の中を走っていく。昨年グーグルナビを信じてとんでもない山道に連れていかれたので、今回は普通の道を走ろうと心掛けた。しかし、ここまでくれば安心だとナビ通りに走り霊園表示もあったので突き進むとまた1車線の山道に突入してしまった。前から車来ないでねとトホホ運転を続けてようやく到着した。ナビがあると道を覚えようという意識が働かないので一度来た道でも全く覚えていない。

霊園は山の上に切り拓かれた大墓地で、標高も高いためやっと桜が散り始めた感じだ。桜吹雪の中を車で上がって行くのは心地よい。山桜は今が盛りで美しい。霊園は何千という墓があるので、今日も墓地の中で迷った。墓の後ろに木が生えていたので昨年切ったのだがまた新芽が芽吹いていた。幹よりも根が太い感じでどこまで潜って根を張っているのかわからない。永年管理とは書いてはあるが、生えてくる木のメンテナンスまではしていなようだ。また来ますと手を合わせて帰路についた。

紅麹問題とコレステロール2024年04月17日

紅麹サプリが健康被害を起こしたと大騒ぎになっている。医薬関係者は、毒性物質の混入以前の問題として、「なぜ、医薬品と同等とも言える成分を、このようなずさんな形で安易に製造販売していたのか?」「LDLコレステロールを下げる医薬品を摂っていればうんと安全だったのに」というらしい。コレステロールは脂質の一種で、体には必要なものだが、「悪玉コレステロール」(LDL-コレステロール)値が基準値を上回ると「脂質異常症」となり、動脈硬化のリスクが高まり、狭心症や心筋梗塞の大きな要因だといわれてきた。しかし、そのまた大前提として、コレステロールは本当に下げる必要があるのか?「悪玉」という呼称は医学にはない。メディアが面白おかしくつけた呼称だ。昔は卵が「悪玉」コレステロール値を上げる原因として栄養学の専門家らも食べ過ぎに警鐘を鳴らしてきた。ところが昨今は卵の摂取はコレステロール値を上げるというエビデンスはないとして卵の摂取注意を廃止した。もちろん、どんなものでも採りすぎは健康によくないことは当たり前だ。

最近否定された卵悪者論と同じく、LDL-コレステロール値は基準値140mg/dL以上は脂質異常症というのは問題があるという研究結果が出て緩和されつつある。そればかりかコレステロール値が低いと死亡率が高まるという結果も示された。逆に基準値より若干高い人の方が死亡率が低下するという結果も発表されている。米国では10年前にこの基準値に意味がないとして廃止されている。コレステロールは体内で8割が生成されるもので経口摂取によっては2割程度しか変化しないものだ。こうした大前提を抜きに悪玉と呼称してコレステロールを下げる薬物やサプリメントを安易に売り続ける企業や医者の方が悪玉ではないのか?

パスト ライブス 再会2024年04月18日

セリーヌ・ソン監督の半自伝的作品「パスト ライブス 再会」(2023)はサンダンス映画祭で高い評価を得て、アカデミー作品賞と脚本賞にノミネートされた。今回もアカデミーに釣られてノミネートされたぐらいだからとタダ券を保険にして観てしまった。ベタ過ぎる作品だった。韓国の幼馴染が24年間経てニューヨークで再開。彼女は旦那とグリーンカードを手に入れているが、幼馴染の彼への思いは消せない。彼は上海で恋人ができたが両家の格が違うと結婚に踏み切れずにずっと忘れられないニューヨークの彼女に会いに来る。映画は小学校時代の映像は少なく伏線も描かれない。12年後、彼女は彼がフェイスブックで彼女を探していることを見つけてリモート交際を繰り返すシーンに飛ぶ。この場面がやたらに長くて間延びする。恋は彼女の創作活動には障害だと、彼女から交際は打ち切られさらに12年が経過する。

マンハッタンで出会う二人は、今からやり直そうとは口にできず、パストライブス「前世」、韓国語では「縁(イニョン)」、日本では「袖すりあうも他生の縁」だと彼女が言い出す。8000回の縁が折り重なってここに生きる自分の今があると、要は縁がなかったと彼を振り切る。帰りを玄関で待つユダヤ人の夫の胸で号泣してエンドロール。映像は美しくよくできているが、結局、勝手な女の話だった。ただで観る映画だから仕方ないねとつぶやいて帰る。

再エネ賦課金値上げ2024年04月19日

電気料金に上乗せしている再生可能エネルギーの賦課金単価を、2023年度は1.4円に下げたのものを2024年度から1kw/hあたり3.49円に戻し値上げすると、3月に経済産業省が発表した。これは、月に400kw/hを使用する標準世帯で月間負担額が1396円となり、2023年度に比べて836円の増加となる。年間にすると、およそ1万円の値上げだ。我が家のこの3年間の月平均は650kwなので、2250円以上の負担だ。昨年に比べれば月1340円の増加となる。再エネ賦課金は、毎年度、経済産業大臣によって定められ、毎年5月分から翌年の4月分の電気料金に適用される。再エネ賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーの電力を買取るために要した費用の一部を電気利用者、つまり国民や企業があまねく負担する制度で、税金と変わらない。

再エネ電力は、太陽光発電と風力発電に代表される。太陽光パネル代も風車代も発電事業者が回収できて日本中にこれらが設置できるようにしたこの制度は、13年前に民主党政権が作った制度だ。二酸化炭素を減らすためにというが、この自然エネルギーから再生した電力を夜間や曇天時、風のないときに備蓄できる高性能の蓄電池はまだない。再生する電力がない時は同じ発電量の火力・水力・原子力発電が必要になる。これらの発電所は電力が減ったからと急に動かすことはできないので稼働し続ける必要がある。つまり現在の発電技術では二酸化炭素は簡単には減らせない。日本中の原発を稼働させれば少しは減らせるが、今のところ既存する原発の2割も稼働していない。山林を破壊して太陽光パネルを設置すれば樹木の二酸化炭素吸収も減らしてしまう。こんなはったりのような電力のために国民は税金と同じように払わされている。電気ガス水道は生活や産業のために止めることができない。しかし、これが負担になれば他に回す金を減らすしかない。石油価格が高騰する中では経済政策としても環境政策としてももっと悪手の再エネ賦課金はなくした方が良い。

若返り2024年04月20日

自治会連合の新年度役員会に参加した。昨年の会長以下事務局の平均年齢は70歳程度だった。新年度の事務局は20歳程度若返り平均年齢40代後半のようだ。役員は輪番制なので偶然なのだが、若い役員が前に座ると気持ちが良い。ただ、頭の回転が速いので説明を端折ることが多く、高齢者には少し通じにくいかもしれない。引継ぎの活動をして思うに、自分も高齢者の端くれではあるが、高齢者に言いたいことを理解してもらうには限界を感じている。文書を読んでもらってはいるのだが、前回の内容と統合して理解することにはかなり個人差がある。つまり覚えていないので、何度も同じことを繰り返す必要がある。新しい内容だと1を知って10を知るわけにはいかない。10を話して1残るかどうかなので関係性がぎくしゃくして、説明が悪いだの言い方が不親切だのと内容以外のところで苦情が出る。

若い人だとすぐに了解しあえるので、気持ちがいい。だがしかし自分もいつか進む道なのだとあきらめないで引継ぎをする。善意の活動とはいえ湧き上がる感情を抑えるのに苦労する。散る桜残る桜も散る桜(良寛和尚)と唱えているが、会長代替わりの総会まであと2か月もある。
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