フィンランドの学力低下 ― 2024年08月21日
先日、夏休み短縮問題で「日本の子供の平均的学力は授業時間数の増加とともに徐々に回復しつつある。かつて教育立国と呼ばれ、授業日数は少なく教育環境が日本よりも優れていたフィンランドは、移民の急激な増加と経済悪化で日本より低下した」と、フィンランドの学力問題に触れた。本当に移民増加と経済悪化だけでこんなに落ちるものだろうかという疑問があったので調べてみた。フィンランドのPISAの3科目平均学力が世界トップを記録したのは2006年だがその後は急激に落ち今も回復していない。これまでは、フィンランド教育最高!と日本の官民がもてはやし2000年代のゆとり教育の後押しをした。2016年にはマイケル・ムーアのドキュメンタリー映画『Where to Invade Next』(邦題:『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』)が日本で上映され、フィンランドの教育の特徴を「宿題がほとんどない」「授業時間が短い」「子供主導型授業」で国民の幸せを目指す教育として描き、我々にも大きな影響を与えた。
フィンランド教育がこの路線に舵を切ったのは1990年に20代の若い教育大臣が就任したころだ。それまでのフィンランド教育は「教師主導型授業」「詰め込み教育」で日本とよく似ていたらしい。それを大転換するのには、教員を変え授業を変え末端の学校まで変革するには10年はかかる。PISAで世界トップになったのは2006年なのでこの頃のPISAテストを受ける15歳の生徒はまだ改革が行きわたらず旧来の教育方法で教えられてきた子供の得点だ。改革が完成した2000年以降に入学した子供が2009年以降のPISA成績を低下させていったと見た方がつじつまが合う。日本が2015年と2018年のPISAで徐々に落ち込んだのは、2000年代のゆとり教育の「成果」と考えれば頷ける。教育政策が結果を出すのは時間がかかり十数年のタイムラグあると見た方が良い。メディアは切り取った瞬間だけを示して政策を揶揄するがこうした評価には振り回されない方が良い。フィンランドに移民が増え経済が悪化したのはここ10年だからこれからその結果が出てくると考えるべきなのだろう。とはいえ国民一人当たりのGDPは日本よりフィンランドの方がはるかに高い。金融・財政政策の結果はもう少し早く出るのかもしれないが、10年以上も低迷しているのはその前の政策の結果と見るべきだろう。
フィンランド教育がこの路線に舵を切ったのは1990年に20代の若い教育大臣が就任したころだ。それまでのフィンランド教育は「教師主導型授業」「詰め込み教育」で日本とよく似ていたらしい。それを大転換するのには、教員を変え授業を変え末端の学校まで変革するには10年はかかる。PISAで世界トップになったのは2006年なのでこの頃のPISAテストを受ける15歳の生徒はまだ改革が行きわたらず旧来の教育方法で教えられてきた子供の得点だ。改革が完成した2000年以降に入学した子供が2009年以降のPISA成績を低下させていったと見た方がつじつまが合う。日本が2015年と2018年のPISAで徐々に落ち込んだのは、2000年代のゆとり教育の「成果」と考えれば頷ける。教育政策が結果を出すのは時間がかかり十数年のタイムラグあると見た方が良い。メディアは切り取った瞬間だけを示して政策を揶揄するがこうした評価には振り回されない方が良い。フィンランドに移民が増え経済が悪化したのはここ10年だからこれからその結果が出てくると考えるべきなのだろう。とはいえ国民一人当たりのGDPは日本よりフィンランドの方がはるかに高い。金融・財政政策の結果はもう少し早く出るのかもしれないが、10年以上も低迷しているのはその前の政策の結果と見るべきだろう。