寝屋川ショック ― 2025年03月21日

大阪府立高校では、伝統校で倍率が1倍を下回る定員割れが相次ぎ、「寝屋川ショック」として波紋が広がった。少子化の影響に加え、授業料無償化による私立高校人気や定員増が背景にある。特に、私立高校の進学実績重視の風潮が広がる中、公立高校が同様の競争に巻き込まれるのは適切ではない。生徒が部活動や学校行事などを通じて成長できる環境づくりが重要であり、各校が特色を打ち出すことが求められる。また、保護者や生徒も進学実績にとらわれず、学校生活全般を重視した進路選択を考える必要がある。一方、私立高校への進学には授業料以外の費用負担が大きく、公立高校の役割が再評価されるべきだ。教育行政も、公立高校が多様な学びを提供できるよう資源を適切に配分し、地域に根ざした教育の充実を図る必要がある。この論説は大阪公立大教授の西田芳正氏(教育社会学)のもので、納得のいくものだ。しかし、大阪府や維新の会は少子化により中堅公立校の定員割れが避けられないとして、今後3年間定員割れが続けば統廃合を検討し、私学とのバランスを図る方針を示している。一方、文理学科を持つ公立10校は今も人気が集中している。文理学科は文系と理系を分け隔てなく学ぶことを掲げているものの、実態は有名私学の特別進学コースと変わらない。進学率も私学の特進科と同等で、結果的に上位層の生徒をめぐる競争が成り立っている。
この構図は、学力の高い「上澄み」の生徒の奪い合いのために、公立校の統廃合があるように見える。私学無償化などの公費を投入しない限りは私学がどのような教育を提供しようといくら学費を取ろうと経営の自由である。一方、公立高校は有名大学進学だけでなく、幅広い生徒のニーズに応える責任がある。生徒数が減った分、指導者を充実させ、きめ細かな指導への投資を行うべきだ。また、低学力の生徒の中には、単なる怠学ではなく発達障害など学び方の違う生徒が含まれている。彼らの特性を理解し、適切な学習指導や職業指導を行うことは、公立高校が担うべき公益的な役割である。さらに、こうした生徒は小中学校で十分な支援を受けられなかったケースが多いため、公立高校がその不足を補う責任があると言える。
この構図は、学力の高い「上澄み」の生徒の奪い合いのために、公立校の統廃合があるように見える。私学無償化などの公費を投入しない限りは私学がどのような教育を提供しようといくら学費を取ろうと経営の自由である。一方、公立高校は有名大学進学だけでなく、幅広い生徒のニーズに応える責任がある。生徒数が減った分、指導者を充実させ、きめ細かな指導への投資を行うべきだ。また、低学力の生徒の中には、単なる怠学ではなく発達障害など学び方の違う生徒が含まれている。彼らの特性を理解し、適切な学習指導や職業指導を行うことは、公立高校が担うべき公益的な役割である。さらに、こうした生徒は小中学校で十分な支援を受けられなかったケースが多いため、公立高校がその不足を補う責任があると言える。