中国車には関税を ― 2025年05月03日

立憲民主党の藤岡衆院議員は、政府による電気自動車(EV)などエコカー購入補助金制度が中国メーカー製の車両にも適用されている点に懸念を示した。藤岡氏は、補助金は本来、日本国内の自動車産業を振興するためのものであり、中国EV大手のBYDなど海外メーカーにも多額の補助金が流れている現状は見直しが必要だと主張。政府に対し、制度の実態解明を求めた。これに対し、経済産業省の副大臣は、補助金はあくまで購入者に対して支給されるものであり、国内で登録された車両であればメーカーや国籍を問わず対象となると説明。令和5年度にはBYD車への補助金交付が約1300件、令和6年度には約1500件にのぼると答弁した。政府側はまた、補助金制度を車両性能や環境性能、企業の取り組みなどを総合的に評価する方式に移行しており、BYDへの補助金総額は減少傾向にあると述べたが、藤岡氏は引き続き国産メーカーを重視する政策への転換を求めている。
現在、日本国内では依然としてハイブリッド車が主流であり、EVの需要は急速には伸びていない。寒冷地ではバッテリー性能が低下しやすく、航続距離や価格とのバランスに疑問を持つ消費者も多い。そのため、現時点では中国製EVに過剰な危機感を持つ必要はないとの見方もある。しかし、BYDは2026年後半に日本市場向けの軽EVを投入する計画を進めており、価格は185万〜225万円と見込まれている。補助金適用後は150万円を下回る可能性もあり、コストパフォーマンスの高さが消費者に受け入れられる余地は大きい。航続距離は230〜300kmとされ、補助金適用後180万円の日産の軽EV「サクラ」(180km)を上回る性能である。BYDは独自の「ブレードバッテリー」を採用しており、価格だけでなく安全性や耐久性の面でも強い競争力を有している。
こうした中国製EVの進出に対して、補助金制度だけでなく、より大きな経済構造の観点からの分析も必要である。そのひとつが、為替制度の問題である。中国は「管理変動相場制」を採用しており、政府が為替レートを事実上管理している。1980年代以降、意図的に元安へと誘導する政策を継続しており、現在の為替水準(1ドル=約7元)は、当時の約0.7元と比べて実質的に10倍。マネタリーベースを考慮した理論値から見ても、6倍程度の過剰な元安とされる。このような為替の歪みは、中国製品全体における価格競争力を過度に高めており、EVだけでなく、鉄鋼、太陽光パネル、電子部品など幅広い分野で市場への影響が出ている。アメリカでは、このような価格の不均衡に対し、高関税による是正措置を講じており、日本においても同様の政策的検討が求められる。仮に理論値に基づいた円元為替が関税に適用されれば、BYDの軽EVは550万円以上となり、現在の価格競争力の前提は崩れることになる。
中国側が報復的に日本産農産物や海産物に高関税を課す可能性はあるが、中国国内の富裕層によるニーズがある限り、その影響は限定的と見る向きもある。中国依存の工業製品は自由貿易圏や日本に移行して生産すればよい。こうした点を踏まえると、補助金の見直しに加え、為替政策や貿易ルールの公平性を再検討することが、産業競争力の維持にとって不可欠である。一方で、このような対応に慎重な姿勢を示す親中派の政治家もおり、現実的な政策判断は容易ではない。最終的には、こうした政策の方向性を国民がどのように評価するかが、今後の選挙を通じて問われることになろう。
現在、日本国内では依然としてハイブリッド車が主流であり、EVの需要は急速には伸びていない。寒冷地ではバッテリー性能が低下しやすく、航続距離や価格とのバランスに疑問を持つ消費者も多い。そのため、現時点では中国製EVに過剰な危機感を持つ必要はないとの見方もある。しかし、BYDは2026年後半に日本市場向けの軽EVを投入する計画を進めており、価格は185万〜225万円と見込まれている。補助金適用後は150万円を下回る可能性もあり、コストパフォーマンスの高さが消費者に受け入れられる余地は大きい。航続距離は230〜300kmとされ、補助金適用後180万円の日産の軽EV「サクラ」(180km)を上回る性能である。BYDは独自の「ブレードバッテリー」を採用しており、価格だけでなく安全性や耐久性の面でも強い競争力を有している。
こうした中国製EVの進出に対して、補助金制度だけでなく、より大きな経済構造の観点からの分析も必要である。そのひとつが、為替制度の問題である。中国は「管理変動相場制」を採用しており、政府が為替レートを事実上管理している。1980年代以降、意図的に元安へと誘導する政策を継続しており、現在の為替水準(1ドル=約7元)は、当時の約0.7元と比べて実質的に10倍。マネタリーベースを考慮した理論値から見ても、6倍程度の過剰な元安とされる。このような為替の歪みは、中国製品全体における価格競争力を過度に高めており、EVだけでなく、鉄鋼、太陽光パネル、電子部品など幅広い分野で市場への影響が出ている。アメリカでは、このような価格の不均衡に対し、高関税による是正措置を講じており、日本においても同様の政策的検討が求められる。仮に理論値に基づいた円元為替が関税に適用されれば、BYDの軽EVは550万円以上となり、現在の価格競争力の前提は崩れることになる。
中国側が報復的に日本産農産物や海産物に高関税を課す可能性はあるが、中国国内の富裕層によるニーズがある限り、その影響は限定的と見る向きもある。中国依存の工業製品は自由貿易圏や日本に移行して生産すればよい。こうした点を踏まえると、補助金の見直しに加え、為替政策や貿易ルールの公平性を再検討することが、産業競争力の維持にとって不可欠である。一方で、このような対応に慎重な姿勢を示す親中派の政治家もおり、現実的な政策判断は容易ではない。最終的には、こうした政策の方向性を国民がどのように評価するかが、今後の選挙を通じて問われることになろう。